津波避難ビルとは?その意味と実態アンケートについて


東日本大震災の際に地震に伴って大きな津波が発生し、津波が街を飲み込む映像を見たことがある人は多いかと思います。津波は建物にも住民にも大きな被害をもたらします。
この津波から避難するための施設として津波避難施設があります。津波避難施設とは津波から人命を救うために作られた施設ですが、津波避難施設の中にも、津波避難ビル、津波避難タワー、津波避難シェルター、などいろんな種類があります。
今回はその中でも津波避難ビルについて、そもそも津波避難ビルとは何か、津波避難ビルのマーク、津波避難ビルの実態アンケート、などについて書いて行こうと思います。

津波避難ビルとは何か

そもそも津波避難ビルとは何かひとことで言うと、津波が来た際に一時的に避難するための緊急避難場所として指定されたビルのことです。学校や民間住宅のマンション、ホテルなどが津波避難ビルとして指定されていることが多いです。
津波からの避難では近くの安全な高台まで避難することが原則ではあるのですが、被災地の地理的な条件によっては、津波が到達するまでの時間的な猶予から考えて、近くに安全な高台がない場合もあります。

その際には津波避難ビルなどの施設が津波からの避難場所として活用することができます。実際に東日本大震災においても少なくても1万人近くの住民が津波避難ビルに避難したことで命を守ることができたのではないかと言われており、その有効性については東日本大震災以降、さらに注目されています。
しかし一方で、津波避難ビルの要件については、内閣府が2005年に指針を定めており、新耐震基準を満たす鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造、想定される浸水深に応じて2~4階建て以上であることとされていますが、東日本大震災レベルの災害になるとそれでも建物が津波に耐えきれなかったことがあったので、見直しに迫られています。

参照記事
太平洋津波警報センターとは?ハワイにある津波警報システム


津波避難ビルのマーク(ピクトグラム)

このように津波避難ビルは津波から避難をする際に有効な避難場所なのですが、そもそも津波避難ビルがどこなのかを瞬時に判断できなければ、そこに避難することはできません。
津波避難ビルがどこなのか判断するためのツールとして、津波避難ビルのマーク(ピクトグラム)があります。津波避難ビルについては下記の写真のようなマークでルートが示されているので、このマークをめがけて逃げることで津波から避難できます。

(津波避難ビルのマーク:Wikipediaより引用)

参照記事
津波避難タワーとは?津波から身を守る緊急避難場所について


津波避難ビルの実態アンケート

少し古いデータなのですが、2011年に国土交通省が津波避難ビルの実態を把握するためにアンケートを行っており、そのデータが参考になるかと思いましたのでご紹介いたします。
このアンケートによると、津波避難ビル等全体の約3分の1が公的建築物、約3分の2が民間建築物とのことです。

(津波避難ビル:国土交通省HPより引用)
建物の階数は2〜4階建てが全体のほとんどを占めています。

(津波避難ビル:国土交通省HPより引用)
耐震性について大部分は新耐震基準によって建築されたものですが、中には旧耐震基準で建築されたものが指定されていることもあり、地震があったときに本当に津波避難ビルとして機能するのか不安も残ります。

(津波避難ビル:国土交通省HPより引用)
津波避難ビルの平常時における使徒としては、マンションなどの民間住宅が最も多く、次いで学校、ホテル、事務所などとなっています。

(津波避難ビル:国土交通省HPより引用)
以上、津波避難ビルについて、そもそも津波避難ビルとは何か、津波避難ビルのマーク、津波避難ビルの実態アンケート、などについて見てきました。
日本は地震大国であり、今後も南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模な地震とそれに伴う津波が予測されていますが、津波避難ビルは津波による被害を少しでも抑えるものとして期待されています。

参照記事
津波地震とは?弱い地震でも津波が発生するメカニズムについて


参考サイト▪︎内閣府「津波対策」