垂直避難とは?水平避難との違いと避難の考え方について

災害からの“避難”を考えると、避難場所へと走って逃げるようなイメージを持つ人が多いかと思います。実際に洪水や土砂災害などで自宅が危険なので避難場所に逃げるという行為はとても重要です。
ただし、実際には災害が直近に迫っていて時間的な猶予がない場合などには、避難行動をとることが逆に危険を招くこともあります。避難場所などに避難することを水平避難と呼びますが、自宅の二階などに避難することを垂直避難と言います。
今回はそんな垂直避難について、そもそも垂直避難とは何か、避難の基本的な考え方、などについて書いていこうと思います。

垂直避難とは何か

そもそも垂直避難とは何かをひとことで言うと、災害が発生して身が危険にさらされる可能性がある状況で、避難場所などまでは避難する時間的な余裕がないために、自宅や近隣ビルの上の階などに避難することです。一般的に避難というと避難場所などへの避難をイメージされる方が多いかと思います。
しかし、災害が近々まで迫っている状態で自宅から遠く離れた避難場所まで無理して避難すると、逆に自分の身をより危険に晒すことになりかねません。実際に過去の災害でも多くの人が避難場所まで自宅を出て避難している最中に亡くなっています。

このような状況を踏まえて、避難場所まで避難する時間的な猶予がない場合には、自宅や近隣の頑丈な建物の比較的高い階に避難する垂直避難という考え方が重視されるようになりました。
ただし、当たり前ではありますが、水平避難はする必要がなくて、垂直避難だけしていればよいという訳ではありません。どの避難方法がベストなのかについては置かれている状況によっても異なるので判断が難しいです。
自宅の2階に垂直避難をしたのはいいものの、自宅もろとも洪水によって流されてしまうということもあり得ます。原則は災害が発生する前の段階から避難勧告などの情報をしっかりと聞いておき、避難場所など安全な場所に早めに避難するということを忘れてはいけません。

参照記事
津波避難タワーとは?津波から身を守る緊急避難場所について

避難の基本的な考え方

次に避難とは何なのかという基本的な考え方について見て行こうと思います。避難とはそもそも「災難を避ける」ことであり、場合によっては災難を避けるために避難場所には行かずに今いる場所にとどまることが避難になることもあります。
まず空間軸という観点から避難を考えた場合には、その場にとどまるという避難方法と、その場を立ち退くという避難方法があります。
その場を立ち退くという避難方法についてはさらにそこから高い階へと避難する垂直避難と、避難場所などへと避難する水平避難の二つに分けることができます。

(空間軸での整理:内閣府HPより引用)
次に時間軸で避難を考えた場合には、先ほどのその場に留まる避難や垂直避難などはあくまで一時的に災害を逃れるための避難であり、一方で水平避難は長期的な避難という観点から見ることもできます。

(時間軸での整理:内閣府HPより引用)
次に避難先の場所という観点から見た場合には、屋内への避難と屋外への避難という二つの観点から分類することができます。

(避難先での整理:内閣府HPより引用)
このように避難とはその基本的な考え方としてその方法は多くあります。避難場所への避難を原則としながらも、切羽詰まった状況であれば、他の避難方法についても検討をするという考え方も必要になります。
以上、垂直避難について、そもそも垂直避難とは何か、避難の基本的な考え方、などについて見てきました。どの避難方法がベストなのかというのは状況によって異なるので一概に言い切ることはできませんが、垂直避難も場合によっては有効な避難方法になり得ます。

参照記事
浸水想定区域とは?洪水ハザードマップの基本的な考え方

参考サイト▪︎内閣府「災害時の避難に関する検討課題・避難の考え方の明確化」