緊急輸送道路(緊急輸送路)とは?その役割と耐震化について

災害が発生した際には、道路が寸断されたり、建物が倒壊して道路がふさがれたりすることがあります。
支援部隊や支援物資を輸送するためには、道路の輸送経路をしっかりと確保することが重要になり、災害時にも道路を機能させるためには事前の防災対策が重要になります。
そのために災害時に輸送などを行う上で重要になることが予想される道路については、緊急輸送道路(緊急輸送路)として指定されています。
今回はそんな緊急輸送道路について、そもそも緊急輸送道路(緊急輸送路)とは何か、緊急輸送道路(緊急輸送路)の種類、などについて書いて行こうと思います。

緊急輸送道路(緊急輸送路)とは何か

そもそも緊急輸送道路(緊急輸送路)とは何かをひとことで言うと、地震が発生した直後にも緊急輸送などを円滑に行うために指定された道路のことです。
高速自動車国道、一般国道、これらに連絡する幹線道路、知事が指定する防災拠点に連絡する道路がこれに該当します。

この緊急輸送道路は災害時には復旧・復興を行う上で極めて重要な存在になります。仮に緊急輸送道路が機能しなければ、被災者を助けるための救急救命活動にも支障が出ますし、避難所に支援物資を十分に届けることもできなくなります。
そのために、災害時には緊急輸送道路における一般の交通を規制することもあり、災害対応のために緊急輸送道路を活用することがあります。
また、緊急輸送道路に隣接している建物については、耐震化が進められています。地震で建物が倒壊して、これが緊急輸送道路に倒れて来てしまうと、緊急輸送道路がふさがれてしまい、機能しなくなることがあります。
そのために、例えば東京都では「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」を施行しており、緊急輸送道路が災害時にも機能するような対策がなされています。

参照記事
道の駅の防災拠点としての役割と現状の課題について

緊急輸送道路(緊急輸送路)の種類

緊急輸送道路については、一般的にどこをつなぐ道路なのかによって、第1次~第3次まで設定されるものが多いです。
どの緊急輸送道路をどの種類にするのか、その指定の手順としては、一般的に各県緊急輸送道路ネットワーク計画の見直しを目的とした協議会で審議され、県防災会議の承認を経て指定されて、都道府県の地域防災計画に反映されます。

緊急輸送道路の種類:第1次緊急輸送道路ネットワーク

一般的に第1次緊急輸送道路ネットワークに指定される緊急輸送道路は、県庁所在地、地方中心都市及び重要港湾、空港等を連絡する道路であることが多いです。

緊急輸送道路の種類:第2次緊急輸送道路ネットワーク

一般的に第2次緊急輸送道路ネットワークに指定される緊急輸送道路は、第1次緊急輸送道路と市町村役場、主要な防災拠点(行政機関、公共機関、主要駅、港湾、ヘリポート、災害医療拠点、自衛隊など)を連絡する道路であることが多いです。

緊急輸送道路の種類:第3次緊急輸送道路ネットワーク

一般的に第3次緊急輸送道路ネットワークに指定される緊急輸送道路は、第1次緊急輸送道路ネットワークでも第2次緊急輸送道路ネットワークでも指定されなかった、その他の道路であることが多いです。
以上、緊急輸送道路について、そもそも緊急輸送道路(緊急輸送路)とは何か、緊急輸送道路(緊急輸送路)の種類、などについて見て来ました。
緊急輸送道路は災害時の輸送という観点から重要な道路であり、その道路としての機能を災害時にも維持するために、事前の防災対策が重要になって来ています。

参照記事
防災の観点から見た無電柱化の重要性について

参考サイト▪︎国土交通省「緊急輸送道路」