防災の主流化とは?その定義と取り組み内容について

2011年に発生した東日本大震災は東北地方を中心とした日本に大きな被害をもたらしました。大きな地震と津波、そして原子力発電所での事故と、多くの災害が発生しました。東日本大震災では建物の耐震化など、過去の災害の教訓から学んで事前に防災対策できていた部分もありますが、一方でこの災害によって改めて浮き彫りになった防災の課題も多く出てきました。
内閣府中央防災会議の防災対策推進検討会議ではそんな東日本大震災の教訓を総括した際に、その最終報告書の中で「防災の主流化」という言葉を使いました。今回はそんな防災の主流化について、そもそも防災の主流化とはどのような意味なのかについて簡単に書いていこうと思います。

防災の主流化とは何か

そもそも防災の主流化とは何かをひとことで言うと、防災に関する政策について優先的に取り組んでいくというものです。
もともとは国際連合の国際防災戦略(UNISDR)で防災の主流化というニュアンスの言葉が使われており、東日本大震災を受けて改めて日本として防災に関して力を入れて取り組んでいく必要性ができたことから、「防災の主流化」という言葉が防災対策推進検討会議でも使われました。
防災の主流化の定義は下記の3つで表現されます。

防災の主流化の定義

①各国政府が、「防災」を政策の優先課題とすること
②全ての開発政策・計画に「防災」を導入すること
③「防災」に関する投資を増大させること

このように防災の主流化では、政府が防災に対してしっかりとリソースをかけて取り組み、東日本大震災のような大きな災害が仮に今後発生したとしても、できる限り被害を小さく抑えようという意気込みが感じられます。
実際に下記のグラフを見てもわかるように、国が災害に関してかけている予算についても、東日本大震災が発生した平成23年以降、増加していることがわかります。

(防災関係予算額の推移:内閣府HPより引用)
災害に関する予算の割り振りとしては、災害復旧等にかける費用が最も大きく、この予算の膨らみは災害復旧に関する予算が上澄みされたからだという見方もありますが、引き続き、災害予防や災害に関する科学技術研究に対しても予算が取られています。
日本は災害大国として今までに数多くの災害を経験してきましたが、それゆえに災害から多くの教訓を学んできました。
国際化の進む現在の社会においては、防災に関するノウハウや知識を他の国へと提供することも進められており、日本のみならず世界全体の防災の主流化においても日本は今後も活躍が期待されています。
以上、防災の主流化について、そもそも防災の主流化とはどのような意味なのかについて見てきました。
日本は災害大国である以上、防災体制の整備は必要不可欠であり、防災の主流化は今後発生が予測されている、南海トラフ地震や首都直下地震による被害を減らす上でも大切な考え方になります。

参照記事
災害復旧事業とは?インフラ施設を災害復興する流れ

参考サイト▪︎>国土交通省「防災の主流化に向けた水災害分野の取組み」