水防団とは?災害時の役割と消防団との違いについて

洪水や高潮など水によってもたらされる災害を水害と呼びます。そんな水害から自分の地域を守るための防災組織として「水防団」と呼ばれるものがあります。河川の見回りや避難誘導など水害発生時に行います。
今回はそんな水防団について、そもそも水防団とは何か、水防団と消防団の違いは何か、東日本大震災で水防団を取り巻く環境はどう変わったのか、などについて書いていこうと思います。

水防団とは何か

そもそも水防団とは何かをひとことで言うと、水害から自分の地域を守るための防災組織です。水害から身を守るための法律として水防法と呼ばれるものがあるのですが、水防団はこの水防法の規定によって市町村が水防管理団体となって水防活動を行います。
水防団は一般的には一般市民で構成されており、普段は自分の仕事をそれぞれしているのですが、水害が発生すると水防管理者の指示のもとに参集して水防活動を行います。立場としては特別職地方公務員であり、市町村から手当も支給されます。
主な活動内容としては、河川の見回り、水防活動、住民の避難誘導、他防災機関との調整、水防訓練などが挙げられます。一般市民が水害時に担当する性質があるので、最近では高齢化や地域コミュニティの脆弱化に伴って、水防団の防災力が低下していることが問題になっています。

参照記事
氾濫危険水位、避難判断水位、氾濫注意水位、水防団待機水位とは?

水防団と消防団の違いは何か

水防団に似た組織として消防団があります。水防団は消防団と兼務することが多いですが、水防団が水害に対して災害対応をするのに対して、消防団は自分の地域で火事が発生した際の消防活動、災害に伴う救護活動、など水害に関わらず災害に対して広く対応します。
消防団も水防団と同じく立場としては特別職地方公務員であり、災害が発生していない時にはそれぞれ自分の仕事を行なっており、災害発生時に災害対応活動を行います。

東日本大震災で水防団を取り巻く環境はどう変わったのか

このように水防団は水害発生時には地域を水害から守るために意義のある活動を行うのですが、一方で災害時における水防団の身の安全については議論されています。水防団は、普段は自分たちの仕事を行なっていて災害時のみ対応するので、災害対応のプロというわけではありません。
それにも関わらず、災害が発生した際には避難誘導をしたり、水防活動をしたりする必要があるので、水防団自身が被災するリスクが高いです。実際に東日本大震災では津波を防ぐために堤防の水門を閉めようとしていた水防団員が犠牲になりました。

これを受けて国土交通省では水防法を改正して、水防の作業に当たる作業員の安全を確保するための対策を盛り込みました。
以上、そもそも水防団とは何か、水防団と消防団の違いは何か、東日本大震災で水防団を取り巻く環境はどう変わったのか、などについて見てきました。
日本では毎年多くの水害が発生していますが、水防団はそのような水害から地域を守るために活躍しています。

参照記事
洪水予報と避難の関係について!避難勧告のタイミング

参考サイト▪︎国土交通省「水防団、水防活動とは」