特殊災害とは?自然災害とは異なる災害について

一般的に災害と聞くと、地震、津波、洪水などといった自然災害を想像する人が多いかと思います。しかし、少し大きな括りで見てみると、自然災害は災害の中の一つであり、この他にも災害の中には特殊災害などがあります。特殊災害と言われてもなかなかイメージできないかもしれませんが、石油コンビナートの事故や林野火災などが特殊災害に分類されます。
今回はそんな特殊災害について、そもそも特殊災害とは何か、特殊災害の種類、などについて書いていこうと思います。

特殊災害とは何か

そもそも特殊災害とは何かをひとことで言うと、自然災害以外の、化学物質関連の事故、交通機関の事故、テロリストによる攻撃など、その名前の通り特殊な災害のことを意味します。
最近では特殊災害をNBC災害やCBRNE災害などと呼ぶこともあります。NBC災害は、核(Nuclear)、生物(Biological)、化学物質(Chemical)の頭文字の略であり、それぞれの分野が関連し災害の総称ということでそう呼ばれています。CBRNE災害はこれに放射性物質 (Radiological)、爆発物 (Explosive)を加えたものになります。
特殊災害は、その特殊性からなかなか災害対応に当たるのがむずかしく、特殊災害の訓練を受けたものでなければ対応できないこともあります。

最近では東日本大震災の際に福島第一原子力発電所で事故がありましたが、その放射能の関係から作業がなかなか進まなかったのは記憶に新しいかと思います。
このような特殊災害に備えて、消防などでは対策室を設けており、災害対応できる体制を整えています。

参照記事
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特殊災害の種類

ひとことに特殊災害と言っても、その種類はいくつもあります。今回はその中でも代表的なものについてご紹介していこうと思います。

特殊災害の種類①:石油コンビナート事故

平成15年9月に発生した十勝沖地震では北海道苫小牧市内の石油精製事業所において火災事故が発生しましたが、石油コンビナートということもあり、その災害対応は困難を極めました。
石油コンビナートは大量の危険物等が集積しているためにその対応が困難になることが多いと同時に、石油コンビナートは日本のエネルギー全体を考えるにあたってサプライチェーンの一角として重要な機能を持っています。
そのために石油コンビナート等特別防災区域が存在する道府県には石油コンビナート等防災本部が常設されており、消防機関をはじめとした防災関係機関、特定事業者が一体となって防災体制を確立する体制が整備されています。

消防庁では石油コンビナートの事故に対応するために、消防力の充実強化及び防災体制の充実強化などを行っています。
石油コンビナートの特定事業所には、消防車両等を備えた自衛防災組織等が置かれているのですが、消防車両等の操作技能を高めていくために「石油コンビナートにおける自衛防災組織の技能コンテスト」というものが開催されており注目を集めています。

特殊災害の種類②:原子力災害

原子力災害というと福島第一原子力発電所を想像する人が多いかと思いますが、日本全国には多くの原子力発電所があり、仮に事故が発生したら災害対応を行う必要があります。
消防庁では、消防隊員の安全を確保しながら効果的な消防活動が展開できるよう、消防活動マニュアルを見直すなどして、消防機関による原子力施設等における活動対策に関する支援などを行っています。

参照記事
CBRNE(NBCR)とは?災害に限らないリスクに対応する

特殊災害の種類③:林野火災

林野火災は発生すると森林の延焼が続いて大きな被害がでることがあると同時に、時には人家にもその被害が燃え広がることがあります。
消防庁では林野火災の対策として、全国各地で山火事防止を呼びかけており、防火水槽などといった林野火災予防施設の整備も行っています。

特殊災害の種類④:海上災害

タンカーなどといった大型の危険物積載船舶は、仮に事故に遭遇すると海洋汚染などによって周辺住民への被害を及ぼすおそれがあります。
消防では、船舶火災時における消防活動上の留意事項を取りまとめており、また地方公共団体における流出油災害対策の充実強化の推進を行っています。
この他にも特殊災害には様々な種類があり、消防をはじめとした各機関はその対策にあたっています。
以上、特殊災害について、そもそも特殊災害とは何か、特殊災害の種類、などについて見てきました。
特殊災害はいろんな種類がありますが、どれもその災害対応が困難なものばかりであり、事前の防災体制の整備が重要になってきています。

参照記事
人為災害と特殊災害とは?その種類と自然災害との違い


参考サイト▪︎総務省消防庁「特殊災害室」