防災集団移転促進事業とは?要領や補助金について


被災した地域においては、またいつここで災害が発生するか分からないので、これ以上ここに人が住むのは危険と判断される場所や、災害は発生していなくても、いつ災害が発生するか分からないので、住居の移転をした方が良い場合があります。
住民を災害から守るためには時にはこのような住居の移転が必要になることがあるのですが、この事業のことを「防災集団移転促進事業」と呼びます。
住民を災害から守るために防災集団移転促進事業は重要な事業であり、過去にも東日本大震災や新潟県中越地震などで防災集団移転促進事業は行われました。
今回はそんな防災集団移転促進事業について、そもそも防災集団移転促進事業とは何か、防災集団移転促進事業の割合、防災集団移転促進事業の課題、などについて書いていこうと思います。

防災集団移転促進事業とは何か

そもそも防災集団移転促進事業とは何かをひとことで言うと、災害が発生した地域や災害危険区域のうち、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を促進する事業のことです。
「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律」という法律に基づいて行われており、防災集団移転促進事業は省略して「防集」「防集事業」などと呼ばれることもあります。

住民が災害に巻き込まれる可能性のあるエリアなどに住んでいると危険であるために、住居を移転することでこのリスクを無くそうというものになります。
原則としては最低で10戸以上の移転を行う場合が対象となり、市町村が移転促進区域の設定、住宅団地の整備、移転者に対する助成などを決め、それに対し国土交通省が事業費の補助をする仕組みになっています。

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防災集団移転促進事業の補助割合

そもそも防災集団移転促進事業の対象となる経費については、住宅団地の用地取得及び造成に要する費用、移転者の住宅建設・土地購入に対する補助に要する経費、住宅団地に係る道路、飲用水供給施設、集会施設等の公共施設の整備に要する費用。
移転促進区域内の農地及び宅地の買取に要する費用、移転者の住居の移転に関連して必要と認められる作業所等の整備に要する費用、移転者の住居の移転経費(引っ越し費用等)に対する補助に要する経費になります。

(防災集団移転促進事業:国土交通省HPより引用)
補助割合としては、国土交通省が事業費の3/4を補助をする仕組みになっています。残りの1/4についても地方財政措置が行われるので地方自治体の負担はほとんどなくなります。

(防災集団移転促進事業:国土交通省HPより引用)
なお、災害によっては特例が設けられることがあり、新潟県中越地震や東日本大震災の際には当該地域での特例措置として、最低戸数を半分の5戸以上へと緩和されました。
また、東日本大震災被災地では、さらに住宅団地に関連する公益的施設(公園、集会所など)の用地取得造成費を補助対象に追加するなどの拡充措置を行っています。

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防災集団移転促進事業の課題

一方で防災集団移転促進事業にはいくつか課題の声もあがっています。まず、自治体と住民の合意形成については問題になることが多いです。
住民にとっては住居を移転することは今後の人生を左右する一つの出来事といっても過言ではなく、移転先の選定などで自治体と住民の間で意見が合わないことがあります。
他にも、用地の取得に関しても復興事業を進めるにあたって、地権者が特定できないことや地権者の同意を得るのに時間がかかり、防災集団移転促進事業を進めるのに時間がかかってしまうなどの課題も指摘されています。
以上、防災集団移転促進事業について、そもそも防災集団移転促進事業とは何か、防災集団移転促進事業の補助割合、防災集団移転促進事業の課題、などについて見てきました。
防災集団移転促進事業は被災地および災害が発生しそうな場所において住民を災害から守るために重要な制度であり、その活用が進んでいます。

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参考サイト▪︎国土交通省「防災集団移転促進事業」