災害対応における人的応援について災害フェーズでまとめてみた

大規模な災害が発生した場合には、被災した自治体のみでは災害対応を行うことができません。そのために、近隣の自治体、国、提携先の民間企業から被災地に対して災害対応を行う上でのリソースが支援されていきます。
災害対応を行う上では、食料や生活必需品などの支援物資を届けることも大切ですが、災害対応を行う人的な応援についても大切になってきます。
今回はそんな災害対応を行う上での人的応援について、災害対応で人的応援が必要になる理由、災害初動期で必要な人的応援、災害応急対応期で必要な人的応援、災害復旧・復興期で必要な人的応援、などについて書いていこうと思います。

災害対応で人的応援が必要になる理由

普段の自治体の業務では国や近隣の地方自治体から人的応援を受け入れることがなくても業務を行うことができますが、災害時には2つの理由から人的応援が必要になります。
一つ目の理由は、被災地では自治体そのものも被災するために、人員が通常時よりも不足するためです。災害対応を行う自治体で働く人員についても、災害時には全員が働くことができる訳ではなく、出社できない人員も一定数出てきたしまいます。
また、校舎や施設が被災によって被害を受けることもあるので、普段よりもリソースが限られた中で業務を行う必要があります。

二つ目の理由は、災害時には通常時よりも業務が多くなるためです。当たり前のことではありますが、災害時には通常時に行なっている業務よりも業務の量が飛躍的に増えるために、その分の人手が必要になります。
以上2つの理由から、自治体は災害対応で人的なリソースが足りなくなり、災害のフェーズに合わせて必要な人員を応援で受け入れる必要があります。

参照記事
災害対策本部とは?その役割と設置基準について

災害初動期で必要な人的応援

発災直後から3日間までの災害初動期では人命救助が何よりも最優先事項として取り組んでいくことが一般的です。
そのために、医療対策要員として救護班やドクターヘリが人的応援として必要になります。また、住宅が壊れてしまった被災者が生活するための場所として避難所が必要になるために避難所運営要員も必要になります。
3日経つと備蓄品もすぐに底をついてしまうために、支援物資の集積・配送拠点運営要員も必要になります。

この他にも国の関与により派遣調整が行われる要員として、警察災害派遣隊(警察庁)、緊急消防援助隊(消防庁)、DMAT(厚生労働省)、配水者・配水要因(日本水道協会)、被災建物応急危険度判定士(建物応急危険度判協議会)があります。
また、国が派遣する要員として、自衛隊、海上保安庁、被災文教施設応急危険度判定士(文部科学省)、リエゾン(国土交通省)、TEC-FORCE(国土交通省)などがあります。

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防災・災害対応に関する各種ガイドライン・手引きを一挙ご紹介!

災害応急対応期で必要な人的応援

災害応急対応期には避難所運営や仮設住宅建設などを行なっていきますが、そのために避難所運営要員、物資集積・配送拠点運営要員、保険・医療・福祉連絡要員、被災者の心のケア要員、応急仮設住宅整備要員、被災者生活支援窓口要員、などが必要になります。
この他にも国の関与により派遣調整が行われる要員として、警察災害派遣隊(警察庁)、水道復旧要員(日本水道協会)、下水道復旧要員(日本下水道協会)、農地・農業用施設復旧要員(農林水産省)などが挙げられます。

災害復旧・復興期で必要な人的応援

災害復旧・復興期では被災者が元の生活に戻っていく段階ですが、そのために社会基盤施設復旧要員、被災者生活支援窓口要員、被災市町村事務全般支援要員などが必要になります。

参照記事
防災協定(災害時応援協定)とは?地方公共団体と民間企業との協定

参考サイト▪︎内閣府「災害時応援受け入れガイドラインの概要」