水のうとは?土のうの代わりに水害から家を守るための方法

水害が発生した際に家が浸水してしまうと、その後の修繕対応が大変なものになります。何よりも自分の身を守ることが一番ですが、家を水害から守る余裕があるならば、身近な道具を使って簡単な水のうを作成し、水害に備えることが出来ます。

水のうとは何か

そもそも「水のう」とは何かをひとことで言うと、小規模な水害で水が家の中に入り込みそうになった場合に、その水をせき止めて、浸水を防ぐために使用するものです。一般的に、家が浸水しないように、水をせき止める道具としては、「土のう(どのう)」がよく知られています。土のうとは、布袋の中に土砂を詰めたものであり、いくつもの土砂が入った袋を積み上げて玄関などに並べることで、”土の壁”を作り、家を小規模な浸水から守ることが出来ます。

土のうを玄関に並べることで家を浸水から守ることができる

自治体によっては「土のうステーション」を各地に設置しており、災害時には誰でも自由に取り出せるように準備されていることもありますが、全ての住民がこれを利用できるわけではなく、なかなか各自宅で土のうを用意をするのは難しいケースが多いです。そのために、土のうに変わる道具として、比較的手軽に準備することができる水のうが注目されています。

江戸川区では区内41箇所に土のうステーションが設置されている(江戸川区HPより画像引用)

静岡市が公開しているこちらの動画が、水害に対する備えとして水のうをいかに使うのかを簡単にまとめているので、参考にしてみると良いです。

水のうの活用①:ゴミ袋を使った方法

一般的な40リットルのゴミ袋を2〜3枚重ねて、そのゴミ袋の中に水を入れて入り口などに隙間なく並べることで簡単に水のうを作ることが出来ます。隙間なく並べることで、10cm程度の水深であれば防ぐことができます。また、ゴミ袋をダンボールの箱に入れて、ダンボールを隙間なく並べることで強度を高めることができます。

どの家庭にも置いてるゴミ袋を使って簡単に水のうを作ることが出来る(三鷹市HPより画像引用)

水のうの活用②:ポリタンクやプランターを使った方法

ゴミ袋は家にあるものなので簡単に作ることができますが、一方で強度が弱く水が漏れるかもしれないという可能性があります。10リットルや20リットルのポリタンクに水を入れてレジャーシートで巻き込んで連結することでより強度の高い水のうにすることができます。また、ポリタンクが無い場合には、プランターを活用して、土を入れたプランターをレジャーシートで巻き込むことで比較的に強度の高い水のうを作ることが出来ます。

参照記事
水害保険(水災保険)とは?風水害からのリスクに備える

水のうの活用③:止水板を使った方法

止水板を使った方法というのは、玄関など出入り口に長めの板を使って浸水を防ぐというものです。これは水のう以外のものを重しとしても活用することが出来ますが、玄関の入り口などを長板で防ぐことで浸水を防ぐことができます。

ポリタンクやプランターなどが家庭にある場合には、より強度の高い水のうを作ることが出来る。また、長い板などがあれば、より簡単に浸水を防ぐことが出来る(三鷹市HPより画像引用)

水のうの活用④:吸水性ゲル水のうを使った方法

土のうの代わりとして使用できるものに市販の吸水性ゲル水のうがあります。吸水性ゲル水のうは軽量コンパクトですが、水を吸うことで膨張します。なかなか吸水性ゲル水のうを、事前に準備しておくことは難しいかもしれませんが、もし興味があれば是非詳しく調べてみてください。

排水溝逆流浸水にも備える

家を浸水から防ぐというと、玄関などの外から家に入り込んできる水をイメージされる方が多いですが、洪水時には、洗濯機やお風呂場の排水口やトイレなど、思わぬところから下水が逆流することがあります。そのために、洗濯機の排水口やトイレの排水口の上に水のうを置いて塞ぐことで、家の内部から浸水についても対策をすることが出来ます。

洪水時には、洗濯機やお風呂場の排水口やトイレなど、思わぬところから下水があふれ出ることがある(三鷹市HPより画像引用)

風水害に備えて水のう以外に備えるべきこと

日本では、高度経済成長が始まった1950年後半から、加速度的に都市化が起き、都市化によって川の洪水の様子が一変しました。丘陵地や田畑が宅地化し、道路が建設され地面が舗装されるために、流域に降った雨がすぐに川に流入するようになりました。その結果、洪水流量のピークが早く出現する、ピーク流量が増加する、全洪水流量が増加するなどの現象が発生し、水害の発生する可能性が高まりました。

小規模な水害であれば水のうでも家を浸水から守ることが出来るかもしれませんが、より大きな風水害から家を守るためには、総合的な対策をする必要があります。例えば、家の周囲に不良箇所がないかを台風や大雨の前に確認し、必要に応じて修理を行ったり、強風により飛散する危険がある物がないかを確認し、あれば室内に移したりなどが考えられます。風水害が発生したら、自宅はどうなるのかを事前にイメージし、問題になりそうな箇所については対策を打っておきましょう。

家を風水害から守るためには、事前に問題になりそうな箇所については対策を打っておく必要がある(船橋市「防災ハンドブック」より画像引用)

以上、簡単ではありますが身近な道具を使った水防工法について見て来ました。水害が発生しそうな際には、自分や家族の身を守ることが何よりも優先ですが、余裕がある際には身近な道具を使った水防工法を活用することで小規模な水害から家を守ることができるかもしれません。

参照記事
首都圏における大規模水害の被害想定とその対策について

参考サイト▪︎江戸川区HP▪︎三鷹市HP▪︎船橋市「防災ハンドブック」