防災情報データの標準化を行うための政府の取り組みについて

災害対応を行う上で災害や被害状況の情報を迅速かつ正確に入手し管理することはとても重要です。そのためには災害や防災に関する情報の標準化を行って、データを入手しやすく、扱いやすくする必要があり、内閣府では防災情報データの標準化における取り組みを行なっています。
今回はそんな防災情報データの標準化を行うための政府の取り組みについて、なぜ防災情報データの標準化が必要なのか、防災情報データの標準化では何を行うのか、などについて書いていこうと思います。

なぜ防災情報データの標準化が必要なのか

そもそもなぜ防災情報データの標準化が必要なのかについてなのですが、それは現状の防災情報データの取り扱いが問題を抱えているからです。
具体的には、災害リスク情報を公開・流通させるためのデータ仕様が明確に決まっていないことがあります。災害情報に関するデータを格納する標準的データ仕様がないので、機関によっては独自形式やCSV形式で保管していますが、仕様が統一されていません。
そのために、他の機関がその防災情報を活用しようと思った際に、時にデータの記述内容を理解することが困難な場合があります。

また、異なる機関の災害リスク情報を統合的に利活用することができないという問題もあります。
例えば、被害想定データはPDF形式で公開されていることが多く、地図上での重ね合わせなどが困難である場合があります。
これらの課題を解決するために、災害リスク情報を流通するための標準的な仕様を整備して規格化を進める必要があります。

参照記事
総合防災情報システムと防災情報共有プラットフォームについて

防災情報データの標準化では何を行うのか

防災情報データの標準化では具体的に、「データの所在に関する課題」と「データ仕様の明確化・共通化に関する課題」の解決を図ります。
データの所在に関する課題とは、防災関連機関が災害情報を作成していますが、どこにどのような情報があるのかよくわからないという問題です。
この問題を解決するために、各防災機関が保有している災害情報のメタデータ仕様案を作成して、作成したメタデータを管理するシステムを構築し、データの概要や所在を機関横断的に検索する環境の整備を進めています。
データ仕様の明確化・共通化に関する課題とは、災害リスク情報等が二次利用可能なデータ形式や構造で提供されていないという問題です。

この問題を解決するために、他機関との情報流通を図る可能性がある情報についてデータの標準化を図り製品仕様書を作成し、製品仕様書に基づくデータの作成や利活用を支援するツールを構築することが進められています。
以上、防災情報データの標準化を行うための政府の取り組みについて、なぜ防災情報データの標準化が必要なのか、防災情報データの標準化では何を行うのか、などについて見てきました。
防災情報データの標準化は防災情報の重要性の高い現在の社会では必要不可欠であり、今後のさらなる普及が期待されています。

参照記事
災害ビックデータを防災に活用する具体的な方法について

参考サイト▪︎内閣府「防災情報データ標準化における内閣府の取組について」