世界・日本の防災ベンチャー(防災スタートアップ)の実態について

2017.12.03

少し前から日本中でフィンテックというキーワードが注目されています。「金融」と「IT」を融合させることで今までの旧態依然とした非効率的な金融業界を変えようとしています。
このフィンテックの動きは、もともとアメリカのシリコンバレーを中心に生まれたベンチャー企業から始まり、それが日本に輸入される(海外のサービスを真似する)ような形で日本でもブームとなりました。
フィンテックに限らずアメリカで流行ったサービスが3年後くらいに日本に輸入されることはよくあるのですが、防災や災害対策という面でも同じようにアメリカを始めとした海外で注目されているベンチャー企業やサービスがないのか調べてみました。

海外の有名ベンチャーキャピタルが投資している防災ベンチャー

海外で有望な防災ベンチャー企業を探す方法に有名ベンチャーキャピタルが投資している企業を探すという方法があります。ベンチャーキャピタルとは将来性のあるベンチャー企業(スタートアップ)に投資をする機関です。
全ての有望なベンチャー企業がベンチャーキャピタルから投資を受けているという訳ではないのですが、一般的にベンチャー企業が投資をする会社は厳しい審査をくぐり抜けてきているくらいだからよっぽどいい会社だろうという認識があります。
「投資」と似たようなものに銀行からの「融資」がありますが、これは似て非なるものであり、融資は割と簡単に受けることができますが、投資はそう簡単には受けることができません。ベンチャーキャピタルによる投資は100社に1社くらいの割合でしか審査に通ることができません。
そんなベンチャーキャピタルにもランクがありランクが高いベンチャーキャピタルの評価の方がより信頼できます。今回はベンチャーキャピタルの中でも①Ycombinator、②500 startups、③Andreessen Horowitz、④Sequoia Capitalの有名所が防災ベンチャー企業に投資していないかを見ていきます。

①Ycombinatorの防災ベンチャーへの投資

YcombinatorはHP上で投資先の企業を公開しています。ここで「disaster」や「earthquake」などを検索してみるものの、検索でヒットすることはありませんでした。このことからYcombinatorは防災ベンチャー企業には過去に投資していないことが分かります。

②500 startupsの防災ベンチャーへの投資

500 startupsもHPで投資先を公開しています。ここで「disaster」と検索してみても何もヒットしなかったのですが、「earthquake」で検索すると1個の企業がヒットしました。
地震アラートのベンチャー企業:Grillo
Grilloは日本人にはお馴染みの地震アラート系のサービスを行っている防災ベンチャー企業です。地震が来る数十秒前にアプリのアラートが鳴って警告してくれます。
日本では既にアールシーソリューション株式会社が「ゆれくるコール」を提供していますが、これとほとんど同じだと思います。
参考になりそうな点を強いて言うなら、GrilloはUI・UX(操作のしやすさや見やすさ)がシンプルでわかりやすいです。

(画像:Grillo社HPより引用)
地震が来るタイミングがクッキングタイマーのように表示されるので、急に表示されても「あと30秒で地震が来る!」というのが直感的にわかりやすいデザインになっています。

③Andreessen Horowitzの防災ベンチャーへの投資

Andreessen HorowitzもHPで投資先のポートフォリオを公開していますが、防災ベンチャー企業への投資は見当たりません。

④Sequoia Capitalの防災ベンチャーへの投資

Sequoia CapitalについてHPで防災ベンチャーの投資先がないかを調べてみると、「disaster」と検索した際にDruvaというベンチャー企業がヒットしたのですが、ここは防災ベンチャー企業というよりは、災害時にデータのバックアップ体制をクラウド上で行うサービスを行っている会社であり、防災ベンチャーとは少し内容が異なったので特に今回は触れません。

海外有名ベンチャーキャピタルは防災ベンチャーに投資していない

以上の調査から、海外の有名なベンチャーキャピタル(少なくとも今回調査した有名所の4社)は防災ベンチャー(防災スタートアップ)企業に投資を行っていないことが分かりました。
日本は地震や台風などの災害が多いことで知られていますが、アメリカもハリケーンや地震がたくさんあります。なので 有名ベンチャーキャピタルが防災ベンチャーに投資していないのは意外でした。

ベンチャー企業のデータベースで防災ベンチャーを調べる

ベンチャー企業を探す別の方法としてベンチャー企業のデータベースから調査する方法があります。データベースとして①Angel Listや②crunch baseが有名なので今回はそこから防災ベンチャー企業がないか探してみます。

①Angel Listに掲載されている防災ベンチャー

Angel Listは世界中のベンチャー企業のデータを閲覧することができるサービスを提供しておりますが、その中で「disaster」と検索してみると、1件「Disaster Solutions」というベンチャー企業がヒットしました。
ITの力で防災を変えるスタートアップ:Disaster Solutions
このDisaster Solutionsという会社はその社名の通りなのですが、災害が発生した際の対応方法などについてITの力で解決しようとしています。アメリカに大惨事をもたらして日本でも大々的に報道されたハリケーン・カトリーナがきっかけに生まれた防災ベンチャー企業です。
個人的にこの防災ベンチャー企業はとても気になるので、しっかりと調べ直して、後日しっかりとまとめた記事を書こうと思います。Angel Listで見つかった防災ベンチャー企業はここだけでした。

②crunch baseに掲載されている防災ベンチャー

crunch baseはおそらく世界で最も大きなあらゆる企業の情報が閲覧できるデータベースなのではないかと思いますが、ここで「disaster」と検索するといくつかヒットしました。
AIで防災を行うベンチャー企業:One Concern
One ConcernはAIを使って防災の取り組みを行っている防災ベンチャーです。本社はシリコンバレーの心臓部分であるPalo Altoにあり、いかにもITの力で防災を変えようとしているベンチャー企業であると言えます。
AIという“ナウい”バズワードを使って防災サービスを行おうとしているところも面白そうです。既にいくつかの投資家から資金調達にも成功しているようです。この企業についてしっかりと調べて別の記事でしっかりと書こうと思います。
災害時の電波を迅速に復旧する防災ベンチャー:Disaster Tech Lab
Disaster Tech Labは災害が発生した際にwi-fiなどのネットワークをすぐに復旧するための防災ベンチャー企業(のよう)です。個人的にはハードにはあまり興味がないので特に詳しく調べることなく終わります。興味がある人は是非調べてみてください。

防災ベンチャーとして注目すべきは「One Concern」と「Disaster Solutions」

以上の調査から世界レベルで活躍している防災ベンチャーとして今後注目すべき企業は「One Concern」と「Disaster Solutions」であると言えます。この2社については当サイトにおいても改めて詳しく調べた記事を書かせていただきます。

日本の防災ベンチャー「レスキューナウ」

今までは世界の防災ベンチャーを見てきましたが、日本にも防災系ベンチャー企業として注目されている会社があります。それは「株式会社レスキューナウ」です。
鉄道の遅延情報を収集してデータ配信していることで有名ですが、その他にも防災に関する様々なサービスを提供しております。会社概要を見る感じですと、ALSOK、ニフティ、朝日新聞などから資金調達を行っており、日本の防災ベンチャーの中ではかなり“スタートアップっぽい”感じを出しています。
以上、海外と日本の防災ベンチャー企業を見てきました。どの企業にも共通して言えるのが、ITの力を使って防災業界を変えようとしている点です。個人的にはとても意義があり面白いと思います。今後の動向に注目です。