災害時に遠隔ロボット操作を行うタフ・ロボスティクス・チャレンジ

大規模な災害が発生すると、被災者の救助や捜索などで人間が立ち入ることができないために、作業がなかなか進まないことがあります。東日本大震災の際には一部でロボットを活用することで、この問題を解決しようとしました。
しかし、災害対応におけるロボットの活用はまだ実用的に使いこなされているものではなく、今後さらなる技術的な発展が期待されている分野でもあります。
このような問題に正面から取り組んで、災害時に遠隔自立ロボットによる救援活動などを行おうとしているプロジェクトに「タフ・ロボスティクス・チャレンジ」というものがあります。
今回はこのタフ・ロボスティクス・チャレンジについて、そもそもタフ・ロボスティクス・チャレンジとは何か、災害時の遠隔ロボットとしてどのようなものが検討されているのか、などについて書いて行こうと思います。

タフ・ロボスティクス・チャレンジとは何か

そもそもタフ・ロボスティクス・チャレンジとは何かをひとことで言うと、災害時に人間では対応できないような困難な被災地の場所において、災害対応を行うための遠隔自立ロボットの開発を行っているプロジェクトのことです。
災害時には全壊した建物の中から被災者を捜索したりする必要があり、時には人間が入ることがスペースの問題でできなかったり、あまりにも危険すぎてレスキュー隊でも立ち入ることができない場所が存在することがあります。
そのような場所に対して、遠隔操作できるロボットを送り込むことで、より効果的かつ安全に災害対応を行うことを目標としています。

このタフ・ロボスティクス・チャレンジは、総合科学技術・イノベーション会議において、将来の経済社会・産業のあり方に大きな変革をもたらすようなハイリスク・ハイリターンな挑戦的研究開発を推進する「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」において実施するプログラムの一つとして取り組まれています。
従来困難だった環境条件下であったとしても、情報収集や作業を可能にする減災ソリューションを社会に提供し、新規事業創出、災害ロボットの技術や事業の循環という社会と産業の両方にインパクトを与えることから注目を浴びています。

参照記事
災害現場へのLINE活用!SNSを防災に活かす新しい形

災害時の遠隔ロボットとして検討されているもの

タフ・ロボスティクス・チャレンジでは、被災地におけるロボットによる災害対応を行うために数多くの研究開発が行われています。
その中の一つが、要救助者を救出するためにサイバー救助犬の開発です。救助犬にサイバースーツを着用させることで、今までの救助犬ではできなかった災害対応の実現を見込んでいます。
他の開発としては、ドローンなどを活用した飛行ロボがあります。飛行ロボを活用することで、災害広域情報の収集や、構造物の被害情報の収集、構造物や設備の点検などが可能になります。

この他にも、瓦礫内捜索を行うための索状ロボ、構造物や設備の点検を行うための脚ロボ、災害復旧工事を行うための建設ロボ、など多種多様なロボットが研究開発されています。
以上、タフ・ロボスティクス・チャレンジについて、そもそもタフ・ロボスティクス・チャレンジとは何か、災害時の遠隔ロボットとしてどのようなものが検討されているのか、などについて見てきました。
タフ・ロボスティクス・チャレンジでは災害対応をより効果的で安全なものにするために研究開発が進められており、大きな期待が寄せられています。

参照記事
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参考サイト▪︎ImPACT「タフ・ロボティクス・チャレンジ」