地域防災計画とは?定期的に見直される防災のガイドライン

2017.12.02

日本の防災対策の基本的考え方や仕組みを規定している法律に「災害対策基本法」というものがあります。防災に関する法律はたくさんありますが、すべての基本になっているのはこの災害対策基本法です。
そしてこの災害対策基本法に基づいて「防災基本計画」が作成されます。この防災基本計画は防災に関する最上位計画なのですが、更にこの防災基本計画に基づいて「地域防災計画」が作られます。
今回はこの地域防災計画について、そもそも地域防災計画とは何なのか、地域防災計画にはどんなことが書かれているのか、定期的に地域防災計画が見直される(修正される)理由はなぜなのか、などについて書いていこうと思います。

地域防災計画とは何か

地域防災計画とはひとことで言うと、それぞれの都道府県とそれぞれの市町村が作成している防災計画のことです。都道府県が作成している地域防災計画のことを「都道府県地域防災計画」、市町村の作成している地域防災計画のことを「市町村地域防災計画」と言います。
冒頭でも触れたとおり、この地域防災計画は内閣府の中央防災会議の定める防災基本計画に基づいて、都道府県や市町村に置かれている地方防災会議によって作成されます。
防災基本計画に基づいて作られてはいるのですが、実際にどんな災害が発生するかについては地域特性(地震が発生する可能性が高いエリアなのか、原子力発電所が近くにあるのか、どんな川があるのか)などによって異なり、それぞれの地域に応じた地域防災計画が作成されます。

地域防災計画には何が書かれているか

地域防災計画には、その地域の実情に即して発生する可能性のある災害を中心として、災害が発生した際の対処方法について書かれています。災害の種類ごとに、災害対策編、風水害対策編などが書かれています。
平常時の予防対策、災害発生後の災害応急対策と復旧・復興対策等に至るまで災害の前後に至る対応が幅広く書かれています。災害が発生した際に行政がどう行動するのかの指針が描かれているバイブル的なものです。
どの都道府県も市町村もHP上で地域防災計画を作成しているので、興味がある方は是非一度ダウンロードしてみると良いです。例えば私が住んでいる東京都の品川区での地域防災計画が見たい場合には「東京都 地域防災計画」や「品川区 地域防災計画」とGoogleで検索すると地域防災計画を見ることができます。

参照記事
地域防災計画データベースで全国の地域防災計画を一括検索

地域防災計画をもとに防災マニュアルやBCPが作成される

一度自分の住んでいる地域の地域防災計画を見てみるとわかるのですが、ページの枚数がかなりあります。どの都道府県なのか、どの市町村なのかによって当然ページ数は異なるのですが、1,000ページを超えるような地域防災計画もたくさんあります。
そしていざ読んでみても、何が書いてあるか分かりにくかったり、曖昧なものも多くあったりします。そのために実際には地域防災計画があればいざ災害が発生した際にそれを見て上手く行動できるというわけではありません。
そのために具体的に災害が発生したらどう行動するかについては防災マニュアルやBCP等を作成して災害に対処するのが一般的です。
ただし、だから地域防災計画は法律があるから作らなければいけない形骸的なものという訳ではありません。この地域防災計画はその地域におけるバブル的なものであり、防災マニュアルやBCP等を作成する際にもベースになるためです。

参照記事
災害対策基本法とは?その概要と改正背景について

地域防災計画は定期的に見直しが行われる

地域防災計画は一度作成すれば完成するというものではありません。防災に限らずに、あらゆる計画の考え方にPDCAサイクルというものがあります。サラリーマンになると嫌というほど耳にする単語かと思いますが、地域防災計画においてもPDCAサイクルは重要です。
日本では毎年のように災害が発生しますが、災害が発生するたびに「あの時ああしていればもっと良い結果が得られたな」と思うことが必ず出てきます。その時の反省をもとに、計画もより良いものにブラッシュアップされていきます。実際に災害が発生しなくても、防災訓練をしていく中で計画に非合理的なものが見つかって改善されることもあります。
ただし実際の地域防災計画の見直しは少し違った角度から行われることが多いです。先ほどから何度か話してきましたが、市町村地域防災計画は都道府県地域防災計画をもとに作られています。都道府県地域防災計画は国の防災基本計画をもとに作られています。
国の防災基本計画は災害対策基本法という法律をもとに作られています。このようにそれぞれ身分階級のようなものができており、上位のものが変更されると、それに合わせて下位の防災計画も改定されていきます。

地域防災計画が改定される流れ

①災害の発生による学び

②国の防災基本計画の改定

③都道府県の地域防災計画の改定

④市町村の地域防災計画の改定

このような流れで、上位の計画に改定が生じるから、それに合わせて計画が矛盾しないように下位の計画も改定されていきます。この計画の改定は年に2回行われることもあり、PDCAサイクルに合わせて頻繁に改定されていきます。
しかし、ここで問題になってくるのは都道府県や市町村の地域防災計画の改定です。本来ならば国の防災基本計画の改定が行われれば、それに合わせて都道府県や市町村の地域防災計画も改善されなければならないのですが、 改定がうまく進んでいないのが実態です。
どうしても規模の小さな市町村や防災に予算の取れない地方自治体の場合には、地域防災計画の改定に人員やお金を回すことができずに、昔作った地域防災計画が改定されることなくそのまま使われているものがネットで探してみても散見されます。
数多くの仕事を抱えている地方自治体がその中で更に地域防災計画を作成するのはなかなか大変なことであるのは間違いがないのですが、仮にその地域で災害が発生した際に困るのはそこの住民たちです。これは地方自治体だけの問題ではなくて、社会全体で解決すべき大きな課題であると個人的には感じております。

参考サイト▪︎内閣府「防災計画」