災害時要援護者とは?名簿や台帳による管理について
日本では高齢化が進んでいることが問題視されていますが、災害対応や防災においても、高齢化は大きな影響があります。災害から身を守るためには、時には瞬時に判断して走って逃げなければならない時が来るかもしれませんが、高齢者と若者とではその行動に大きな違いが出てきます。
災害時に苦労するのは高齢者だけではありません。例えば身体障害者で移動に制限がある人や、外国人で日本語の案内が理解できない人など、災害時に苦労する人は多く存在します。
そんな人たちをまとめて「災害時要援護者」ということがありますが、今回はそんな災害時要援護者について、そもそも災害時要援護者とは何か、災害時要援護者は災害時にどんなニーズがあるのか、災害時要援護者を支援するためにどんな準備をすれば良いのか、などについて書いていこうと思います。
災害時要援護者とは何か
そもそも災害時要援護者とは何かをひとことで言うと、災害時に一般の人と同じように避難行動や避難生活をすることができず、他者による援助を必要としている人のことです。
具体的には高齢者、障害者、乳幼児、妊婦、負傷者、外国人などが挙げられます。特に人口割合から考えて日本は高齢化社会であるので、高齢者に対してどう防災対策をしていくのかが重要になってきます。
実際に過去の災害でも、地震、台風、洪水など災害の種類を問わず、高齢者が犠牲になる事例は多く存在しています。
災害時要援護者は災害時にどんなニーズがあるのか
高齢者は災害時にどんなニーズがあるのか
まず高齢者ですが、ひとことに高齢者と言ってもいろんな人がいます。同じ年齢の高齢者であっても災害時にどう行動できるのかは人それぞれです。また家族と一緒に暮らしているのか、それとも一人暮らしの高齢者なのかによっても災害時のニーズは異なります。
一人暮らしの高齢者の場合には、安否確認及び避難誘導のニーズがあることがあります。場合によっては車椅子、担架、ストレッチャーなどの補助器具が必要になる可能性もあります。
身体障害者は災害時にどんなニーズがあるのか
身体障害者の方も災害時には一般人にはないニーズが発生することがあります。身体のどの部位に障害を持っているのかによっても災害時の対応は異なりますが、例えば視覚障害者の場合には情報伝達が十分にされない可能性もありますし、避難誘導が必要になります。
言語障害の場合には災害時に手話や筆談などによって情報を伝達する必要があります。中には避難所で生活になり何か 支障が出てきても、気を遣ってそれを打ち明けない方もいるかもしれません。二次災害を防ぐ観点からも十分な対応が必要になります。
乳幼児や妊婦は災害時にどんなニーズがあるのか
乳幼児や妊婦も災害時には一般人にはない悩みが出てくるものです。まず乳幼児(児童)については、そもそも自力で避難することができないので、保護者の方や場合によっては他の人による避難誘導が必要になります。
妊婦の場合には、災害による精神的動揺によって状況が急変することもあるので、早めに避難行動を行い、場合によっては車椅子などを準備する必要が出てくるかもしれません。
外国人は災害時にどんなニーズがあるのか
外国人の場合には日本語を理解することができる場合には良いのですが、もし仮に日本語を理解することができない場合には、一体何が起きているのか理解できずに不安を覚えます。そのために多言語による災害情報の提供が必要になっていきます。
災害時要援護者を支援するためにどんな準備をすれば良いのか
災害時要援護者を支援するために防災の観点から事前にできることはいくつかあります。まずはそのエリアで発生する可能性のある災害を事前に知らせ、防災情報を伝えることです。
その地域ではどのような災害が起こる可能性があり、避難する場合にはどこに避難をすれば良いのかを事前に伝えておくことで、いざ災害が発生した際に迅速に行動をすることができます。
また、災害時要援護者の名簿を作成しておくことも重要です。日頃からどこに災害時要援護者がいるのかを把握しておくことで、危険が迫っている時に迅速に呼びかけに行くことができます。誰が、どの災害時要援護者に、どのタイミングで支援に行くのか、を事前に決めておくことも有効です。
他にも、地震などの際に家具の高齢者が下敷きになることを防ぐために、耐震性の高い家に住んだり、本棚などの家具に固定具をつけたりすることも重要な対策として考えられます。
避難所についても、災害時要援護者を一般の方と同じ避難所に入れるのではなくて、福祉避難所を事前に指定しておき、そこに避難させるのも一つの方法です。高齢者や他の災害時要援護者には一般人の方とは違った問題が避難所生活で発生する可能性があるので、福祉避難所についても事前に指定しておくことが重要です。
以上、そもそも災害時要援護者とは何か、災害時要援護者は災害時にどんなニーズがあるのか、災害時要援護者を支援するためにどんな準備をすれば良いのか、などについて見てきました。
災害時要援護者は災害時に犠牲になる可能性が高いですが、事前に防災対策を練っておくことで、少しでも犠牲者を減らすことができるかもしれません。
参考サイト▪︎日本赤十字社「災害時要援護者対策ガイドライン」