激甚災害法とは?被災地を助成するための支援制度
大きな災害が発生すると被災地は甚大な被害を受けます。被災地に住んでいる住民には家を失う人もいるでしょうし、被災地の自治体は災害対応および復旧・復興のためにかなりのお金が必要になります。
日本では大きな災害が発生した場合に国庫補助によって被災地を助成するという支援制度があります。激甚災害制度がこれに該当し、「激甚災害法」によってその内容は決められています。
今回はそんな激甚災害法について、そもそも激甚災害法とは何か、激甚災害法に指定されるまでの流れ、過去に激甚災害法が適用された事例、などについて書いていこうと思います。
激甚災害法とは何か
そもそも激甚災害法とは何かをひとことで言うと、大きな災害が発生した場合に、災害復旧事業にかかる国庫補助の特別措置を行うという法律です。正式名称は「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」と言います。
被災地の経済に著しい影響を及ぼし、地方財政の負担を緩和する必要があると認められたときにはその災害は「激甚災害」として指定されます。この激甚災害に指定されると、災害復興事業への国庫補助の割合が増えたり、中小企業への保証の特例措置が講じられたりします。
激甚災害法で適用される被害はいくつもあります。公共土木施設等への被害もその一つであり、災害によって被害を受けた河川、海岸、砂防設備、道路、港湾、漁港、下水道、公園や、公立学校、公営住宅、生活保護施設、児童福祉施設などが対象になります。
農地等の被害についても激甚災害法で適用される範囲であり、農地、農業用施設、林道、農林水産業共同利用施設などが対象になります。
激甚災害に指定されると、これらの施設や設備などの被害に対する国庫補助率が1〜2割程度増加します。
また、激甚災害法では中小企業の資金繰りに関する措置もあり、中小企業信用保険法の特例等の措置が講じられます。
激甚災害法の指定の流れについて
まず激甚災害法では大きく「本激」と「局激」の2つに分かれます。被害の状況によってどちらが指定されるのか変わってくるのですが、本激は激甚災害制度の対象地区が全国になるのに対して、局激は激甚災害制度の対象市町村を明示して指定します。
激甚災害法の指定の流れは、まず災害が発生すると市町村や都道府県によって被害状況の調査が行われます。その被害状況の調査結果をもとに内閣府や気象庁などの各省庁は査定見込額を算定し、その金額が「本激」に該当するのか、「局激」に該当するのかなどを見ていきます。
全国規模で指定基準を上回る規模となった災害に対して指定される激甚災害であれば本激であり、市町村単位で指定基準を上回る規模となった災害に対して指定される激甚災害であれば局激になります。
(激甚災害指定の流れ:内閣府HPより引用)
過去に激甚災害法が適用された事例
激甚災害法の本激に指定されるような災害は毎年のように起こっています。最近ですと2017年の九州北部豪雨、2016年の熊本地震が指定されています。この他にも豪雨によって大きめな災害がもたらされるたびに激甚災害法の本激が指定されています。また激甚災害法の局激についても同様に毎年のように指定されています。
以上、激甚災害法について、そもそも激甚災害法とは何か、激甚災害法に指定されるまでの流れ、過去に激甚災害法が適用された事例、などについて見てきました。
大きな災害が発生すると、被災地は財政的に急に大きな出費がかさむことになります。激甚災害法は被災地の復旧・復興を財政的に支援する上でとても重要な制度であり、今までにも被災地の復旧・復興を大きく支えているのです。
参考サイト▪︎内閣府「激甚災害からの復旧・復興対策」