BCP(事業継続計画)とは何かゴリラでも分かるように解説して見た!

2018.05.01

BCP(事業継続計画)という言葉をなんとなく聞いたことがあるという人は結構いるかと思います。ただし、新聞やニュースで見ることもありますが、実際にBCPとは何なのかまで詳しく理解している人はあまりいないというのが実態です。
企業の総務部や行政の防災部などに所属してい上司からBCP担当に命じられて、急遽BCPについて詳しく知る必要が出てきて調べてみるものの、よくわからなくて困っているというお話もよく聞きます。
今回はそんなBCPについて詳しく知りたい人のために長めではありますが、BCP(事業継続計画)とは何か、BCPとBCMの違い&BCPと防災の違い、BCPの重要性について、BCM(BCP)の策定方法、事業継続計画(BCP)に関するガイドライン、についてゴリラでも分かるように書いて行こうと思います。

BCP(事業継続計画)とは何か

そもそもBCPとは何かをひとことで言うと、地震や洪水などの自然災害、感染症や大事故などが発生しても企業が重要な事業を中断させない、または中断したとしても可能な限り短い時間で復旧させるための方針、体制、手順を示した計画のことです。
BCPとはBusiness Continuity Planの略であり、日本語では事業継続計画と言います。日本ではBCPのことを民間企業では事業継続計画、行政では業務継続計画と訳しており、民間か行政かによって意味合いも変わってきます。
例えば地震による災害が発生したら、企業の社員が被災して会社に出社できる人が半分しかいなくなったり、製造施設が地震で壊れて修理にするのに時間がかかったりするので、通常時にできていた業務が地震発生時にはいままで通りできなくなることがあります。
そのような状況であったとしても、地震による被災から免れた残った人員と設備で数ある通常業務の中から優先度の高い重要な業務は継続させ、許容されるサービスレベルを保ち、許容される期間内に復旧できるように、BCPでは前もって代替リソースを準備しておき、災害発生時には誰がどう動けば良いのかを事前に規定しておきます。

(事業継続計画の概念:内閣府HPより引用)
このグラフが示すように、BCPを準備しておくことによって、災害発生直後における企業の操業度を最低限維持することができると同時に、災害発生から復旧を行うまでの期間を短くすることができると言われています。
ちなみにこのBCPの策定はまだ普及している最中です。内閣府や公益財団法人東京中小企業振興公社が平成28年に行った調査では、大企業でBCPを策定している割合は60%、中堅企業でBCPを策定している割合は30%、中小企業でBCPを策定している割合は6%でした。
民間企業ではなくて自治体の場合では、総務省消防庁が平成29年に行った調査によると、都道府県でBCPを策定している割合は100%、市町村でBCPを策定している割合は64%でした。
民間、行政ともにまだまだBCPの策定はこれからというところではありますが、BCPの重要性が高まっており、BCP策定割合は年々増えています。

BCPとBCMの違い&BCPと防災の違い

BCPに似たような言葉にBCMという言葉があります。BCMとはBusiness Continuity Managementの略です。日本語では「BCP=事業継続計画」であり「BCM=事業継続マネジメント」です。
このようにBCPは計画であり、BCMはマネジメント全般についてです。BCMではリスクに対する管理体制をPDCAで回していくのですが、そのP(プラン)の部分がBCPであると言えます。
事業継続に関するマネジメント全体を表すのがBCMであり、そのマネジメントの計画の部分に該当するのがBCPです。ただし、日本ではBCPとBCMの違いが曖昧に使われることも多く、BCPで事業継続に関するマネジメント全般を意味して使われることもあります。
また、BCPと防災の違いについても使い分けが難しいので解説をしていきます。防災とBCPの違いは、「防災」が従業員の生命と会社の財産を守ることを目的としているのに対して、「BCP」は会社が緊急時に限られた経営資源で生き抜くための計画になります。
また、防災はリスクを事象ごとに考えていきます。自然災害には地震、津波、洪水、土砂災害などいくつかの事象があり、防災ではその災害の種類毎に計画を立てて行きます。
一方でBCPはインパクトごとに対応策を考えて行きます。BCPでは組織が事業を中断することが問題であり、それを引き起こす事象についてはなんでも良いという前提で計画を立てて行きます。
この他にも防災とBCPには違いがありますが特に「計画を立てる目的」と「考慮すべき事象」の2点が異なるところが、防災とBCPの大きな違いであると言えます。

BCPの重要性について

BCPを策定している企業や行政の数は年々増えており、日本政府も企業や行政にBCPを作ってもらうために様々な施策を行なっています。このように国をあげてまでBCPを作ろうとしているのには大きな訳があります。
BCPを策定することには多くのメリットがあり、民間企業や行政がBCPを策定することによって日本全体にとっても大きな便益をもたらすので、BCPの重要性がここまで言われるようになったのです。

BCPの重要性①:災害時のショックを低減させる

災害や大事故が発生した直後は誰もが大きなショックを受けます。災害時には通常時ほど冷静な判断ができませんし、感情的になることもあるかもしれません。
しかしそんな状態でも、今まで以上に経営者には数多くの重要な決断が迫られるという酷な状況に置かれます。しかし、そんな時に事前にBCPを作成しておけば、精神的なショックを和らげることができ、心に多少は余裕を持って経営判断を行うことができます。

BCPの重要性②:サプライチェーンとしての責務を果たす

そもそもBCPの重要性の認知が広まる一つにきっかけになった出来事に地震によって自動車の部品工場が被災して製造ができなくなってしまい、その自動車部品がないために自動車全体の生産が止まってしまったという出来事があります。
自動車の部品に限らず、日本のあらゆる産業でサプライチェーンが出来ており、一つの部品の製造が止まったら全体の製造が止まってしまうという可能性があります。
このサプライチェーンとしての責務を果たすという意味でも、BCPを策定して非常事態であっても重要な部品だけは最低でも製造できるようにするなどの対策を行うことが重要になってきます。

BCPの重要性③:取引先の信用を勝ち取る

BCPを策定していることを取引先に伝えることで、取引先に対して、この会社はいざという時にでも製品を供給してくれるのだという安心感を与えることができます。安心感を与えることで取引先に信頼されることができます。

BCPの重要性④:CSRとしてアピールできる

災害時に被災者を支援するなどの優れた対応を行った企業はマスコミで取り上げられてその社会貢献をアピールすることができます。
たとえばホテルが災害時に帰宅困難者を受け入れることを事前に決めておくことで、いざという時にCSR活動をしてアピールすることもできます。

BCPの重要性⑤:投資家へのアピール

東日本大震災で東北地方が被災した様子は全世界に放送されましたが、日本企業が抱える地震やその他災害に対するリスクは海外投資の関心も高いと言えます。
そんな投資家や利害関係者に対しの懸念を払拭するためにも、地震をはじめとしたこれらリスクについて有価証券報告書、社会環境報告書、CSR報告書などで積極的に開示することで、投資家へのアピールにもなります。

BCPの重要性⑥:通常業務でも優先順位をつけて取引できる

BCPを策定しておくことで災害時などにおける事業継続の戦略を考えるきっかけになり、企業・組織にとって重要な業務、資源、プロセス、調達先はどこなのか優先順位を確認することができます。
それが平常時における経営改善にも活かすことができ、企業を取り巻く環境変化へ対応していくことが可能になり、会社経営を効率的にすることができます。
このようにBCPを策定することには様々なメリットがあり、その有効性が確認されています。

BCM(BCP)の策定方法

ここからは少し長くなりますが、BCM(BCP)の具体的な策定方法について書いていこうと思います。今回BCPの策定方法を考えていくにあたっては、内閣府が公表している「事業継続ガイドライン」に沿ってその策定方法を見て行きたいと思います。

BCM(BCP)の策定の全体像

BCM(事業継続マネジメント)を行うにあたって、まずは全体像を見て行こうと思います。大きな流れとしては「①方針の策定」→「②事業影響度分析」→「③リスクの分析」→「④事業継続戦略・対策の検討と決定」→「⑤事業継続計画(BCP)等の策定」→「⑥事前対策及び教育・訓練の実施」→「⑦見直し・改善」の順番に進んで行きます。これからかく項目について詳しく見て行こうと思います。

(事業継続マネジメントの各プロセス:内閣府HPより引用)

①BCM(BCP)方針の策定

まずBCMを策定するにあたって、自社が社会に対して果たすべき役割は何で、自社にとって重要な事項は何なのかを明確にする必要があります。
会社の経営理念やビジョンを見ながら、自社の取引先、株主、従業員などの利害関係者を改めて見直して見ると良いです。
経営者はこれを見ながら自社の事業継続に対する基本方針を策定します。事業継続の目的やBCMで達成すべき目標も策定し、可能であれば取締役会で決議を行うことができればベターです。
またBCMを構築していくにあたって、実施体制をどうするのかを考える必要もあります。BCMの責任者を誰にして、プロジェクトメンバーとして他には誰を入れるのかを考えて行きます。
自分たちだけでBCMを作ることができるのか、それともコンサルなどBCM策定のノウハウを持っている人たちのアドバイスをもらいながらBCM(BCP)を作成していくのかも検討する必要があります。
なお、インターリスク総研が企業に対して行ったBCMに関する調査によると、BCMのために予算措置はしていないという回答が56.7%と最も高く、500万円以下が17.3%、500万円〜1,000万円が5.6%、1,000万円〜5,000万円が4.1%とのことです。
このことからBCM策定にあたって外部コンサルタントを利用せずに社内で対応する企業が半分くらいで、残りの半分はBCMのコンサルタントに依頼していることが分かります。そして外部コンサルタントにアドバイスを依頼した場合には500万円以下が割合的には最も多いことが分かります。

②事業影響度分析(BIA)

次に行うのが「事業影響度分析(BIA)」です。災害などが発生して生産システムや従業員などが被災をすると、いつもはあった社内のリソースが一時的になくなる形になるので、いつも通りの仕事ができません。
そのために数ある業務の中から優先度の高いものを選んで継続または早期復旧作業を行って行きます。事業影響度分析(BIA)を行うことで、どの業務を優先して取り組むべきなのかを選び、それをいつまでに復旧するのか目標復旧時間を検討し、それを実現するために必要な経営資源を特定する必要があります。
事業影響度分析(BIA)では、はじめに事業中断によって会社にどのような影響が出るのかを時系列的に見て行きます。具体的には売上・利益・シェアへの影響、顧客との取引への影響、資金繰りへの影響、従業員への影響、法令や契約への影響など、自社の各事業がもし仮に止まってしまった場合の影響度を見て行きます。
次にこの影響度を見た上で、優先的に行うべき業務が何なのかを特定して行きます。非常時にも優先して取り組むべき事業を決定するこの段階がBCPを策定していく上で一つのキモになります。BCPでは「優先順位」がキーワードになります。

どのお客様にどの製品をいつまでに届けるのかを考えることは簡単なことではありません。売上の絶対的な金額が大きい取引先を優先して他は後回しにするというのも一つの考え方ですし、他のライバル企業では作っていない自社のオリジナル製品を優先して生産するのも一つの考え方かと思います。
非常時にも優先して取り組むべき業務をAランクからEランクまで5段階評価で分けるなどして、全ての業務に優先順位をつけて行きます。
そして選択した優先すべきいくつかの業務について、それぞれにどれくらいの時間で復旧させるのか(目標復旧時間:RTO)、どの水準まで復旧させるのか(目標復旧レベル:RLO)を考えて行きます。
それぞれの業務について、これくらいまでだったら復旧するまでに時間的な猶予が許されそうで、これくらいまでの製品のクオリティであれば許されそうだなという許容限界を事業影響度の時系列から推測して行きます。
復旧までに許される時間は業界などによっても異なりますが、一般的にある時点を超えると復旧までにもたもたしていたら許されなくなるラインが存在します。目標復旧時間(RTO)と目標復旧レベル(RLO)はその許容限界のラインを超えないように設定する必要がありますが、被害想定結果を踏まえてあまりにも無理のない目標を設定することが重要です。

(事業継続計画の概念:内閣府HPより引用)
上記の図でいうピンク色の部分が目標復旧レベル(RLO)であり、黄色の部分が目標復旧時間(RTO)になります。

③リスクの分析

次に、事業影響度分析(BIA)によって決定した非常時優先業務を中断させるリスクとしてはどのようなものがあるのかを分析して行きます。リスクの分析評価ではまず発生する可能性のあるリスクを全て洗い出します。このリスクの洗い出しの段階では、考えられる限り全てのリスクをあげて行きます。
リスクと言われるとまず地震が出てくることが多いですが、この他にも風水害、大雪、火山噴火、停電、断水、通信障害、テロ、火災、インフルエンザ、疫病、ストライキ、交通麻痺、取引先の倒産、など非常時優先業務を中断させる可能性のあるリスクは数多くあります。
このようにしてリスクが洗い出されましたら、事業への影響度とそのリスクの発生可能性を2軸にしてリスクマッピングをして行きます。リスクマッピングが終わったら、非常時優先業務のプロセスを明確にして想定されるリスクによってどのような被害を受けるのか被害想定を行います。

④事業継続戦略・対策の検討と決定

ここまでBCMに対して取り組みを行いましたら、次は各リスクに対して非常時優先業務の被害想定をしていく中で、事業影響度分析(BIA)で設定した目標復旧時間や目標復旧レベルを達成するためにどのような対策やリスク軽減策を実施すべきなのかを考えて行きます。事業継続戦略として事業継続の目標達成をするための対策を検討して行きます。
事業継続戦略・対策の基本的な考え方として、非常時優先業務を行うために不可欠な要素、特にボトルネックになりそうな要素をいかに確保するのかを検討することがポイントになります。
このボトルネックを解決するための戦略は大きく、代替戦略と早期復旧戦略の2つに分けることができます。「代替戦略」は非常時優先業務を行うために必要な要素の代わりをどうやってほかから持ってくるかというものであり、「早期復旧戦略」は想定される被害からどのように防御・軽減・復旧するのかというものです。
代替戦略では大企業であれば別工場での生産やバックアップセンターの利用などが考えられますし、中小企業であれば現実的な対策は相互代替生産協定などを締結することなどが考えられます。
代替戦略によって自社で代替拠点を確保することができれば、地震、洪水、テロなど幅広いリスクに対して有効性が高いのですが、自社で代替拠点を持つことは平常時の費用や採算性を考えて行く上で問題になってきます。
BCMを策定するにあたって平常時からある程度の費用はかかることが多いというのが現実であり、会社としてどこまでなら費用をかけて良いのかを判断する必要があります。
費用対効果の面から、代替戦略と早期復旧戦略の2 つを組み合わせた事業継続戦略・対策を考えて行くのが現実的であると言えます。

事業継続戦略・対策を考えるためには、いくつかの観点から検討を進める必要があります。
一つ目の観点は「重要サービス・製品の供給継続・早期復旧」です。これはBCMの最も重要な柱であり、非常時に優先して取り組まなければならない自社の重要業務を行うための方法を考えます。
二つ目の観点は「企業の中枢機能の確保」です。非常時には通常時以上に、会社全体の情報収集、迅速な意思決定、自社が今後行う方針の情報発信、などの業務を行う必要があります。
その中で企業の本社などの重要拠点が被害を受けた場合には本社の中枢機能が停止する可能性があります。中枢機能の停止は企業が非常時優先業務を行う上でも大きな制約要因になるためにこれを防ぐための戦略を考える必要があります。
三つ目の観点は「情報システムの維持」です。現在のあらゆる業務はPCなしでは成り立たないものが多く、災害時などに情報システムをすぐに復旧させることは非常時優先業務を行う上でも重要です。重要な社内情報についてはバックアップを取っておく、情報システムの電源確保や回線の二重化などが対策として考えられます。
四つ目の観点は「資金確保」です。企業が被災すると売上は止まる一方で給料や調達先への支払いは発生するために、資金繰りが一気に難しくなります。東日本大震災の際にも多くの中小企業が資金繰り悪化により倒産しました。
そのために日頃から現預金に余裕を持たせておくと同時に、保険、デリバティブ、災害時融資予約、災害時ローンなどの利用や、政府系金融機関が行なっているBCP格付融資やBCP支援ローンを事前に行なっておくことも有効です。

⑤事業継続計画(BCP)等の策定

これまでに作成してきた事業継続戦略などをもとに、「事業継続計画(BCP)」、「事前対策の実施計画」、「教育・訓練の実施計画」、「見直し・改善の実施計画」を作成します。
まず「事業継続計画(BCP)」については、非常時優先業務の目標復旧時間および目標復旧レベルを実現するために実施する対策、対応体制、対応手順などを計画に落とし込みます。
「事前対策の実施計画」については事業継続戦略などを作成している段階で平常時のうちから実施して準備しておかなければいけないものについて、必要に応じて詳細な内容を詰め、誰が担当するのかを決め、予算確保や必要な資源確保を行います。
「教育・訓練の実施計画」についてはBCMを有効に実施して行くために経営者、役員、従業員に教育・訓練を行うというものです。BCMを実際に運営して行くのは人なので人の教育についても力を入れる必要があります。
教育・訓練の実施計画の中では、教育・訓練の実施体制、年間の教育・訓練の目的、対象者、実施方法、実施時期などを計画に落とし込んでいきます。
「見直し・改善の実施計画」については、BCMは実際に運用して行くと現実に即していない部分については修正が必要になったり、改善を図る必要が出てきたりするものです。
定期的に実施すべき点検や見直しもあれば、必要に応じて随時行う必要のある見直しもあるので、見直しなどについても計画に落とし込んで行きます。

⑥事前対策及び教育・訓練の実施

一般的にこれまで見てきた事業継続計画(BCP)などの計画をもろもろ作成すると、BCMの策定を任されたプロジェクトチームや事務局の作業はひと段落して気が抜けてしまうことが多いですが、計画を作成が完了した後に何もしないと、せっかくここまで理解してきたBCMに関するノウハウが散逸してしまいます。
BCMの運営体制をしっかりと構築するためにも教育・訓練をしっかりと行なって行く必要があります。BCMは経営者、役員、従業員がそれぞれ重要性を認識しておく必要があります。
また有事にはマニュアルを読み込んで理解するだけの時間的な余裕がないことも多いので、BCPやマニュアルに熟知した要因を予め教育・訓練を通して育成しておくことも重要です。
教育・訓練の方法については、講義形式、メールで資料などを通知する形式、eラーニング形式、外部の専門家によるセミナー形式、ワークショップ形式など様々な形態があります。
実施するタイミングは定期的にBCMの教育・訓練をするタイミングを決めておくほか、組織体制が変わったタイミングや採用などで大幅な人員変動があった場合などに実施するなどが考えられます。
なお教育・訓練を行なって行く中で、事業継続計画(BCP)に無理がある点を見つけることもあるので、その際には計画を改善してより現実味のあるものに変更していきます。

⑦見直し・改善

BCMは一度体制が出来上がっても、有効性の低下や内容の陳腐化を防ぐために定期的に見直しと改善をしてく必要があります。BCMはPDCAサイクルを回して改善していくことで、より災害などに強い体制を築くことができます。
BCMの見直しを行う最も良いタイミングは防災訓練などを行なって、課題が浮き彫りになった時です。それ以外にも、事業内容や業務プロセスが変更した時、立地が変更した時、技術的な変化が発生した時、従業員の数や質が変化した時、などが見直しのタイミングになります。また、それとは別に月に1回〜年に1 回の頻度で定期更新を行う必要もあります。
BCMの見直しをする際には、人事異動や取引先の変更にBCP修正が追いついているか、利害関係者との関係変化、法令の変化、など企業を取り巻く様々な環境変化にBCMが合致しているのかを確認します。会社を取り巻く環境は日夜変化して行くので、その危機管理体制であるBCMについても変化をさせていく必要があるのです。

事業継続計画(BCP)に関するガイドライン

災害時などに実際に使える事業継続計画(BCP)の作成はなかなか自分でやるには難しく、外部のコンサルタントに依頼を出す会社も多いです。ただし、予算の問題からなんとか自社内で作成が必要になることもあるかと思います。
その際には事業継続計画(BCP)に関するガイドラインを参考にすることができます。ガイドラインでは政府機関などがBCPを作る際のポイントやコツについて書かれているので、まず何から始めようかと迷ったら読んでみると良いです。
ガイドラインはいろんな政府機関から出されているので、いくつかここでご紹介して行こうと思います。

経済産業省「事業継続計画策定ガイドライン」

経済産業省「事業継続計画策定ガイドライン」ではBCP策定に当たって検討すべきポイントが書かれています。またケーススタディについても書かれているので、BCMについてイメージを膨らませることができます。

内閣府中央防災会議「事業継続ガイドライン」

内閣府中央防災会議「事業継続ガイドライン」ではBCMの各段階に置いて検討項目ごとにそのポイントが書かれています。本サイトもこのガイドラインをかなり参考にしながら作成されています。チェックリストが最後についているので、自社のBCMの体制をまずはどんなものなのか知りたい場合などに利用することができます。

中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」

中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」では、BCPについて入門コース、中級コース、上級コースに分かれているので、段階を踏んでBCPの整備を考えることができます。

日本自動車部品工業会「BCPガイドライン」


日本自動車部品工業会「BCPガイドライン」は自動車部品メーカーに特化してBCP策定について書かれています。日本自動車部品工業会以外にも、日本建設業連合会(建設業界向けのBCP)、不動産協会(不動産業界向けのBCP)、日本貿易会(貿易業界向けのBCP)など、業界ごとにBCP策定のガイドラインが出されていることもあるので、自分の業界のBCP策定ガイドが出ていないのか確認して見ると良いでしょう。
ちなみにガイドラインではないですが、BCPはISOの国際標準でも制定されています。「認証規格ISO22301(社会セキュリティー事業継続マネジメントシステム)」がBCPのISO規格であり、客観的にBCPの制定をしっかりしていることを証明したい場合には、取得を検討しても良いかもしれません。

受援計画と業務継続計画(BCP)との密接な関係

災害が発生した際に地方公共団体は応急対応や復旧対応を行うためにその対応に追われます。もともと自分の自治体で働いている職員だけで対応できれば良いですが、そう簡単にもいかないことがあります。
通常の業務とは全く違う災害発生後にやらなければいけない特殊な業務が大量に発生し、そもそも職員も被災しているので、災害対応に全職員を駆り出すこともできないためです。
そのために他の地方公共団体から人員や支援物資の応援をもらう(=受援)することがあるのですが、これは事前に受援計画を作成することで効率的に行うことができます。この受援計画で何を要請するのかは、実際には業務継続計画(BCP)の中で何を優先的に取り組む業務としてあげているのかと密接な関係があります。

受援計画の作成はなぜ大事なのか

受援計画は災害が発生した際に、やらなければならない大量な優先業務を効率的に行うために役に立ちます。具体的には他の地方公共団体から職員の応援を受け入れる際に、受け入れ態勢をどうするのかを考えたり、支援物資の調達や物流をどのように整備するかを考えたりします。
他の地方公共団体から応援を受け入れる際にどんな業務を手伝ってもらうのかは、受け入れる自治体の状況や被災の状態によっても変わってきますが、一般的によく聞く応援してもらう業務としては、「避難所の開設・運営」「支援物資の集積所管理」「罹災証明書に係る業務」などがあげられます。
受援計画については災害対策基本法や防災基本計画にも盛り込まれており、努力目標として記載されています。受援計画を策定している地方公共団体はまだ限定的ですが、少しずつ受援計画を策定している自治体が増えてきています。

(災害時に市町村が実施する業務の推移:内閣府HPより引用)
上記の図を見てわかる通り、災害が発生した直後に地方自治体の仕事量はかなり増加します。既存の職員だけではこの膨大な業務を回すことができないので他の自治体から職員等を受け入れて、この膨大な業務を処理する必要があるのです。
受援計画と似た考えのもので「災害時相互応援協定」というものがあります。ほぼ全ての自治体がこれを結んでおり、災害時には相互に連携が取れるようになっているのですが、受援計画の策定まではできていない自治体がかなり多く存在します。
受援計画の策定については内閣府が「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」を公表しているので、とりあえず何をすれば良いのか分からないという人はこれを見てみるのが良いと思います。

参照記事
受援計画とは?災害時に支援の受け入れを計画的に行うために

業務継続計画(BCP)はなぜ必要なのか

そもそも業務継続計画(BCP)とは災害が発生した際に、優先度が高い業務(=非常時優先業務)を特定し、その業務を災害下直後でも実行できるような体制を作るために事前に作っておく計画です。
災害が発生するとやらなければならないことが大量に発生して、その中から優先度の高いもののみを集中的に行う必要があるのですが、事前にしっかりと業務継続計画(BCP)を策定しておかなければ、迅速に正しい判断を行うことが難しいです。
災害が発生する前の正常な時に行っている業務を通常業務と呼びますが、災害が発生した直後は通常業務の中でも絶対に止めてはいけないもののみを継続して、残りのリソースは災害対応に回して非常時優先業務を整理します。
災害時に優先して行わなければならない業務としては、地域社会の安全や安心に問題が生じてしまうもの、法律上行わなければならないもの、他の非常時優先業務を行う上でボトルネックになるもの等があげられます。
業務継続計画(BCP)は受援計画よりも策定が進んでおり、都道府県で100%、市町村で約半分の地方自治体が業務継続計画(BCP)を策定しています。業務継続計画(BCP)については内閣府が「市町村のための業務継続計画作成ガイドライン」を策定しており、非常時に優先する業務として何を行うかの目安が示されています。

受援計画と業務継続計画(BCP)の関係性

受援計画と業務継続計画(BCP)には密接な関係があります。災害が発生した際には「業務量」と「人員」の2つが釣り合わなくて問題になります。通常の業務に加えて災害対応の業務が発生するので「業務量」は増加します。
一方で自治体の職員そのものも被災するので常時よりも「人員」は減少します。そのために、通常時には「業務量」=「人員」だったものが「業務量」>>>「人員」になってしまいます。
受援計画はどちらかというとこの「人員」を補強するものです。他の自治体から人員の派遣を受けることで業務に当たることができる人員を増やすことができます。
一方で業務継続計画(BCP)は「業務量」を選別して“減らす”ためのものです。大量に発生する業務の中でも非常時優先業務を選別することで災害発生直後にやらなければならない「業務量」を減らすことができます。
このように受援計画と業務継続計画(BCP)を両方作成することで「業務量」=「人員」に近づけることができるのです。
実際には業務継続計画(BCP)を作成している段階で、すべての非常時優先業務を行うためには外部からリソースを受け取る必要があることに気づいて、受援計画を作成することも多いようです。
以上、受援計画と業務継続計画(BCP)の関係性等について見てきました。災害発生直後に迅速に重要な業務が行うためにも、受援計画と業務継続計画(BCP)の2つの計画を策定しておくことが重要なのです。

おわりに

以上、BCP(事業継続計画)とは何か、BCPとBCMの違い&BCPと防災の違い、BCPの重要性について、BCM(BCP)の策定方法、事業継続計画(BCP)に関するガイドライン、についてざっと見てきました。
BCPは奥が深いので、もっと詳しく知りたいというかたは、こちらからお問い合わせいただければと思います。