土壌雨量指数とは?土砂災害警戒判定メッシュ情報の判定基準となる指数

大雨が降ると浸水害や洪水、土砂災害など様々な災害が発生します。その中でも土砂災害は一瞬にして人の命を奪い去ります。大雨が降る際にはいくつもの災害に備える必要がありますが、土砂災害はその中でも優先度が比較的高いものと言えます。
そうはいうものの、どれくらいの雨が降ったらどのエリアが危険になるのか、その判断は素人ではなかなかすることができません。その際に参考になるのとして気象庁が公表している「土砂災害警戒判定メッシュ情報」があります。
土砂災害警戒判定メッシュ情報は、地図上に黄色、赤色、紫色で危険エリアを視覚的に表現しており、土砂災害に警戒すべきなのかどうか判断する際にとても役に立ちます。
そんな土砂災害警戒判定メッシュ情報の元になるデータとして、土壌雨量指数というものがあります。この土壌雨量指数が元になって土砂災害警戒判定メッシュ情報が提供されるのですが、今回はこの土壌雨量指数と土砂災害警戒判定メッシュ情報について詳しく見ていこうと思います。

土壌雨量指数とは何か

土壌雨量指数とは何かをひとことで言うと、土砂の中に浸み込んでいる雨の量です。雨が降ると山の斜面などではその水が土砂の中に浸み込んでいきます。山の斜面に降った雨は、表面流出、表層浸透流出、地下水流出と主に3通りで川へと流れていくのですが、この3通りでの雨の流出を「タンクモデル」というものを用いて指標化しています。
タンクモデルを活用することで、土砂災害の危険度の高まりを把握するために、降った雨が土壌中に水分量としてどれだけ溜まっているのかを算出することができます。

この土壌雨量指数に基づいて、土砂災害警戒判定メッシュ情報は算出されるのですが、土壌雨量指数がそのまま土砂災害警戒判定メッシュ情報へと使われるわけではありません。
土砂災害が発生するには対象地域の災害特性も影響してくるので、土砂災害警戒判定メッシュ情報は、過去に発生した土砂災害を網羅的に調査した上で設定されています。この対象地域の災害特性としての基準は、毎年精査されていくのですが、土壌雨量指数と地域特性の基準を掛け合わせたものが、土砂災害警戒判定メッシュ情報に使われます。

参照記事
流域雨量指数とは?洪水警報の危険度分布を算出する指標

タンクモデルとは何か

土壌雨量指数を算出するためにタンクモデルが活用されます。そのタンクモデルですが、これは降った雨が土壌中を通って流れていく様子を、タンクを活用して表したものです。
先ほど山の斜面に降った雨は、表面流出、表層浸透流出、地下水流出と主に3通りで流出すると述べましたが、タンクモデルではこの3つの流出をする前に、それぞれの段階でどれだけ雨が土壌に溜まっているのかを表しています。この3つのタンクに溜まっている水の合計が、土壌雨量指数になります。

参照記事
表面雨量指数とは?大雨警報(浸水害)の危険度分布の元になる指標

土砂災害警戒判定メッシュ情報とは何か

土砂災害警戒判定メッシュ情報とは、土砂災害が発生する可能性のあるエリアを黄色、赤色、紫色などで危険度分布し、視覚的にどのエリアで土砂災害が発生しそうなのかを表したものです。

(土砂災害警戒判定メッシュ情報:気象庁HPより引用)
ただし、この色のついたエリアが全て危険かというとそういうわけではなく、 土砂災害が発生する可能性がある山の斜面付近や崖の上など、土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域であるエリアのみ避難が必要になります。
つまり、土砂災害警戒判定メッシュ情報と土砂災害危険箇所・土砂災害警戒区域がかぶってるエリアに住んでいる人が土砂災害に注意する必要があるということです。

(土砂災害警戒判定メッシュ情報:気象庁HPより引用)
黄色→赤色→紫色と色が変わっていくにつれて危険度が上がっていくのですが、紫色になった段階では命に危険が及ぶ土砂災害がすでに発生していてもおかしくないレベルなので、紫色になる前に危険エリアの住民は避難をする必要があります。

(土砂災害警戒判定メッシュ情報:気象庁HPより引用)
以上、土壌雨量指数と土砂災害警戒判定メッシュ情報について詳しく見てきました。過去には広島市での土砂災害など大きな災害も発生しています。土砂災害の危険から身を守るためにも、土砂災害警戒判定メッシュ情報は有効なツールであると言えます。

参照記事
スネークライン図とは?土砂災害から避難するために

参考サイト▪︎気象庁「土壌雨量指数」