ため池の災害時機能と防災対策しておく重要性について

日本は災害大国であり、昔から多くの災害が発生してきています。ひとことに災害といっても色々な種類がありますが、その中でも風水害は毎年のように発生しており、日本全国に被害をもたらしています。そんな風水害を防ぐ機能を持ったものの一つに「ため池」があります。ため池は古くから日本の災害対策のために機能してきました。
今回はそんなため池について、そもそもため池とは何か、ため池の災害時の機能、ため池を防災対策しておく重要性、などについて書いていこうと思います。

ため池とは何か

そもそもため池とは何かをひとことで言うと、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう、人工的に造成された池のことです。
ため池のほとんどは江戸時代に作られたものであり、いいまでは日本全国に20万を超えるため池が存在しています。
ため池はその形態により「谷池」と「皿池」に区分されます。谷池は山間や丘陵地で谷をせき止めて造られたため池であり、皿池は平地の窪地の周囲に堤防を築いて造られたため池になります。
一般的にため池は、水を貯める「堤体」、洪水を安全に流下するための「洪水吐」、かんがい用水を取り入れるための「取水施設」などから構成されています。

ため池の災害時の機能

このようにため池はもともと農業への活用を目的に作られたものですが、それ以外にも災害時の洪水調節や土砂流出防止としての機能も存在しています。
大雨が降った際には、その流水をため池に溜めておくことで、下流域の洪水を軽減することができます。
また、豪雨によって山間部で土砂流出が発生したとしても、ため池が土砂や流木を食い止めることがあり、下流域での被害を軽減させることができます。
このようにため池は防災としての機能も有しており、下流での被害減少に貢献していると言えます。

参照記事
調整池とは?雨水貯留施設とは?洪水から防災するための仕組み

ため池を防災対策しておく重要性

このようにため池には災害を防ぐ機能があるのですが、一方で豪雨や地震などがあるとため池そのものが壊れしまい、ため池が決壊し、それによって被害が拡大することがあります。

(ため池の被害推移:農林水産省HPより引用)
現状としてため池は、水利組合や集落などの受益者を主体とした組織によって管理されていますが、農家戸数の減少や土地利用の変化から管理及び監視体制の弱体化が懸念されています。
そのためにため池の防災対策を行う必要があるのですが、具体的にはまずため池の点検を行う必要があります。
ため池の点検を行い、地震への耐震対策や豪雨対策として不十分でないのかを確認し、場合によっては改修工事などを行う必要があります。
またため池ハザードマップを作成や防災情報の伝達など、ソフト防災の観点からもため池を防災対策しておくことが重要になります。
以上、ため池について、そもそもため池とは何か、ため池の災害時の機能、ため池を防災対策しておく重要性、などについて見てきました。
ため池は古くから活用されてきておりますが、防災の観点からも災害対策を考えた設計を行う必要があります。

参照記事
河川への遡上津波による被害について!津波が河川を逆流する

参考サイト▪︎農林水産省「ため池」