ダウンバースト現象とは?飛行機への被害と竜巻きとの違い

災害には引き起こされる原因によっていろんな種類に分けることができます。その中でも風による災害のことを風害といいます。一般的に風害は雨を伴うことが多いので、風害と水害の災害を分けることは難しく風水害とすることも多いです。
そんな風害の中でもさらに、台風、竜巻、突風、ダウンバースト現象など、いくつかの種類に分けることができます。この中でもダウンバースト現象はあまり馴染みがありませんが、飛行機の離発着などで被害をもたらすことがあります。
今回はそんなダウンバースト現象について、そもそもダウンバースト現象とは何か、ダウンバーストと竜巻の違い、ダウンバーストによる飛行機などへの被害、などについて書いていこうと思います。

ダウンバースト現象とは何か

そもそもダウンバースト現象とは何かをひとことで言うと、積乱雲からの強い下降気流で、これが地面に衝突した際に局地的に強い風が四方八方に発散する現象です。
ダウンバースト現象の風速は強いものでは風速50mを超えることもあり、車が横転したり、飛行機事故に繋がったりして大きな災害に発展することもあります。
ダウンバースト現象は比較的に最近発見された風害であり、1975年にアメリカのイースタン航空66便着陸失敗事故が発生した際に、シカゴ大学に在籍していた気象学者の藤田哲也さんによって発見されました。
一般的に積乱雲は通常強い上昇気流によって形成されます。この積乱雲は衰退期に入ると降水粒子が周囲の空気に摩擦効果を働きかけることで下降気流が発生します。この下降気流の中でも地上に衝突した際に局地的に強い風を四方八方に発散させて災害をもたらすものがダウンバースト現象になります。

(ダウンバーストのイメージ図:福岡管区気象台HPより引用)

参照記事
気象災害とは?その種類と対策事例について

ダウンバースト現象の中でも、広がりが4km以上のものをマクロバースト、4km以内のものをマイクロバーストと呼び、その大きさによって2つに分類することもあります。
ダウンバースト現象の発生原因としては2つあります。1つ目は、積乱雲の中で発生している水滴が落下する際に空気が押されることによって発生するというものです。2つ目は、積乱雲から落下中の氷粒は周りよりも温度が低いのですが、それが、それによって融解熱を周りの空気から奪うことで周囲の空気が冷却されて密度が増して下降気流が発生するというものです。
このようにダウンバースト現象は積乱雲からの下降気流によって発生するものであり、大きなものでは地上に風害をもたらすことがあります。

ダウンバースト現象は文字にするとなかなか分かりにくいので、実際に上記の映像を見たほうがよりイメージが掴みやすいかと思います。

ダウンバーストと竜巻の違い

ダウンバーストと混同されることが多いものに竜巻がありまので、ダウンバーストと竜巻の違いについても見ていこうと思います。
竜巻もダウンバーストと同様に積乱雲によって発生します。ただしダウンバーストが積乱雲からの下降気流によって発生するのに対して、竜巻は積乱雲の上昇気流によって発生します。
ダウンバーストが積乱雲の衰退期に発生することが多いのに対して、竜巻は積乱雲が発達している段階で発生することが多いです。
竜巻は強い上昇気流に伴い大きく発展した積乱雲から漏斗雲ができます。竜巻の中心は周囲よりも気圧が低く、気圧が低い中心に向かって螺旋状に風が渦を巻くように吹きます。
一般的に竜巻は被害が発生するエリアはそこまで広くはないのですが、竜巻の発生を事前に予測するのは難しく、竜巻が通過した地上では大きな災害をもたらすこともあります。
このように、ダウンバーストと竜巻は同じく積乱雲が発生の原因ではありますが、その特性は大きく異なっており、別物の風害に分類されています。

ダウンバーストによる飛行機などへの被害

ダウンバーストによる被害はたまに発生し、自動車がダウンバーストによって横転事故を起こしたり、飛行機の離発着時に事故が発生したり、発生するタイミングと場所が悪いと被害をもたらします。
特にダウンバーストが飛行機にもたらす被害は甚大です。飛行場では毎日多くの飛行機が離発着を行なっていますが、飛行機が離発着するタイミングでダウンバーストが発生すると、飛行機が墜落する可能性があります。
実際に過去のダウンバーストによる飛行機事故として、1993年に日本エアシステム451便が離発着事故を起こし、アメリカでも1975年のイースタン航空66便着陸失敗事故をはじめ、何度かダウンバーストによる飛行機事故が発生しています。
以上、ダウンバースト現象について、そもそもダウンバースト現象とは何か、ダウンバーストと竜巻の違い、ダウンバーストによる飛行機などへの被害、などについて見てきました。
ダウンバースト現象はあまり馴染みはありませんが、特に大きな災害をもたらす可能性がある風害の一つであり、注意を払う必要があります。

参照記事
竜巻の特徴とその大きさを表す藤田スケール(Fスケール)について

参考サイト▪︎気象庁「航空機の離着陸時における風との関わり」