浸水深とは?その基準水位と避難行動の関係について
日本は毎年のように多くの災害が発生しますが、その中の一つに水害があります。台風や大雨によって地表水の増加に排水が追いつかずに、用水路や下水溝などがあふれて浸水したり、堤防が決壊して洪水が発生したり、水害はいくつもの理由により発生する可能性があります。
そのような洪水や内水氾濫によって水で覆われることを「浸水」と呼び、浸水した水の深さのことを「浸水深」と呼びます。一律には言えませんが、浸水深がどれくらい深いのかによって、建物への被害や、歩行する際の難易度などが変わってきます。
今回はそんな浸水深について、そもそも浸水深とは何か、浸水深の水位基準、浸水想定区域図とは何か、洪水ハザードマップとは何か、などについて書いていこうと思います。
浸水深とは何か
そもそも浸水深とは何かをひとことで言うと、浸水した地点の地面から水面までの高さのことです。一律には言えませんが、浸水深が深いほど水害による被害も大きくなる傾向にあります。
平成30年7月豪雨は西日本全域に被害をもたらし、床上浸水14,758件、床下浸水21,280件(2018年7月31日現在)と大きな被害になりましたが、被害の大きかった岡山県倉敷市真備町では、浸水深は最大で5m近くまで達したとのことでした。
被災した場所の地理的な条件や建物の構造などによって浸水深と被害の関係は変わってきますが、浸水深が深くなるとそれだけ被害も拡大する傾向にあります。
(鬼怒川堤防決壊現場:災害写真データベースより画像引用)
浸水深の水位基準
一般的に浸水深が0.5mを超えるかどうかで床上浸水と床下浸水の境になることが多いです。また浸水深が2mを超えると一階部分が水に浸かってしまい、5mを超えると2階の屋根まで到達することが多いです。
(浸水深と建物被害:国土交通省HPより引用)
浸水深と避難行動の関係については、水の流れの速度や歩行する人の歩行能力(高齢者や障害者ではないか)によっても変わってくるために一律に提示することは難しいですが、一般的に膝の高さである50cmを超えると水の中を歩行することが困難になる割合が増えてきます。
車での移動の場合には30cmを超えるとマフラーが水没してしまって排気ができなくなるためにエンジンが停止する可能性が高まるので注意が必要です。
(浸水深と避難行動:国土交通省HPより引用)
浸水想定区域図とは何か
浸水による被害を防ぐためにはできるだけ早く避難することが重要です。また、事前に自分のどのエリアが浸水する可能性があるのかを確認しておくことも必要になります。
どのエリアが浸水する可能性があるのかを確認するにあたっては、「浸水想定区域図」が参考になります。浸水想定区域図については国土交通省のHPから簡単に検索することができます。
浸水想定区域図を参考にすることで、自分の地域ではどこが浸水する可能性が高いのかを事前に把握することができます。ただし、浸水想定区域図で危険と判定されていないから自分の住んでいるところは避難しなくても大丈夫なのだと過信することなく、災害の状況に応じて臨機応変に対応することが重要です。
(浸水想定区域図:国土交通省HPより引用)
洪水ハザードマップとは何か
浸水想定区域図と似たものに洪水ハザードマップがあります。洪水ハザードマップとは浸水想定区域図に洪水予報等の伝達方法、避難場所、その他洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な事項を入力したものです。
洪水ハザードマップは市町村のHPなどで公開されており、確認することができます。洪水ハザードマップを確認することで、浸水が発生した際に危険になる場所や避難場所について確認することができます。
以上、浸水深について、そもそも浸水深とは何か、浸水深の水位基準、浸水想定区域図とは何か、洪水ハザードマップとは何か、などについて見てきました。日本は水害の多い国であり、事前に浸水に対する防災対策を行うことが重要になります。
参考サイト▪︎国土交通省「浸水深と避難行動について」