竜巻の特徴とその大きさを表す藤田スケール(Fスケール)について

風害というと台風を想像する人が多いかと思います。毎年夏から秋にかけて台風が日本列島を襲い、日本全国に被害をもたらします。
しかし、何も台風だけが風害ではありません。話題になることは少ないですが、竜巻も風害の中の一つであり、突発的に被害をもたらします。
今回はそんな竜巻について、そもそも竜巻とは何なのか、竜巻以外の突風にはどのようなものがあるのか、竜巻の強さを表す藤田スケール(Fスケール)とは何なのか、などについて書いていこうと思います。

竜巻とは何か

そもそも竜巻とは何かをひとことで言うと、細長く渦巻き状で猛烈な風を伴う上昇気流です。竜巻は積乱雲に伴う強い上昇気流により発生するのですが、多くは柱状の雲を伴います。
竜巻は突風の一種なのですが、規模が小さくて寿命は短いのですが、暴風によって地上に甚大な被害をもたらすことがあります。竜巻が発生する過程についてはまだ解明されていない部分も多く、事前に竜巻の発生を予測することは難しいです。

竜巻は時速数十kmの速さで移動しますが、過去には瞬間最高速度が100kmを超えたこともあるようです。しかし一般的に被害域は数十m〜数百mほどのエリアに集中することが多いです。
過去に日本で竜巻によってもたらされた災害事例としては、平成25年9月に埼玉県等で発生した竜巻や、平成18年11月に北海道で発生した竜巻が有名であり、大きな被害をもたらしました。

参照記事
台風による災害を減らすために予報を活用して防災を行う

竜巻以外の突風にはどのようなものがあるのか

竜巻は突風の一種であり、突風には竜巻以外にもいくつかの種類があります。

竜巻以外の突風①:ダウンバースト

ダウンバーストは積乱雲から吹き下ろす下降気流が地表に衝突した際に、四方に広がる風が災害をもたらすものです。そのために被害エリアも円形に広がることが多いです。
ダウンバーストへの被害は飛行場で発生することが多く、このダウンバーストが原因で航空事故が発生することがアメリカを中心に何度かありました。

参照記事
ダウンバースト現象とは?飛行機への被害と竜巻きとの違い

竜巻以外の突風②:ガストフロント

ガストフロントは積乱雲の下で形成された冷たい空気が、その重みによって軽い空気の側に流れ出すことによって発生する小規模な前線のことです。
ガストフロントが発生する範囲は狭くて寿命も短く、災害に発生するケースはそこまで多くないようです。

藤田スケール(Fスケール)とは何か

これまで竜巻を中心に突風について見てきましたが、この竜巻の強さを表現するための尺度には、藤田スケール(Fスケール)というものが使われています。
竜巻などの激しい突風のもたらす現象は水平規模が小さく、既存の風速計から風速の実数値を得ることは難しいという問題がありました。このために、シカゴ大学教授の藤田哲也博士によって1917年に、突風によって発生した被害状況から風速を大まかに推定する藤田スケール(Fスケール)が考案されました。
藤田スケールはその頭文字から“F0”という風に表記されます。F0は風速17〜32m/sであり、大きさとしてはテレビのアンテナなどの弱い構造物が倒れる程度です。
F1は風速33〜49m/sであり、屋根瓦が飛んでガラス窓が割れる程度の大きさです。F2は風速50〜69m/sであり、住家の屋根がはぎとられ、弱い構造の家屋であれば壊れる程度の大きさです。

F3は風速70〜92m/sであり、壁が押し倒され、住家が倒壊する程度の大きさです。F4は風速93〜116m/sであり、住家がバラバラになって飛散する程度の大きさです。F5は風速117〜142m/sであり住家はあとかたもなく吹き飛ばされる程度の大きさです。
このように被害が大きいほどFの値は大きくなっていくのですが、日本では過去にF4以上の竜巻が観測されたことはありません。
以上、そもそも竜巻とは何なのか、竜巻以外の突風にはどのようなものがあるのか、竜巻の強さを表す藤田スケール(Fスケール)とは何なのか、などについて見てきました。
竜巻は予測することが難しく、瞬間的に地上に被害をもたらしますが、気象庁では竜巻注意報なども発表されており、今後の更なる研究で予測のレベルが向上することに期待です。

参照記事
風水害とは?大雨や台風によりもたらされる災害について

参考サイト▪︎気象庁「竜巻注意情報」