風水害とは?大雨や台風によりもたらされる災害について

自然災害は大きく「気象災害」と「地震・火山災害」に分けることができます。気象災害は雨や風など地球の上で発生する災害であり、地震・火山災害は地球の内部で発生する災害です。
気象災害はその中でも更に雨、風、雷、雪などいくつかに分けることができるのですが、その中でも雨、風、雷に注目した災害を「風水害」と呼びます。今回はそんな風水害について、どんなものがあるのか見ていこうと思います。

風水害①:大雨(豪雨)

風水害でよく発生するものとして大雨(豪雨)があります。よくテレビでニュースキャスターが「1時間に50mmの大雨です!注意してください!」といったコメントをしていることがありますが、「mm(ミリメートル)」という表記で言われてもあまりイメージしにくい人が多いかと思います。
この「mm(ミリメートル)」は1時間に雨量計という容器にどれくらいの雨(水)がたまるかをもとに算出されています。

(雨の強さと降り方:気象庁HPより引用)
では1時間に何mmの雨がどんなものかについては気象庁がHPでその目安を公表しています。ただしここで注意が必要なことは、1時間に何mmの大雨だったら危険ですとは一律に断言することができない点です。
理由はいくつかあるのですが、何よりも地域によってどれくらいの雨量が危険か異なるからです。地理を履修していた人は馴染みがあるかもしれませんが、日本は地域によって気候が異なります。
住んでいる地域が日本海側なのか、太平洋側なのか、瀬戸内海なのか、北海道なのか、など住んでいる地域によって平均的な雨量も異なるのです。そのために1時間に何mmの大雨だったら危険ですというボーダーラインを明確に示すことは難しいです。
ただし、何の指標もなければ現状を判断することができませんので、何か指標が欲しい場合には対象となる地域の過去の雨量を調べてみて、どこらへの雨量まできたら危険なのかを把握するのが有効であると言えます。

参照記事
記録的短時間大雨情報とは?気象庁が発表する防災気象情報

風水害②:台風

風水害で誰もが経験したことのあるものとして台風もあげられます。毎年秋ごとになると決まって日本を台風が襲い各地に被害をもたらします。日本には災害対策基本法という防災の基盤となる法律がありますが、これも伊勢湾台風という甚大な被害をもたらした台風が契機となって作られました。
台風も発生するとニュースで報道されますが、よく「超大型で非常に強い台風が日本に接近しています」というような表現を聞くことがあると思います。実はこの表現は決まった表現方法であり、“超大型で”という部分は台風の大きさを表しており、“非常に強い” という部分は台風の強さを表しています。
このように台風はどのくらいの規模の台風かを表現するために「大きさ」と「強さ」の2つの観点が用いられます。
台風に関することで気をつければならないこととしていくつかあるのですが、まずその大きさや強さは変化していくものであると認識する必要があります。一般的に台風は沖縄の下付近から日本にカーブを描くように上陸してきますが、日本に上陸した後にはその勢力は海にいたときと比べて弱回っていることが多いです。(だからと言って気を緩めれば良いというわけでは当然ありませんが)
また台風は台風そのものも当然注意を払う必要があるのですが、中心から離れた場所にも大雨をもたらすことがあるので、台風そのものが近づいた時にだけ注意を払えば良いと考えるのではなく、たとえ数百km離れていたとしても、大雨をもたらすことがあるという認識を持つことが重要です。

風水害③:高潮

台風とも関係があるのですが、台風の通過に伴って海の潮位が大きく上昇することがあり、これを高潮と呼びます。台風は気圧が低いので、その中心付近の海水を上昇させる効果があり、これを吸い上げ効果と呼びます。
また、台風に伴って強い風が海岸に吹くと、波が通常よりも高いところまで上がってしまうことがあり、これを吹き寄せ効果と呼びます。この2つの効果から台風が発生した際には高潮となり、時に堤防を越える波が押し寄せることがあります。
高潮で注意すべき点は満潮時とタイミングが重なっていないのかということです。想像しやすいと思うのですが、満潮と高潮がかぶると、その分堤防を越える波が発生する可能性は高くなり、被害をもたらす可能性があります。

風水害④:竜巻

日本ではあまり馴染みがないですが、風水害の中には竜巻も存在します。竜巻とは積乱雲に伴う上昇気流で発生する渦巻きです。日本にそもそも竜巻は発生しないと思っている人も多いようですが、気象庁によりますと年間で数十個の竜巻が日本では発生しています。
大雨や台風に比べると甚大な被害をもたらす割合は低く、死者が数十人規模まで発生するケースはほとんど存在しません。ただしあまり発生しない風水害である分、適切な対応をすることが難しく、かつ短時間で大きな被害をもたらすことも特徴的です。

風水害⑤:内水氾濫(浸水害)

大雨に伴って発生する災害として内水氾濫(浸水害)があります。これは大雨などで排水機能が追いつかなくなったり、河川がいっぱいになったりすることで、市街地などが水に浸かってしまう災害です。
津波や洪水のような水害と違って内水氾濫(浸水害)では建物が派手に流されたりすることが少ないですが、人口が密集しているエリアなどでは、人的にも経済的にも大きな被害をもたらすことがあります。

参照記事
外水氾濫と内水氾濫とは?それぞれの違いと水害について

風水害⑥:洪水害

風水害の中でも洪水害については、誰もが聞いたことがあるかと思います。改めて説明すると洪水外とは大雨などを理由に河川の量が増加して、それによって堤防が決壊して市街地などに水が流れ込む災害です。
決壊した堤防付近の建物が流されたりすることもあり、人的に大きな被害をもたらすケースがあります。

風水害⑦:地すべり

大雨に伴って発生する災害として土砂災害もあります。土砂災害は大きく「地すべり」「崖崩れ」「土石流」に分けられます。まず地すべりについてですが、これは大雨に伴って山の斜面の土がゆっくりと動く災害です。
動きが遅いことから人的な被害をもたらすことは少ないですが、災害発生期間が長くなる傾向にあります。

風水害⑧:崖崩れ

土砂災害の中には崖崩れもあります。これは大雨に伴って山の斜面が崩れて土石流が落下する災害です。地すべりと比べて災害の速度が速いので、人的な被害が発生する可能性も高くなります。

参照記事
斜面崩壊(がけ崩れ)とは?そのメカニズムと対策について

参考サイト▪︎豪雨災害と防災情報を研究するdisaster-i.net