被災者台帳とは?被災者支援を効率的に行うためのシステム
災害時に被災者を支援するのは容易なことではありません。特に大きな災害が発生した際には被災地はまさに混乱状態であり、全ての住民を漏れなく救護することができたのかも分かりませんし、被災者の支援を同じ人に何度もしていないのかなどを確認する必要もあります。
そんな時に役に立つのが「被災者台帳」です。既に存在している住民基本台帳やマイナンバーを活用して被災者台帳を作成することで、総合的かつ効果的に被災者へと援護を行うことができます。
今回はそんな被災者台帳について、そもそも被災者台帳とは何か、被災者台帳を活用することでどのようなメリットがあるのか、などについて書いていこうと思います。
被災者台帳とは何か
そもそも被災者台帳とは何かをひとことで言うと、被災者支援の支援漏れや手続きの重複をなくし、中長期にわたる被災者支援を効率的に実施するため、個々の被災者の被害状況や支援状況、配慮事項を一元的に集約するものです。
大きな災害が発生すると多数の被災者が発生し、災害応急対応や復旧・復興にわたって被災者に行われる援護の業務は複雑になります。特に大きな災害を何度も経験したことのある自治体職員はほとんどいないために、本来ならば受給資格がある被災者に対して制度の案内が適切に行われなかったり、支援漏れが発生してしまったりという事態が発生してしまいます。
(土砂災害現場:災害写真データベースより画像引用)
このような状態を防いで平等に災害支援を行うためには、ここの被災者の被害状況や支援状況を一元的に集約した被災者台帳が重要になってきます。
災害時にはこの被災者台帳をすぐに作成できるようにするために、もともと他の目的で作成していた住民関連情報について、被災者台帳にも活用できるように個人情報保護条例との整理を行っています。
個人情報を取り扱うために被災者台帳はその管理方法も厳重にしなければなりません。なお、外部機関が行う被災者援護を効率的に行うために、必要に応じて申請に基づいて台帳情報の提供も、他の公共団体に対しては本人の同意なしで提供が可能であり、地方公共団体以外のものに対して対しては本人の同意の上で提供が可能になっています。
被災者台帳を活用することによるメリット
被災者台帳を活用することによるメリットはいくつかありますが、代表的なものは下記のものになります。
被災者の援護漏れや二重支給の防止
被災者台帳を活用することによるメリットとしてまず援護の必要が有る被災者の状況を的確に把握することで、援護の漏れを防ぐことができるということがあげられます。援護の必要が有る被災者の状況を的確に把握することで援護漏れ以外に、逆に二重で支援をしてしまうことも防止することができます。
被災者の負担軽減
役所では基本的に縦割りで業務が行われており、申請等を行う際には複数の部署に書類を提出するなど煩雑になりがちですが、被災者台帳を活用することで、被災者が市町村の担当部署ごとに同様の申請を行わずにすみます。
(住家の被害:災害写真データベースより画像引用)
被災者への迅速な援護
被災者台帳を活用することで、被災者に関する情報を集約することができるので、その分被災者への援護を迅速かつ正確に行うことができます。
関係部署の負担軽減
被災者台帳を活用することによって被災者に係る情報を収集した部署がその情報を被災者台帳に記載することで、関係部署間で共有することになり、情報収集事務の重複を防止することが可能になります。
以上、被災者台帳について、そもそも被災者台帳とは何か、被災者台帳を活用することでどのようなメリットがあるのか、などについて見てきました。
被災した混乱状態の中で被災者支援を正確かつ迅速に行うことは容易なことではありませんが、被災者台帳はそんな業務を効率的に行うために有効であるといえます。
参考サイト▪︎内閣府「被災者台帳」