プッシュ型支援とは?プル型支援との違いと熊本地震での実態について

2018.05.11

大きな災害が発生すると被災した地方自治体や家庭で事前に災害に備えて備蓄していた食料などの物資がすぐに枯渇するために被災していない地域から支援物資を届ける迅速に届けることが重要になります。
しかし、被災地ではそもそも何の支援物資がどれくらい必要になっているのかを調査するには時間がかかり、旧来型の支援物資の運搬では本当に支援物資が必要なタイミングで必要物資を届けることができない場合があります。
そんな課題を解決するための方法として「プッシュ型支援」があります。プッシュ型支援は熊本地震でも行われており、被災地支援に大きく役立ちました。
今回はそんなプッシュ型支援について、そもそもプッシュ型支援とは何か、プッシュ型支援とプル型支援の違いは何か、熊本地震でのプッシュ型支援について、などについて書いて行こうと思います。

プッシュ型支援とは何か

そもそもプッシュ型支援とは何かをひとことで言うと、国が被災した自治体からの具体的な要請を待たずに被災者に必要不可欠と見込まれる支援物資を緊急輸送することです。
災害に備えて自治体では食料などの備蓄品を備えており、災害が発生した場合にはそれをすぐに供給しますが、それも災害発生から3日が限界であり、すぐに枯渇してしまいます。
一方で、発災したばかりのタイミングでは被災した自治体もどの支援物資がどれくらい必要になるのか正確な情報を把握することが難しく、被災した自治体のみでは必要な物資をすぐに調達することができません。
そこでこのプッシュ型支援という考え方が重要になり、国は被災した自治体から具体的な要請を待たないで必要不可欠な支援物資を調達してプッシュ型支援で被災地に支援物資を緊急輸送します。

プッシュ型支援とプル型支援の違い

このようにプッシュ型支援とは必要な支援物資を被災地からの要請を待たずに緊急輸送するものですが、逆に被災地にヒアリングした上で要請があった支援物資を被災地に送ることをプル型支援と言います。
このようにプッシュ型支援とプル型支援は同じ支援物資を被災地に送るとういうものでも、その方法が大きく異なります。
プッシュ型支援は支援物資のニーズが十分に得られていない被災地へ必要なものを予測して供給するのに対して、プル型支援は支援物資のニーズが十分に得られる被災地へ、そのニーズに応じた支援物資を輸送します。
プッシュ型支援ではもしかしたら不要な支援物資を輸送してしまう可能性もありますが迅速に被災地に支援物資を届けることができるのに対して、プル型支援では確実に必要な支援物資を送ることができる一方で被災地からの要請を待っての支援になってしまいます。
このようにプッシュ型支援とプル型支援はそれぞれが一長一短であり、どちらが適切だと言うことはできませんが、災害発生〜発災3日目までは自分たちの備蓄で対応し、発災4日目〜発災7日目まではプッシュ型支援で対応し、それ以降はプル型の支援に切り替えるという考え方があります。

参照記事
救援物資(支援物資)の受付の仕組みと効果的に行う方法

熊本地震でのプッシュ型支援について

2016年に発生した熊本地震では九州地方に大きな被害をもたらしましたが、熊本地震では発災直後にプル型支援が行われ、発災から2日後には政府主導でプッシュ型支援に移行し、その4日後には政府がプル型支援に戻しました。

(物資支援の状況について:内閣府HPより引用)
熊本地震ではプル型支援とプッシュ型支援合わせて約263万食の食料が供給されました。熊本県の計画では、支援物資は県有施設である「グランメッセ熊本」に集約する予定でしたが本震で使えなくなり、備蓄分や九州の自治体からの物資は、県庁ロビーなどに一時置かれた。
最終的に被災者の手に渡るまでに時間がかかってしまいました。自治体にとってプッシュ型支援は慣れていない部分も多く、平素から国と地方自治体との間でプッシュ型支援に対する手順の確認やプッシュ型支援を受け入れる防災訓練など受援体制の整備が重要になってきます。
以上、プッシュ型支援について、そもそもプッシュ型支援とは何か、プッシュ型支援とプル型支援の違いは何か、熊本地震でのプッシュ型支援について、などについて見てきました。
大きな災害が発生した際には被災した自治体のみで対応することはできず、国や被災していない自治体からの支援をどう受け入れるかという考え方が重要になります。
支援を受け入れるにもそのための受援体制を整えていくことが重要であり、受援計画の策定やその訓練は今後の日本の防災を考える上で重要になってくるのではないでしょうか。

参照記事
災害現場へのLINE活用!SNSを防災に活かす新しい形

参考サイト▪︎内閣府「プッシュ型支援について」