LIPとは?災害発生時に優先すべき危機対応の目標
災害対応の方法について日本は過去の災害経験から数多くの学びをしてきましたが、それは海外でも同じです。特にアメリカでは度重なる危機対応からどうすれば迅速かつ生活に行動できるのか研究され続けてきました。
日本で過去の災害を教訓に考えられた対応方法を行うことも当然重要ですが、アメリカなど海外の危機対応の方法を学んで日本に活用できることは活用するというスタンスも重要なのではないかと言われています。
今回はそんなアメリカの初動期の災害対応で使われている「LIP」について、LIPとはどういうものなのかについて簡単に書いていこうと思います。
LIPとは何か
LIPとはひとことで言うと、災害対応の初動期に優先すべき活動をまとめたものです。優先すべき事項をまとめたと言っても複雑なものではなく、誰でもわかる3つの優先事項の頭文字をとっただけにすぎません。
LIPの一文字目であるLは「Life Safe(人の命に関わること)」です。災害対応ではやらなければならないことが山のように出てきますが、その中でも何よりも優先して取り組まなければならないことが人命に関わることなのです。
LIPの二文字目であるIは「Incident Stabilization(災害事態の沈静化)」です。人命に関わることを優先したらその次に優先すべきこととして、災害による被害をこれ以上でないように食い止めることがあげられます。二次災害が発生しないように災害事態を沈静化させることで被害の拡大を防ぐことができます。
LIPの三文字目であるPは「Property conservation(財産を守ること)」です。LIPで優先して取り組むべきだと言われている最後の項目が財産を保全することです。当たり前ですが誰もが災害による損害を最小限に抑えたいと考えますが、そのための行動を取るのが財産の保全です。
このようLIPとは災害の初動期に優先して行うべき「Life Safe(人の命に関わること)」「Incident Stabilization(災害事態の沈静化)」「Property conservation(財産を守ること)」という3つの項目を誰でもすぐに分かる形で省略したものです。
なぜLIPが大切なのか
LIPが良いと言われているところは誰でもすぐに分かるということです。災害が発生した際に防災計画や防災マニュアルを広げて考えることは有意義ですが、瞬時に判断をしなければならない切迫した局面においては、LIPくらいのシンプルさが重要なのかもしれません。
また、LIPの良いところとしては災害に関する情報が何も入ってこない状態でも使えることがあります。災害発生の初動期には情報が全く入って来ず、状況がつかめないことがありますが、LIPはいかなる状況においても使えます。
以上、アメリカの初動期の危機対応に優先して取り組むべき項目として使われているLIPについて見てきました。限られた判断材料の中で行動をしなければならない初動期において、LIPは有効的に活用できる可能性があります。
参考サイト▪︎FEMA「ICS」