津波救命艇とは?津波から身を守るための手段とガイドライン

2018.05.30

東日本大震災の際には地震に伴って大きな津波が発生しましたが、その津波によって多くの人が犠牲になりました。津波から逃げるためには高台に逃げることが基本ですが、中には近くに高台が無い場合もあります。
高台が近くにない場合には、津波避難タワーと呼ばれる津波から避難するための構造物や、津波避難ビルなどの丈夫なビルに避難することが考えられますが、そのほかにも「津波救命艇」を利用するということも考えられます。
津波救命艇についてはあまりまだ認知が進んでいませんが、東日本大震災以降に津波からどう避難するかを検討するにあたって注目されてきています。
今回はそんな津波救命艇について、そもそも津波救命艇とは何か、津波救命艇のガイドラインに書かれていること、などについて書いていこうと思います。

津波救命艇とは何か

そもそも津波救命艇とは何かをひとことで言うと、よく大型の船舶に搭載されている船舶用救命艇のような形をしたものであり、津波が襲ってきたときにその中に避難することで、浮揚して沈むことなく身を守れる避難船のようなものです。
実際に津波救命艇は大型の船舶等に搭載が義務付けられている船舶用救命艇の技術を活用したものであり、東日本大震災による被害を踏まえて、津波から避難する方法を検討する中で注目が高まっています。
津波から避難をする際には、高いところに避難することが原則ではありますが、高い場所が近くにないことも考えられますし、高齢者や乳幼児の避難の場合には、どうしても津波から逃げ遅れてしまうことが想定されます。

そんなときに津波が来た際には防空壕に入るような感覚でこの津波救命艇に逃げ込めば、津波から逃げ遅れることなく身を守ることができます。
日本では今後、南海トラフ地震などの大型の地震が予測されており、津波による大きな被害も想定されますが、その際に津波から避難する一つの手段として津波救命艇は注目を集めています。

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津波救命艇のガイドライン

このように津波救命艇は津波から身を守るための方法として、費用面や効率性の面から注目が集まっていますが、そもそも論として、津波救命艇は本当に津波から身を守るに耐えうるものである必要があります。
そのために、国土交通省では「津波救命艇ガイドライン」を公表しており、津波救命艇の安全性が担保されるための指針を公表しています。このガイドラインに書かれている内容について簡単に見て行こうと思います。

津波救命艇が満たすべき機能要件

津波救命艇が満たすべき機能要件の一つ目は、強度設計と許容加速度です。津波救命艇は、浮上状態で津波により陸上構造物や瓦礫と衝突することを想定しているので、その衝撃に対して十分な安全性を確保するものである必要があります。
津波救命艇が満たすべき機能要件の二つ目は、不沈性及び復原性です。津波救命艇は定員分の人が乗り装備品を満載した状態で、通常時及び内部に水が入った場合においても沈まずに、十分な復原性があるものである必要があります。

津波救命艇が満たすべき機能要件の三つ目は、漂流時の姿勢保持です。漂流時の横揺れ及び船首揺れ等による船体及び避難者への影響を軽減して、避難者の乗り心地に影響を及ぼさないよう設計に配慮を行うものである必要があります。
津波救命艇が満たすべき機能要件の四つ目は、居住性です。避難者が船員以外の一般人であること、長期間の漂流、災害時であること及び閉鎖空間であることによる避難者の心理状況を考慮して、内部空間の大きさ及び色彩、椅子、座席、床その他の内装品について配慮するものである必要があります。
津波救命艇が満たすべき機能要件の五つ目は、避難者保護措置です。漂流時、衝突時、転覆時に、避難者の負傷を最小限にするよう内装に適切な保護措置を施す必要があります。
津波救命艇が満たすべき機能要件の六つ目は、固定装置及び装備品です。固定装置及び装備品は、船舶の操作等に関し専門的な知識を有していない者が避難することを前提として、内部が閉鎖空間であることによるパニックの防止に配慮し、設計するものである必要があります。

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津波救命艇が満たすべき機能要件の七つ目は、通信設備です。津波救命艇の現在の位置等を発信するための通信設備を避難者の居住を妨げないよう搭載できる設計である必要があります。また、津波救命艇の設置にあたっては、素人でも使える通信設備を1式以上搭載することが望ましいとされています。
このほかにも津波救命艇が満たすべき機能要件として、本体の色や、設置担架のことなど、多くの要件があり、それらを満たしているものである必要があります。
このほかにもガイドライン全体を通して、津波救命艇の設置方法や避難方法、維持・管理方法などについても言及がされており、津波救命艇を安全に活用するにはどうすれば良いのかを確認することができます。
以上、津波救命艇について、そもそも津波救命艇とは何か、津波救命艇のガイドラインに書かれていること、などについて見て来ました。津波救命艇は津波から避難するための一つの有効な方法であり、その活用が期待されています。

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参考サイト▪︎国土交通省「津波救命艇について」