介護福祉施設でBCPや防災計画を作成することの重要性について

災害が発生した際に高齢者や障害者の方々をどうやって避難・救助するかを考えることは重要です。災害が発生して1分1秒を争う状態では、素早く行動することが要求されるためです。
素早く行動するためには災害が発生してからどうしようかと行動するのではなくて、事前に災害が発生したらどう行動しようかと考えておくことが重要です。事前に災害に備えて計画を立てておくことで災害による高齢者や障害者への被害を少しでも減らすことができます。
今回はそんな介護施設や福祉施設でBCPや防災計画を作成することの重要性について、なぜ介護福祉施設でBCPや防災計画が重要なのか、どのように介護福祉施設では防災の計画を立てていけば良いか、現状の介護福祉施設におけるBCP策定状態はどうなのか、などについて書いていこうと思います。

なぜ介護福祉施設でBCPや防災計画が重要なのか

災害が発生すると消防団の人や自衛隊の人などがすぐに駆けつけてくれるから、なんとかなるだろうと考えている人がいるかもしれませんが、実際にはそうはなりません。大規模な災害が発生したら街中が混乱して、すべての人が消防団の人や自衛隊の人などの援助を受けることができないからです。
災害時には「三助」という考え方があります。その名前の通り「3つの助ける手段」なのですが、「自助・共助・公助」の3つがそれに当たります。自助は自分の力で災害を乗り切ること、共助は近所の力を出し合いながら災害を乗り越えること、公助は政府の力で災害を乗り越えることです。
いざ災害が発生するとたとえ介護福祉施設であってもリソースの限界から公助はなかなか受けることができません。そのために介護福祉施設がそれぞれでBCPや防災計画を作成することが重要なのです。

参照記事
避難行動要支援者とは?名簿作成などで災害弱者を救う

どのように介護福祉施設では防災の計画を立てていけば良いか

介護福祉の防災を考えていく上で、市町村・消防団・地域住民などを巻き込んで防災の計画を立てていくことが重要です。これは市町村・消防団・地域住民などを巻き込むことで、災害時に先ほどの「共助」を実現することができるからです。
静岡県のHPにて「介護施設における事業継続計画(BCP)作成支援ツール」というものが公開されているので、BCPについてはこれを参考にしながら作成するのが良いでしょう。
一度で完璧な防災の計画書が作成できることはないので、一度作成したらそれをもとに防災訓練を行って、うまくいかない点は何度も修正を加えていくことで、いざ災害が起きたらどうするか備える必要があります。
ケアプランや個別支援計画の中に災害が発生した際の対応についても組み込むことが需要であるという意見もあり、個人的にはその通りだなと感じています。

現状の介護福祉施設におけるBCP策定状態

内閣府が公表しているデータをもとに福祉事業者のBCP策定状態を見てみると平成25 年8月の公表データと少し古いものではありますが、BCPを策定している福祉事業者は5%以下です。
策定中や検討中も含めれば30%近くまで行きますが、逆に言えば残りの70%はBCPを作る予定もないし、もっと言えばBCPの存在そのものも知らないという状態です。このことから福祉介護施設ではまだまだ防災に関する計画作りで改善できるところがあると分かります。
以上、介護施設や福祉施設でBCPや防災計画を作成することの重要性について見てきました。限られた資源しかない中で防災計画を立てていくことは大変ですが、介護施設や福祉施設こそより災害対策を行う必要があるのです。

参照記事
災害時要援護者とは?名簿や台帳による管理について

参考サイト▪︎静岡県「介護施設における事業継続計画(BCP)作成支援ツール」▪︎内閣府「特定分野における事業継続に関する実態調査」