市町村など地方公共団体のBCP(業務継続計画)作成について

2017.12.09

災害に備えるために都道府県や市町村などの地方公共団体は防災計画を立てる必要があります。代表的なものは地域防災計画ですが、これだけでは「何をしなければいけないか」しか分からず、「誰がいつ何をどこでするのか」を明確にした防災マニュアルを別に作成します。
ただし大規模災害が発生した場合には行政そのものも被災して、災害対応に当たることができる人員も大きく制限されてしまう可能性があります。その時のために地域防災計画や防災マニュアルとは別にBCP(業務継続計画)を作成する必要があります。今回はそんな都道府県や市町村などの地方公共団体のBCP(業務継続計画)作成について書いていこうと思います。

市町村など地方公共団体のBCP(業務継続計画)とは何か

そもそもBCP(業務継続計画)とは、普段の仕事の中から特に重要なものだけピックアップして、災害時には他の業務よりもその重要業務を優先的に行うというものです。
災害が発生した際には、行政そのものも直接的に被災する可能性があります。また、行政そのものが直接的に被災しなくても、例えば市役所で働いている人の家族が被災して、心配だから市役所には出所しないという人も出てくると思います。
実際に市町村が被災した場合に、被災の程度にもよるとは思いますが、半分の市役所員は出所するものの、残りの半分は出所できない(または出所しない)という状況になることがよくあります。
つまり普段は1,000人くらいが働いている市役所でも災害時には500人くらいしか働くことができなくなってしまうのです。他にも災害で建物が損傷したり、物品が破損したりするケースもあり、地方公共団体の使える資源に大きな制約がかかってしまいます。
そのような状況下で、すべての業務を今まで通りすることはできないので、事前に非常時に優先すべき業務を特定して体制を整えておくことが市町村など地方公共団体には必要であり、それをBCP(業務継続計画)と呼ぶのです。

参照記事
BCP(事業継続計画)とは何かゴリラでも分かるように解説して見た!

地方公共団体のBCP(業務継続計画)の効果

市町村や都道府県などの地方公共団体がBCP(業務継続計画)を作成することによって、地域防災計画や防災マニュアルではあまり考慮されてこなかった、被災した際にどうしてもやらなければいけない重要な業務を特定し、対応手順をまとめることができます。
こうすることで、災害直後の混乱時期においても行政が機能不全になることを避けて、災害時に行わなければならない業務を遂行することができるとともに、いち早く復旧・復興することができるのです。

(市町村のための業務継続計画作成ガイド:内閣府より引用)
上記の図が示すように、災害発生直後には普段の仕事だったら行っていないような応急業務(救助が必要な人を助けたり、避難所を開設したり)が発生します。災害発生から時間が経つにつれて、少しずつ緊急時用の仕事は減ってきて、普段の仕事の割合が増えてきます。
このように災害発生後は、地方自治体において重要な業務が時間とともに変化してくるので、BCP(業務継続計画)を作成して、どの仕事は後回しにして、どの仕事は優先すべきかを事前に考えておく必要があるのです。とにかく災害時には「災害による資源制約下においても、最低限必要な重要業務を継続させる必要」があり、それを事前に決めておく必要があるのです。

参照記事
地方自治体の行政がBCP(業務継続計画)を作成する重要性

市町村のBCP(業務継続計画)策定状況が進んでいない

地方公共団体がBCP(業務継続計画)を作成しているかどうかを総務省消防庁が行っています。

(地方公共団体における業務継続計画策定状況の調査結果:総務省消防庁より引用)
この調査結果によると、都道府県レベルでは100%の地方公共団体がBCP(業務継続計画)を作成していますが、市町村レベルでは42%の地方公共団体しかBCP(業務継続計画)を作成しておりません。
この調査結果からわかるように、市町村レベルにおいてもBCP(業務継続計画)作成をより促進していく必要があります。
しかし、そうは言ってもとりあえず何から手をつければ良いかわからないとい市長村のために内閣府は「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を作成しています。14ページくらいに簡単にまとまっている業務継続計画作成ガイドなので、まだ業務継続計画がないという自治体は是非一度見て見る価値があります。
「市町村のための業務継続計画作成ガイド」はそもそも人口1万人に満たない小規模市町村であっても必要最低限の事前に決めておいたほうがよい6要素がまとめられています。

市町村のための業務継続計画作成ガイド

・首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制
・本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定
・電気、水、食料等の確保
・災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保
・重要な行政データのバックアップ
・非常時優先業務の整理

災害に備えるというと地震に焦点が集まりがちですが、BCP(業務継続計画)では特定の災害に特定せずに他の災害でも活用できるような設計になっているので、あらゆる災害に対応することができます。
以上、市町村や都道府県など地方公共団体におけるBCP(業務継続計画)について見てきました。地域防災計画や防災マニュアルも当然大切ですが、BCP(業務継続計画)もそれらと同じくらい大切な防災計画なのです。

参考サイト▪︎内閣府「市町村のための業務継続計画作成ガイド」