バックビルディング現象とは?そのメカニズムと原因について
日本では過去にいくつもの集中豪雨が発生しており、集中豪雨によって洪水や土砂崩れなど多くの災害が発生しています。この集中豪雨が発生する原因はいくつかありますが、その中の一つに「バックビルディング現象」があります。
バックビルディング現象が発生すると積乱雲が連続的に発生するようになり、激しい雨が降り続けます。2014年に広島で発生した土砂災害でもこのバックビルディング現象による集中豪雨が原因だったのではないかと言われています。
今回はそんなバックビルディング現象について、そもそもバックビルディング現象とは何か、過去のバックビルディング現象による災害事例、などについて書いていこうと思います。
バックビルディング現象とは何か
そもそもバックビルディング現象とは何かをひとことで言うと、積乱雲が風上で連続して発生し、それによって風下で激しい雨が降り続ける現象です。風上で積乱雲が連続して発生する様子がまるでビルが林立するようであることからこの名前が付けられました。
普通の積乱雲は湿った風が上昇気流に乗ることで発生し、狭い範囲に1時間あたり20mm程度の雨を降らせた後に消えます。一方でバックビルディング現象の場合には‘風上で積乱雲が連続して発生するので、局地的に激しい雨が降り続けて集中豪雨となります。
発生した積乱雲は風に流されて移動して行くのですが、すぐに次の積乱雲が作成されるために、新たにできた積乱雲が線状・帯状に並び立つために、一帯に集中的に大雨を降らせることになります。
過去のバックビルディング現象による災害事例
過去のバックビルディング現象による災害事例はいくつかありますが、最も有名なものは2014年に広島県の安佐南、安佐北両区で発生した大規模な土砂災害です。
この広島で発生した土砂災害では77人の死者が発生する大災害になりましたが、この土砂災害の原因になったのがバックビルディング現象による集中豪雨でした。
この土砂災害では、豊後水道を通って日本海側に停滞する前線に向かって広島と山口の県境に流れ込んだ湿った南風が、丘陵部にぶつかり上昇気流となり積乱雲が発生しました。
上空1500m付近では南西風が吹いており、この南風とぶつかり県境付近で発生した積乱雲をさらに発達させながら北東方向へ運んだため、風下側の広島市で長時間にわたり局地的豪雨が発生し、土砂災害に繋がりました。
この他にもバックビルディング現象による水害は今までに何度も発生しております。日本の平均降水量は年間で1,500mm程度になることが多いですが、バックビルディング現象によって集中豪雨が発生すると場合によっては、たった12時間で600mm程度の雨が一気にふることがあります。
バックビルディング現象はその発生を予測することが難しいので、気象庁の注意報・警報をチェックして、大雨による災害が予測されている場合には早めに避難を行うなどの防災対策を行う必要があります。
以上、バックビルディング現象について、そもそもバックビルディング現象とは何か、過去のバックビルディング現象による災害事例、などについて見てきました。
バックビルディング現象による災害を少しでも減らすためには、気象庁などが発表している防災気象情報に気を配る必要があります。
参考サイト▪︎気象庁「集中豪雨の実態と最新監視技術の動向 」