海抜ゼロメートル地帯とは?日本の三大湾と水害対策

ヨーロッパにオランダという国がありますが、この国は英語ではNederlandで表記され、「低地の国」という意味になります。その名前の通り、国土の1/4が海面より低いそうです。
海面よりも国土が低いゆえに、オランダでは今までに何度も水害による被害を受けてきました。海水面と国土の標高の差は水害を考える上で重要であり、水害の危険性を考えるには「海抜ゼロメートル地帯」を意識する必要があります。
今回はそんな海抜ゼロメートル地帯について、そもそも海抜ゼロメートル地帯とは何か、日本の三大湾の海抜ゼロメートル地帯について、海抜ゼロメートル地帯の水害対策、などについて書いていこうと思います。

海抜ゼロメートル地帯とは何か

そもそも海抜ゼロメートル地帯とは何かをひとことで言うと、沿岸地域で地表の標高が満潮時の平均海水面よりも低い場所のことです。海抜ゼロメートル地帯から海抜を抜いて「ゼロメートル地帯」とだけで表現されることもあります。
海抜ゼロメートル地帯は、海面よりも標高が低いので、大雨の際などには海水が流れ込む危険性があります。そのために高潮、台風、津波などに弱く、水害が発生する可能性が高いです。
一般的に海抜ゼロメートル地帯は堤防や水門などの整備がされており、水害が発生しないように対策が練られています。
そもそもなぜ海抜ゼロメートル地帯が存在するのかというと、その理由はさまざまです。長い地球の歴史の中で地殻変動が発生して海岸から少しだけ離れた陸地が沈下して海抜ゼロメートル地帯が発生したケースもありますし、埋め立てや干拓によって陸地を拡大する過程で海抜ゼロメートル地帯ができたケースもあります。

参照記事
海溝型地震とは?そのメカニズムと内陸型地震との違い

日本の三大湾の海抜ゼロメートル地帯について

日本は島国であり、海抜ゼロメートル地帯は多く存在しています。特に日本の三大湾である東京湾、大阪湾、伊勢湾はそれぞれ東京、大阪、名古屋が都市として拡大していく過程で干拓や埋め立てが行われ、その沿岸には海抜ゼロメートル地帯が広がっています。
過去に海抜ゼロメートル地帯を襲った水害で有名なものに伊勢湾台風があります。この伊勢湾大風は災害対策基本法という日本の災害に関する基本的な法律ができるきっかけにもなりましたが、この台風によって名古屋の海抜ゼロメートル地帯において住民の約2,000人が亡くなったと言われています。
東京湾の湾岸部や、荒川の両岸付近に海抜ゼロメートル地帯が広がっており、中央防災会議でも「大規模水害対策に関する専門調査会」が行われ、東京湾の高潮氾濫の被害想定が行われました。
このように日本には海抜ゼロメートル地帯が多くあり、さらに都市部にも大きな割合が海抜ゼロメートル地帯を占めているので、高潮などの水害対策を十分にすることが必要であると言えます。

海抜ゼロメートル地帯の水害対策

これまで見てきたように海抜ゼロメートル地帯は標高が海水面よりも低いために、高潮や洪水などの水害が発生する可能性が高いと言えます。さらに標高が海面よりも低いこともあり、一度水害が発生するとなかなか自然には水が引いていかずに復旧・復興が長引くこともあります。
海抜ゼロメートル地帯の水害対策としては、海岸や川岸の堤防補強、排水ポンプの設置などのハード防災対策が考えられます。
また、水害が発生した場合に浸水する可能性のあるエリアの住民には事前にその旨をしっかりと伝えておいて防災に関する危機意識を持たせておくと同時に、災害が発生する前に事前に避難を行うタイミングを決めておくなどのソフト防災対策もしっかりと行う必要があると言えます。
以上、海抜ゼロメートル地帯について、そもそも海抜ゼロメートル地帯とは何か、日本の三大湾の海抜ゼロメートル地帯について、海抜ゼロメートル地帯の水害対策、などについて見てきました。海抜ゼロメートル地帯では水害が発生する可能性があるので、注意を払う必要があります。

参照記事
大津波警報と津波警報と津波注意報の内容と違いについて

参考サイト▪︎国土交通省「わが国におけるゼロメートル地帯の高潮対策の現状」