災害でマンションを建替える際の問題点について

2018.07.01

大きな災害が発生すると自分が住んでいた家が倒壊するなどして住むことができなくなる場合があります。一軒家の場合には、その家に住んでいるのは自分たちだけなので、災害後に家を建て替えるのか修繕するのかなどは自分たちで判断することができます。
しかし、マンションの場合にはそう簡単には行きません。マンションの場合には一つの建物に区分所有で何人もの住民が住んでいることがありますが、そうなると建て替えるのか修繕するのかなどを議論する際にも、意見の相違からトラブルになることもあります。
今回はそんな災害でマンションを建替える際の問題点について、災害時のマンション建て替えに必要な住民合意、住民合意が取れない場合のマンション再建、マンション建替え組合による再建、などについて書いていこうと思います。

災害時のマンション建て替えに必要な住民合意

災害が発生した際には、建物が破損することがありますが、マンションに住んでいる場合には、安全のためにマンションを建て替えるのか、それとも修繕するのか、などでそのマンションに住んでいる人たちの意見が合わない場合があります。
特に多くの住民が住むマンションでは住民の間で合意形成するのは至難の技であり、マンションの住民全員の希望を満たすことは実質的に不可能です。特に建設費用の負担問題などではどうしても意見が合わないことがあります。
その際には「建物の区分所有等による法律」に基づいて、建て替え決議をすることで住民間の意見調整を行うことが多いです。
建て替え決議では、下記のような割合で住民の合意形成がなされて行きます。

建て替え決議の割合

建替え・・・区分所有者の4/5以上
大規模な修復工事(減失部分が1/2以上)・・・区分所有者の3/4以上
小規模な修復工事(減失部分が1/2未満)・・・区分所有者の1/2以上

実際の協議の場では、減失部分が1/2以上の判断をどのようにして行い誰が決めるのか、そもそもこのような重要な決定を多数決で行うのはどうなのか、などといった問題があるようです。

参照記事
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住民合意が取れない場合のマンション再建

災害で破損したマンションをどうするのかをそのマンションの住民間で協議するに当たって、建て替え決議をした中で仮に反対する人がいた場合には、建て替え決議から2ヶ月以内に再建参加の意思表示を行う必要があります。
建替えに参加しない場合には、資産を時価で買い取ることになりますが、ただしこの時価についてはいつの時点を起点にするのかで意見が分かれることがります。

災害前の比較的に高い時価をもとに買い取り金額を決めるのか、それとも災害後の比較的に低い時価をもとに買い取り金額を決めるのかで、大きな差が出てくることがあります。
災害時にトラブルを避けるためにも、時価の時点をいつにするのかは、事前にマンション規約に盛り込んでおく必要があります。

参照記事
地震発生から7日間で起きることを時系列でまとめてみた

マンション建替え組合による再建

マンションの建て替え不参加者からの資産買い取りをするにあたっては、「マンション建替え円滑化法」によって、マンション建替え組合を設立することも可能になっています。
マンション建替え組合を設立して再建することで、民間デベロッパーの支配下に入らずに、マンション住民である区分所有者が主体になって再建を行うことができます。

マンション建替え組合はマンション住民の3/4以上の合意で設立され、建て替え不参加者への資産売渡請求、金融機関からの費用借入、建物設計や工事請負契約などの契約業務、補助金の申請手続き、などを行って行きます。
以上、災害でマンションを建替える際の問題点について、災害時のマンション建て替えに必要な住民合意、住民合意が取れない場合のマンション再建、マンション建替え組合による再建、などについて見てきました。
災害によって壊れたマンションを住民合意のもとで再建していくことは、住民の間でトラブルになることも多いので、無用なトラブルを避けるためにも、正規な方法で公平に再建していくことが必要になります。

参照記事
マンションの地震対策で事前に心がけておく5つのこと

参考サイト▪︎国土交通省「マンションと地域の連携・共助による地域防災力の強化に関する調査研究」