自衛隊災害派遣とは?費用負担方法や災害派遣実績について

他国が日本に侵略することに対して防衛するための組織として自衛隊があります。憲法9条で「戦力の不保持」という項目があるので、自衛隊の存在については賛否様々な意見がありますが、災害対応でも自衛隊は活躍しています。
東日本大震災の際にも災害対応における自衛隊の活躍が報道されていましたが、大きな災害が発生した際には地方自治体、消防、警察では対応し切れない部分がどうしても出てくるので、自衛隊が活躍します。
今回はそんな自衛隊と災害について、自衛隊災害派遣とは何か、自衛隊災害派遣の活動内容、自衛隊災害派遣における費用負担は誰が持つのか、自衛隊災害派遣に対する賛否両方の見解、などについて書いていこうと思います。

自衛隊災害派遣とは何か

そもそも自衛隊災害派遣とは文字通り、災害時に自衛隊を被災地に派遣するというものです。自衛隊は日本の安全を守るために様々な活動をしていますが、自衛隊災害派遣で災害対応を行うのも重要な役割のひとつです。
大きな災害ではどうしても地方自治体、消防、警察では対応し切れない対応内容があるので、その際には、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊がそれぞれ災害対応を行います。自衛隊災害派遣は今までに何度も行われてきており、既に数万回に及ぶ活動実績があります。
過去の災害対応において自衛隊が活躍した例としては、1951年に九州を襲ったルース台風に始まり、その後も地震、台風、噴火など様々な災害に対して対応を行い、東日本大震災や御嶽山の噴火などでも派遣がされました。

(災害発生から派遣までの流れ:陸上自衛隊HPより引用)

自衛隊災害派遣の活動内容

自衛隊災害派遣が 災害対応で行うか活動内容については多岐にわたります。具体的にどのようなものがあるのかを例示すると下記の活動内容が代表的です。

自衛隊災害派遣の活動内容

・被災者の救出
・負傷者の治療
・行方不明者の捜索
・支援物資の輸送
・道路などインフラの応急復旧
・支障物の撤去
・遺体の収容

ここに挙げたものはあくまで一例であり、実際には災害の種類や状況に応じてこの他にも多様な支援活動をしています。
自衛隊が行う災害対応の特徴として「自己完結性」というものがあります。これは他の組織からの支援がなくても自力で災害支援活動をすることができることを意味しています。

参照記事
警察災害派遣隊とは?災害対応で派遣される警察部隊

自衛隊災害派遣における費用負担は誰が持つのか

自衛隊の災害派遣の任務を行うにあたって発生しる費用負担については、公共の秩序を維持するための活動ということで、基本的に要請者に対して費用請求することはありません。
しかし、被災地に提供した食料や自衛隊員の施設利用料など災害派遣を行うために特別に発生した費用については都道府県等と協議した上で要請者が負担することがあります。

自衛隊災害派遣に対する賛否両方の見解

これまで述べてきたように自衛隊災害派遣は災害対応と復旧・復興活動をするにあたって大きく貢献しているのですが、その災害対応の活動については肯定的な意見と否定的な意見の両方が存在しています。
自衛隊災害派遣に肯定的な意見としては、自衛隊の過去の災害対応における成果は国民の期待を上回るものであり、自衛隊が災害対応において権限を持つことで制約を受けることはあるが、その制約は限定的なものであり、メリットの方が大きいという意見があります。

一方で、自衛隊災害派遣に否定的な意見としては、文民統制に反する行為であるという意見があります。文民統制とは簡単に説明すると政府の軍人ではないものが軍隊を指揮することを意味しており、自衛隊災害派遣はこれに該当するのではないのかという意見が存在しています。
以上、自衛隊災害派遣とは何か、自衛隊災害派遣の活動内容、自衛隊災害派遣における費用負担は誰が持つのか、自衛隊災害派遣に対する賛否両方の見解、などについて見てきました。
いろんな見解がありますが、自衛隊は今までに災害対応において活躍をしており、今後もその活躍が期待されています。

参照記事
JMAT(日本医師会災害医療チーム)とは?日本医師会による災害派遣

参考サイト▪︎陸上自衛隊「災害派遣の仕組み」