帰宅困難者(帰宅難民)とは?その定義と対策ハンドブックについて

2018.01.10

東日本大震災が発生した際に東京でも大量の帰宅困難者が発生したことがニュースにとりあげられていました。災害は直接的に被害にあう人も当然いますが、中には直接的な被害を受けなくても、例えばそれで電車などの公共交通機関が止まることで混乱の影響を受ける人もいます。
「帰宅困難者(帰宅難民)」もそんな間接的な影響を受けた人たちですが、災害を直接受けていなくて家に帰れないくらいなんとでもなるだろうと思うかもしれませんが、実際にはその数が膨大になることもあり、大きな問題となっています。
今回はそんな帰宅困難者について、そもそも帰宅困難者とは何なのか、帰宅困難者対策ハンドブックについて、などについて書いていこうと思います。

帰宅困難者(帰宅難民)とは何か

帰宅困難者(帰宅難民)とはひとことで言うと、勤務先や外出先で地震や洪水などの自然災害に遭遇して自宅へ帰ることが難しくなった人のことを指します。
家までどれくらいの距離が帰宅困難なのかについては、災害の状況やその人の状態によっても変わるので一概には言えませんが、帰宅距離10キロ以内は「帰宅可能」で20キロ以上は「帰宅困難」と判断することが多いです。
過去に発生した帰宅困難者の例としては東日本大震災において公共交通機関がストップした影響により首都圏全体で500万人を超える帰宅困難者が発生しました。

今後発生が予測されている首都直下地震や南海トラフ地震ではこれを超える帰宅困難者の発生が予測されており、事前に帰宅困難者の対策をどこまでできるかが焦点になっています。
過去の帰宅困難者の例を見ると、地震以外にも豪雨や豪雪、台風などあらゆる自然災害で帰宅困難者は発生する可能性があると言えます。

参照記事
災害時帰宅支援ステーションとは?帰宅困難者を支援する施設

帰宅困難者対策ハンドブックについて

実際に帰宅困難者対策を行おうと思っても、どこから手をつければ良いのか分からないという人も多いかと思いますが、その時に参考になるものに東京都が公表している「帰宅困難者対策ハンドブック」があります。
この帰宅困難者対策ハンドブックに書かれている内容をもとに帰宅困難者に対してどんな対策を事前に行えばいいのかまとめていきたいと思います。詳細について知りたい方はこのハンドブックを参照していただければと思います。

帰宅困難者対策①:一斉帰宅の抑制

災害が発生した際にとりあえず従業員を家に帰そうとすると、一斉に家に帰ろうとする人で街が溢れかえり逆に混乱することがあります。例えば公共交通機関が動いていない中で歩いて帰ろうとすると地震の余震で二次災害に合う可能性もあります。
このために災害が発生したらむやみに移動せずに、安全な場所にとどまるように従業員に周知を行う必要があります。ちなみに東京都の条例では従業員の一斉帰宅の抑制が事業者の努力義務となっています。

帰宅困難者対策②:備蓄品の確保

帰宅困難者を一斉に帰宅させずに会社内で待機させる場合には、食料や毛布などの備蓄品が必要になります。具体的には3日分の水と食料の備蓄が推奨されています。会社に取引先が来社されている際に災害が発生する異なるも考えられるので、少し多めに備蓄品があった方が良いとも言われています。
この他にも毛布、ラジオ、懐中電灯などの数日間従業員が生活できるための備蓄品についても準備をしておく必要があります。

帰宅困難者対策③:施設の安全確保

帰宅困難者を発生させないために従業員を社内に滞在させるには、そもそも社内が安全である必要があります。災害が発生した際に本棚が倒れてきたり、ロッカーが倒れてきたりしないためにも、事前に家具類の転倒・落下防止策を行う必要があります。
場合によってはオフィスが壊れた際に従業員で応急処置ができるように、工具の準備をしておいた方が良いこともあります。

帰宅困難者対策④:安否確認

災害が発生した際に従業員の安否を確認することは重要です。会社の中で緊急時の連絡手順をまとめておく必要があります。また、東日本大震災の際には多くの人が携帯電話を使って連絡をしようとしましたが、なかなかうまく繋がりませんでした。
そのために安否確認の手段として、電話やメールでの報告以外にも、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言サービスなど複数の安否確認手段を準備しておいた方が良いです。

参照記事
災害時の安否確認ツール多様化の重要性について

帰宅困難者対策⑤:計画作成と訓練

今まで述べてきたことなどに注意していざ帰宅困難者対策の計画を作ってみても、いざ災害が発生したら予想外のことが連発して結局使い物にならなかったということもあります。
それを防ぐためにも事前に防災訓練を行って、作成した計画がうまくいくのかどうかを検証してみることが重要です。PDCAサイクルを回すことでより現実味のある帰宅困難者対策を行うことができます。
以上、帰宅困難者(帰宅難民)とその対策について見てきました。今後起きると予測されている首都直下地震や南海トラフ地震では今まで経験したことのないレベルで帰宅困難者が発生すると想定されます。
そんな大災害が発生した際に少しでも犠牲を少なくするためには、事前に帰宅困難者の対策をしっかりと行う必要があるのです。

参照記事
防災訓練とは?職員向けと一般住民向けにゴリラでも分かるように解説

参考サイト▪︎東京都防災「帰宅困難者対策」