CBRNE(NBCR)とは?災害に限らないリスクに対応する
災害に備えて防災を行うことは当然重要です。しかし、複雑化する現在の社会においてはリスクも複雑化しております。そのために、今までは防災は自然災害に対してのみ対策を行えば良いという認識がありましたが、自然災害に止まらず、あらゆるリスクに対して総合的に対策を行うことが重要になってきています。
そこで近年注目されている概念にCBRNE(NBCR)というものがあります。CBRNEとは自然災害に関わらず、例えば化学工場が事故で爆発したり、原子力事故で放射性物質が漏れてきたり、などといったあらゆるリスクに対して、どう対策を行って行動していけば良いのかを考えていきます。
今回はそんなCBRNEについて、そもそもCBRNEとは何か、過去のCBRNE事例としてはどのようなものがあるのか、CBRNEに対応するためには何が必要なのか等について書いていこうと思います。
CBRNE(NBCR)とは何か
そもそもCBRNEとは何かをひとことで言うと、化学事故・生物事故・放射性物質事故・核事故・爆発事故等による災害の総称です。名前の由来はそれぞれの頭文字を取っております。
CBRNEには呼び方がいろいろとあり、最後のEを取り除いたCBRNや、それの順番を入れ替えたNBCRなどもありますが、本質的にはどれも同じ意味を持っています。
C:Chemical(化学)の災害
CBRNEの頭文字のCですが、これは化学のCです。最近ではホームセンターでもいろんな種類の化学物質を購入することができますが、それらの化学テロや工業災害があげられます。
B:Biology(生物)の災害
CBRNEの二文字目のBですが、これは生物のBです。化学兵器に比べると馴染みはあまりありませんが、知識があれば生物兵器を培養してテロ行為を行う人が出てくる可能性もあります。悪意を持って生物テロを行う以外にも、感染症なども生物災害に該当します。
R:Radiological(放射性物質)の災害
CBRNEの三文字目のRですが、これは放射性物質のRです。放射性兵器や原子力発電所での事故がこれに該当します。
N:Nuclear(核)の災害
CBRNEの四文字目のNですが、これは核のNです。核兵器を用いたテロなどというとなかなかイメージがわきませんが、近年だと北朝鮮が核兵器の開発を行って、他国に打ち込むかもしれないという疑惑が流れていたりしました。
E:Explosive (爆発物)の災害
CBRNEの最後の文字はEですが、これが爆発物のEです。爆発物によるテロは日本ではなかなか行われませんが、世界的にテロ行為等で行われており、ニュースで見かけることがあるかと思います。テロではありませんが、日本でも工場が事故で爆発するというニュースをたまに見かけることがあります。
このように、CBRNEとは自然災害に関わらず、あらゆるリスクの総称であると言えます。これらのリスクは自然災害によるリスクとは性質が異なりますが、異常事態への対応という面では似通っている面も実際には多く、防災のノウハウをこれらのリスク対応へと活用することが期待されています。
過去のCBRNE事例
過去のCBRNE事例として日本でも様々な事件や事故がありますが、その中の一つに「地下鉄サリン事件」があります。オウム真理教が地下鉄でサリンを散布した事件でしたが、これは化学災害(C)であると言えます。この事件では多くの犠牲者が出てしまい、CBRNEの重要性を認識させる一つのきっかけにもなりました。
その他にもたくさんありますが、東日本大震災に伴って発生した福島第一原子力発電発電所での事故もCBRNEの事例の一つと言えます。これは放射性物質(R)による事故ですが、自然災害に伴い発生したCBRNEという事例になります。
CBRNEに対応するためには何が必要なのか
CBRNE対応を行うために何が必要なのかを特定するのはそう簡単な作業ではありませんが、縦割りの垣根を越えて対応していくことが一つ重要になってきます。CBRNEへの対応では普段仕事を一緒にしている人とは異なる人と協働する必要が出てくるので、顔の見える関係作りを普段から行うことで事故・事件への対処が早まります。
また、国際的な協力体制を作ることも一つの方法として考えられます。福島第一原子力発電発電所での事故を見てもわかるように、CBRNEの中にはとても日本だけでは対応しきれないようなケースも考えられます。
その時に国際的な支援の枠組みを作成するのために、今の段階から国をまたいだ災害対応の協力枠組みを作成しておくことも重要であると言えます。
参考サイト▪︎What is CBRNE?