DMAT(災害派遣医療チーム)とは?災害時の医療について
災害が発生すると被災地は大きく混乱します。崩壊した建物で道路がふさがれてしまい、交通機関は当面動く気配もないという場合もあります。被災地は負傷者で溢れており、中には重症の被災者もいる。このように災害時には平常時とは環境が全く異なるので、平常時とは違った医療が必要になってきます。そんな災害時特有の医療に関する問題を解決するために「DMAT(災害派遣医療チーム)」という組織が存在します。
今回はそんなDMAT(災害派遣医療チーム)について、そもそもDMAT(災害派遣医療チーム)とは何か、災害時における医療で気をつけなければならないことは何か、などについて書いていこうと思います。
DMAT(災害派遣医療チーム)とは何か
そもそもDMAT(災害派遣医療チーム)とはひとことで言うと、災害が発生した緊急事態にも機動力を持って行動できる医療チームです。災害が発生してから48時間以内の急性期に活動し、災害医療や被災地の病院支援を行います。
チームとしては医師と看護師を中心に、薬剤師、診断放射線技師などの業務調整員とともに構成されます。日本語では災害派遣医療チームですが、実際にはDMATで呼ばれることが多く、言葉の成り立ちは「Disaster Medical Assistance Team」の頭文字です。
要するにDMATとは災害発生直後に出勤することのできる緊急医療チームであり、震災発生直後の重症外傷患者の救命を行います。
災害や防災の業界には「72時間の壁(黄金の72時間)」という言葉があります。これは災害発生後の人命救助では発災から72時間=3日間が重要であることを意味しています。
このように災害が発生してからできるだけ早く救命医療を行う必要があるのですが、従来の医療救護班ではどうしても最初に災害現場に派遣されるまでに2〜3日の時間がかかってしまいます。
そのために従来の医療体制では発災直後の被災者を救助するのが難しいことからDMATが作られ、発災直後の緊急医療を迅速に行う活動をしているのです。
DMATが対象とする災害は地震や津波などの自然災害もそうですし、過去には電車事故や自動車事故などでも出動しており、多岐にわたっています。自然災害においてDMATが派遣される基準は、地震の場合には震度の大きさや死者の数によって変わってきます。
災害時における医療
災害時における医療については災害対策基本法でも規定されており、行政が作成する地域防災計画の中でも触れられています。しかし、実際に作成されている地域防災計画や防災マニュアルが災害時にうまく機能するのかどうかはわかりません。
災害時にはそもそも被災地の病院そのものも被災して医療機能も低下しており、かつ大量の被災者が病院に訪れます。その中で通常の医療を災害時にも行うことは不可能と言えます。
DMATもその問題を解決するための一つの手段といえますが、それで全てをカバーできるわけではありません。そのために、基本的な考え方として災害時にはとりあえず病院に怪我をしたり体調の悪くなったりした人を搬入すればいいという考えはよくありません。
病院の機能が低下している中で、通常よりも多くの患者を対応することなどできるわけもないからです。この問題を解決するためにも、災害時の医療体制をどうするのかについて平常時のうちから考えておく必要があります。
災害時に医療機関からどうやって情報を収集するのか、災害拠点病院との連携はどうするのか、地域防災計画や防災マニュアルはどうなっているのか、など事前に対策できるところは対策しておく必要があります。
以上、DMATを中心に災害時の医療について見てきました。災害時という異常事態において、少しでも平時に近い医療を行うためには、事前の準備が重要になります。
参考サイト▪︎DMAT事務局