防災情報システムとは?災害関連の情報を共有する仕組み
災害が発生した際に正確かつ迅速に情報を共有することは極めて重要です。阪神淡路大震災以降、災害時に情報を共有するためのシステム作りは進んできておりますが、未だに「情報の空白」がどうしても発生してしまいます。
しかしIT技術は日夜進歩を遂げており、その技術を防災に活かすことによって、少しでも災害による被害を少なくすることに貢献することができます。今回はそんな防災情報システムについて、そもそも防災情報システムとは何か、防災情報システムの確立がなぜ重要なのか、などについて書いていこうと思います。
防災情報システムとは何か
防災情報システムとはひとことで言うと、地震や洪水など幅広い災害に対して災害情報を国や行政、住民などが共有するためのシステムです。
防災関連の機関は多く存在するのですが、それぞれの用途ごとに情報システムを構築しているので、大規模災害が発生すると情報共有を十分に行うことができていませんでした。
そのために内閣府の中央防災会議は「防災情報システム整備の基本方針」を決定して、災害時に情報をうまく共有するために総合防災情報システムを提唱しました。
この「防災情報システム整備の基本方針」の中では基本方針として下記のようなことが掲げられています。
防災情報システム整備の基本方針
①時間的・空間的な情報の空白を解消
被災直後や夜間での状況把握が困難であったり、被災地の防災機関に情報が十分に伝わらなかったりするなどの問題を解消する。
②情報活用体制を確立
情報整理、防災関係者の情報伝達の負荷の大幅削減を図るなど情報システムを確立する。
③平常時から防災情報の的確な共有・活用
防災関連情報や教訓の保存、活用等を図る。
④防災電子政府を構築
実際の行動に役立つ情報流通を確保するため、相当量の情報交換が円滑に行われ、情報の共有化・標準化を図るシステムを構築。
⑤防災情報システム整備推進体制を整備し、3年を目標に実用化する
政府として防災情報システムを一体的に推進する。
このように災害時に情報をどうやって伝達・共有するのかを整備することは極めて重要であり、政府が主導してその仕組み作りに動いております。
防災情報システムの具体例
防災情報システムの具体的な施策として下記のようにいくつかのものが挙げられます。
被害全体像の早期把握システムの精度向上
航空機や人工衛星から撮影された画像情報と住民からの情報や電気ガス水道等のライフラインの管理情報を組み合わせて被害全体をできるだけ早く把握し、それを官公庁や医療機関、住民などに提供するシステム。
通信網の相互利用
防災関連機関が持っている通信回線を防災対策のために各機関で相互に接続・利用できる体制を確立し、緊急時にはこれらの通信回線を目的外であっても使えるようにする。
(防災情報システム整備の基本方針:内閣府HPより引用)
防災情報のバリアフリー対策
災害時には外国人や高齢者向けに特別な対策が必要になります。外国人の中には日本語が読めない人が多くいるので、どうしても災害の情報が理解しにくくなってしまいます。高齢者については場合によっては援護が必要になります。外国人や高齢者であったとしても、情報提供において障害が発生しない防災情報のバリアフリー対策の実施が掲げられています。
防災GISの整備
地理情報システム(GIS)で災害情報を総合化する防災GISを整備して、情報をわかりやすく、地図という形で視覚的に分かりやすい情報提供の仕組みを構築しようとしています。
(防災情報システム整備の基本方針:内閣府HPより引用)
防災情報共有プラットフォームの構築
災害が発生した時の情報のあり方として、防災情報の共通化・標準化は極めて重要です。防災機関が横断的に共有すべき防災情報の形式を標準化して国や地方公共団体の情報を共通システムに集約する「災害情報プラットフォーム」の構築を計画的に進めています。
下記の図が示すのように災害時の情報を取りまとめて整備するようなプラットフォームを設けることで、情報共有の効率化を図ることができます。
(防災情報システム整備の基本方針:内閣府HPより引用)
このように、防災情報システムとは災害情報を国や行政、住民などが共有するためのシステムであり、今後更に強化を図らなければならない部分であると言えます。災害時にとても重要になる“情報”をいかに共有するかは現在の日本の大きな課題であると言えるでしょう。
参考サイト▪︎内閣府「防災情報システム整備の基本方針」