復興公営住宅(災害公営住宅)とは?被災者の住宅セーフティネット
大規模な災害が発生すると街の大部分の住宅が全壊してしまうことがあります。東日本大震災のニュースで、多くの住宅が洪水で流されてしまっている様子を見たことがある人も多いかと思います。
そこにはもともと人が住んでいたので、それは多くの人が戻る家を失くしてしまうことを意味します。災害が一段落したら今までそこに住んでいた人は当然新しい家をなんとかして手に入れる必要があります。そんな時に活用されるのが「復興公営住宅(災害公営住宅)」です。
今回はそんな復興公営住宅について、そもそも復興公営住宅とは何か、復興公営住宅にはどんな問題点があるのか、などについて書いていこうと思います。
復興公営住宅(災害公営住宅)とは何か
復興公営住宅とはひとことで言うと、災害で家をなくした人に対して最低限の生活をできるようにするために安価で住宅を提供するというものです。普段の生活でも所得が低い人に対しては公営住宅の利用を行うことがありますが、復興公営住宅はそれの災害復興の要素を入れたものです。
とは言っても復興公営住宅は災害後にすぐに被災者が入居するわけではありません。まず災害が発生すると被災者は避難所等に避難します。しかし避難所も体育館をパーテッションで区切ったようなものなので、長居することはできません。
そのためにしばらくすると家を失った人は仮設住宅に移ります。これはその名前の通りプレハブや木造等で作られた一時的なものです。中には仮設住宅でしばらく暮らした後に自分の家を新たに買ったり、自分で新しく家を借りたりする人もいます。
しかし、なかなか新たに家を自力で準備することができなかった人もかなりの数が発生することがあり、その場合には復興公営住宅が利用されます。このように復興公営住宅は被災者が復興していく上で、最低限必要な住居を提供するためのセーフティネット的な役割があると言えます。
(応急仮設住宅の様子:災害写真データベースより画像引用)
実際に復興公営住宅とその補助がどうなるのかは、災害によって異なるので一概には言えませんが、阪神・淡路大震災の際には鉄筋コンクリートの中高層集合住宅というスタイルで復興公営住宅が建てられて、家賃は6千円前後で利用できるケースも存在しました。
復興公営住宅(災害公営住宅)の問題点について
このように復興公営住宅は災害によって多くのものを失った被災者にとってとても有意義なものなのですが、一方で孤立死などの問題点も抱えています。
一般的に復興公営住宅に入居される方は、復興公営住宅の建物や家賃について不満を抱えるケースはほとんどありません。しかし、復興公営住宅に住むと既存の地域コミュニティが壊れてしまうことがあります。
今までの近所付き合いが無くなって、急に知らない人同士で新しいコミュニティを作るのは大変ですし、気疲れしてしまいます。そのために生活が孤立していくこともあり、次第に人付き合いが無くなっていくことがあるのです。実際に阪神・淡路大震災の時には理由は様々ですが1,000人以上の人が孤立死しているというデータもあります。
(一般社団法人 住宅生産団体連合会HPより引用)
東日本大震災では3万戸近くの復興公営住宅が建てられていますが、今回もコミュニティの問題が発生しています。
復興公営住宅は家賃が安いというメリットが存在する一方で、自分の希望通りの家の間取りや場所を選ぶことができませんし、将来的に入居者がいなくなった際にどう処理するのかなどの問題を含んでいるのです。
自力再建支援制度
このように復興公営住宅は自分で住居の準備ができない人のための制度ですが、自分で住居の準備をしようとしている被災者を支援する制度が「自力再建支援制度」です。
これは住宅の壊れ具合と、新しい住居を確保する方法によって支援される金額が異なるのですが、これから新しい住居を建設しようとしている場合には収入に関係なく最大で300万円の支援を受けることができます。
その他にも住宅ローンに関して被災者の場合には低金利で一定金額の住宅ローンを受けることができる制度や、住宅ローンが残っている家が壊れてしまった場合にそのローンを一部免除してくれる制度も存在しています。
いずれにしても、このように災害によって家を失った被災者に対しては政府が復興公営住宅を提供する方法もあれば、自ら家を建設しようとしている被災者を支援する方法もあり、多面的な支援を行っています。
以上、復興公営住宅の概要や自力再建支援制度などについて見てきました。災害によって家を失った被災者の精神的な苦痛は甚大なものだと思いますが、そんな被災者を支えるために復興公営住宅等は大きな役割を負っているのです。
参考サイト▪︎ふくしま復興ステーション「復興公営住宅」