指定緊急避難場所とは?指定避難所との違いと検索方法

2018.05.20

大きな災害が発生する可能性がある又は災害が発生した場合には、命を守るために安全な場所に避難する必要があります。避難するまでに時間的な余裕がある場合に避難するための場所として「指定緊急避難場所」があります。
洪水、土砂災害、津波など自然災害によって広範囲に被害が及ぶ可能性のあるものはいろいろとありますが、災害が発生する可能性がある場合には、事前に指定緊急避難場所に避難することで身を守ることができるかもしれません。
今回はそんな指定緊急避難場所について、そもそも指定緊急避難場所とは何か、指定緊急避難場所と指定避難所の違いは何か、指定緊急避難場所の検索方法、などについて書いて行こうと思います。

指定緊急避難場所とは何か

そもそも指定緊急避難場所とは何かをひとことで言うと、地震や津波などの災害から命を守るために住民が緊急的に避難する場所のことです。名前に“指定”という言葉が入っていることからも分かるように、事前に洪水や津波など災害の種類ごとに一定の基準を満たす施設や場所を市町村長によって指定緊急避難場所は指定されます。
指定緊急避難場所に避難をする際に注意しなければならないことは、災害の種類ごとに指定緊急避難場所は異なるということです。これはどういうことかというと、災害の種類ごとに危険なエリアが異なるので、指定緊急避難場所も災害ごとに異なるのです。
例えばある場所では洪水に関する指定緊急避難場所には指定されているものの、土砂災害に関する指定緊急避難場所には指定されていないことがあります。
その場合には、洪水の時には指定緊急避難場所として避難できますが、土砂災害の場合にはその指定緊急避難場所に避難をすると逆に危険になる可能性もあります。
そのために災害ごとにどの指定緊急避難場所に避難すれば良いのかをすぐに判断できるようにするための標識が重要になってくるのですが、内閣府と消防庁では、「災害種別避難誘導標識システム」による案内の整備を進めています。

(災害種別避難誘導標識システム:内閣府HPより引用)
なお、指定緊急避難場所の指定状況として日本全国で見た場合には、全ての災害の指定緊急避難場所を合算すると8万近くの避難場所が指定されています。

(指定緊急避難場所の指定状況:内閣府HPより引用)

参照記事
垂直避難とは?水平避難との違いと避難の考え方について

指定緊急避難場所と指定避難所の違いは何か

指定緊急避難場所に似た名前のものに指定避難所があります。この二つの違いについてまず説明していこうと思います。
指定緊急避難場所とは今まで見てきたように、津波、洪水等、災害による危険が切迫した状況において、住民等の生命の安全の確保を目的として住民等が緊急に避難する際の避難先として指定されているものです。
一方で、指定避難所は災害の危険性があり避難した住民が、災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在したり、災害により自宅へ戻れなくなった住民等が一時的に滞在したりすることを目的とした施設のことです。
指定緊急避難場所と指定避難所はどちらも市町村長が一定の基準を満たした場所を指定するという点では同じですが、その目的は異なるので注意をする必要があります。
少し表現が硬いので簡単に説明すると、「避難所」は災害が発生した際に家が壊れるなどして行く当てがない住民などを収容する学校等であり、「避難場所」は災害が発生した際にとりあえず避難する頑丈な建物です。場合によっては避難所と避難場所が一致することもありますし、一致しないこともあります。

(指定緊急避難場所と指定避難所の違い:国土地理院HPより引用)
東日本大震災の際には、避難場所と避難所が明確に区別されていなかったがために、被害が拡大してしまうという状況が発生しました。そのために内閣府では災害対策基本法を改正して、市町村長はこの二つを明確に区別して指定しなければならなくなりました。

参照記事
広域避難場所とは?その定義と災害時の使いかたについて

指定緊急避難場所の検索方法

指定緊急避難場所として実際にどこが指定されているのかを簡単に検索できるサービスが国土地理院によって行われています。
国土地理院のHPから調べたいエリア地図を合わせて、調べたい災害の種類をクリックすることで、どこが指定緊急避難場所として指定されているのかについて簡単に調べることができます。
このサービスを利用することで、災害が発生した際に自分はどこに避難をすれば良いのかをすぐに検索することができます。

避難場所への避難が必ずしも正解ではない

避難するまでの時間的な猶予があるならば避難場所へ避難をすることは有効ですが、避難場所へ行くまでの時間的な猶予がない場合には、無理して避難場所に行くことは逆に危険になることがあります。なぜならば、実際の災害では家を出て避難場所に向かっている最中に亡くなられる方がいるためです。
災害の種類が洪水災害なのか土砂災害なのか、夜中なのか昼間なのか、家は頑丈なのかどうか、など適切な避難の判断にはいくつもの要素があるので、一概には言えないのですが、場合によっては避難所に行かずに、自宅の二階に避難する(=垂直避難)ことがベストな避難であることもあります。

避難所運営の実態について

災害が発生したら避難所を開設することがあるのですが、実際にはそもそも開設して良いのかどうかという判断に迫られます。避難所の開設及び運営にはお金がかかるからです。
仮に学校に避難所を開設したら、そこにしばらくの間人が住むための食料や飲料水、寝具などの物資を揃える必要があります。「災害救助法」という法律が存在しているので、もしこれが適用されれば大部分は費用を国が肩代わりしてくれます。
しかし避難所を開設する段階では果たして災害救助法が適用されるかどうかは分からないので、避難所を開設するか微妙な場合には、なかなか避難所を開設すべきなのか判断に苦しむ自治体が多いようです。

いざ避難所を開設しても、中には避難住民が“お客様”のような感覚で宿泊することがあるという問題も発生します。ホテルよりはクオリティが低いけど宿泊できる場所という認識で避難所に来る住民も実際には多く、それに自治体の職員が対応すると、肝心な災害対応がかなり遅れてしまうという深刻な問題になってしまいます。
学校が避難所になることも多いので、その学校について詳しく知っているという理由から学校職員が避難所運営を担うこともよくありますが、学校職員の方も災害対応のプロではなく、その人たちも被災しており限界もあるので、できるだけ早い段階で避難所に来た住民で運営を手伝ってくれる有志を募る必要があります。
以上、避難所と避難場所の違いや、それぞれの実態について見てきました。漢字はどちらもほぼ同じですが、実際には意味合いが大きく異なります。災害が発生した際に適切な行動が取れるように、避難所と避難場所それぞれについて深い理解をしましょう。
以上、指定緊急避難場所について、そもそも指定緊急避難場所とは何か、指定緊急避難場所と指定避難所の違いは何か、指定緊急避難場所の検索方法、などについて見てきました。
災害から身を守る上で指定緊急避難場所の意味をしっかりとを把握しておくことは重要であると言えます。

参照記事
災害時における避難所トイレの問題点と管理方法

参考サイト▪︎内閣府「指定緊急避難場所の指定に関する手引き」