スマトラ沖地震、ハリケーン・カトリーナ、9.11における生存者の共通点

災害が発生した際には「大したことはないし、自分はまあ大事だろう」と考える人と「もしかしたら危ないかもしれないので早めに逃げておこう」と考える人に分かれます。心理学では「正常化バイアス」という言葉もありますが、災害時には危機意識が薄く避難が遅れて、本来ならば犠牲にならなくてもよい人が犠牲になることがあります。このように同じ災害で同じ状況であったとしても生き残る人と犠牲になる人は分かれてくるのですが、生き残る人の特徴について、TIME誌のシニアライターであるアマンダ・リプリーさんは9.11、スマトラ沖地震、ハリケーン・カトリーナなどの生存者を調査して著書「The Unthinkable」でまとめました。
今回は、この調査結果に基づいて、災害で生き残る人の3つの特徴は何なのかについて書いていこうと思います。

災害生存者の特徴①:否定(Denial)

人は自分にとって良くない状況に遭遇すると、その現実を否定することがあります。自分に降りかかってきた災害や不運を認めようとせずに、普段通りの生活をし続けようとします。
この現実を受け入れずに否定することが、時に避難判断を遅らせて、手遅れになることがあります。
過去の大災害で生き残ってきた人はこの現実の否定という段階を乗り越えて、自分が危険な状況にあるのかもしれないと現実をいち早く受け入れて行動しています。

災害生存者の特徴②:思考(Deliberation)

自分に危険が迫っていることを認めて、それに対してどう行動すれば良いのかを考えるのが次の段階です。災害が発生するとパニックになって慌てふためくイメージがあるかもしれませんが、実際には麻痺したような感覚になり動けない人が多いと言われています。
自分は危険な状況になっているというのは分かったとしても、何をすれば良いのか分からずに、考えることができないという状況になることがあります。
どうすれば良いのか分からないから指示待ちになってしまい、誰かがどうすれば良いのかを指示するのを待ち、その指示の内容についてもそれが正しいのか誤っているのかを判断せずに盲目的に従ってしまうという状態です。
過去の大災害で生き残ってきた人は困難な状況であったとしても自分で思考を行い、考えられる最善の方法で避難を行っています。

参照記事
災害現場へのLINE活用!SNSを防災に活かす新しい形

災害生存者の特徴③:行動の決定(The decisive moment)

自分が危険な状況に置かれていると認識して、自分の頭でどうすれば良いのかを考えたら、次は実際に行動を行う段階です。
どの行動が正しいのか判断して行動をするためには、普段からリスクについて考えており、準備をしておく必要があります。

他の人の行動に左右されるわけではなく、自分から率先して避難行動を起こすことができる人が過去の大災害で生き残ってきた人に共通してある特徴になります。
以上、過去の災害で生き残ってきた生存者の特徴について見てきました。災害時には自分は危険な状況にあると認識し、どうすれば身を守ることができるのか判断し、行動に移せる人が生存者の特徴としてあります。

参照記事
正常性バイアス(正常化の偏見)とは?災害心理学について

参考サイト▪︎The Unthinkable