自主防災組織とは?町内会や自治体の防災への取り組み
防災活動を行う主体として、国や都道府県・市町村の地方自治体、大企業が注目されていますが、もっと住民に近い組織として自主防災組織というものがあります。自主防災組織は町内会や自治体の単位で地域住民が連帯してできた防災の任意団体です。
大規模望災害がいざ発生した際には、上の組織になればなるほど実際の被災地の住民へのきめ細かい対応ができなくなってしまいます。普段からその地域に住んでいて、顔見知り同士の関係を築けている方が災害時には細かい対応ができるのです。
今回はそんな地域住民単位の防災組織である自主防災組織について、そもそも自主防災組織とは何なのか、自主防災組織ではどんなことをやるのか、自主防災組織の現状、などについて書いていこうと思います。
自主防災組織とは何か
自主防災組織とはひとことで言うと、その名前の通りではあるのですが、町内ほどの大きさの地域住民が自主的に作る防災組織のことです。大規模な災害が発生したら、まず日本という国単位でその災害への対応をするための組織が作られます。
次に災害が発生した都道府県が都道府県単位でその災害への対応をするための組織を作ります。そしてその下で更に災害が発生した市町村が市町村単位でその災害への対応をするための組織を作ります。
自主防災組織は更にその下で、町内会や自治体単位でその災害への対応をするための組織です。災害対策基本法の中でも自主防災組織は地域住民による任意の防災組織と規定されています。
災害からの救助では近所や友人同士で助け合うことが重要といわれています。実際に阪神淡路大震災の際には、救助隊によって助けられた人の割合よりも、隣人や友人によって助けられた人の割合の方が10倍以上も多いというデータが日本火災学会から出ています。
自主防災組織ではどんなことをするのか
そんな自主防災組織での活動内容は多岐にわたります。活動内容については災害が発生する前と災害が発生した後の2つに大きく分けることができます。
まず災害が発生する前の自主防災組織の活動は、いざ災害がきた時のための準備をしておくのですが、具体的には、防災訓練で災害時の流れを確認改善すること、防災教育で防災知識を普及することなどがあげられます。
次に災害が発生した後の自主防災組織の活動は、倒壊した建物に取り残された人の救出及び救護、消火活動、避難所までの誘導、市町村などへの情報伝達があります。特に災害時には、高齢者・障害者・乳幼児など要支援者の配慮が必要ですが、身近な近所同士だからこそ、配慮が必要だと気づけることもあります。
先ほども述べましたが、災害時には市町村単位であっても細かい部分まで対応するのが難しい場合が発生します。だからこそ自主防災組織が普段から防災対策を行い、災害発生時には率先して行動する必要があるのです。
自主防災組織については総務省消防庁が「自主防災組織の手引き」を発行しているので、どんなことをしているのか、どうやって作ればいいのかなど詳しく知りたい人は確認すると良いでしょう。
自主防災組織の現状
防災白書によると、自主防災組織の組織数はここ10年で増加傾向にあります。大規模災害があるたびに防災への意識が高まり、自主防災組織という考え方が広がったこともあり、組織数が増加しているのではないかと思います。
しかし、一方で自主防災組織の高齢化も進んでいます。これはもはや日本の抱える構造的な問題でもあるのですが、地域の防災に取り組んでる人は高齢者の割合が多いです。いざ災害が発生して、例えば瓦礫から被災者を救出するとなると、これはかなりの力仕事になるので、高齢化が進むのは問題になります。
自主防災組織と消防団の違い
自主防災組織に似た組織として消防団があります。機能としてはかなり似ており、どちらも災害が発生した際に火災や災害への救助活動などを行います。
しかし、自主防災組織が任意の団体であるのに対して、消防団は消防組織法に基づいて作られた特別職地方公務員になります。そのために消防団は公務員として一定の制約や責務を負うことになります。
以上、自主防災組織について見てきました。自主防災組織は近年注目が集まっており、災害時の有効性が確認されています。今後は今まで以上に自主防災組織の活躍が期待されています。
参考サイト▪︎消防庁「自主防災組織の手引き」