備蓄食料のおすすめは?災害に備えて食べ物や水を備蓄する

大地震や大型の台風、洪水などが発生した場合、そのエリアはしばらく大混乱が続き、当たり前だった日常の暮らしが一変して、その瞬間から避難生活が始まります。スーパーやコンビニには買い物客が殺到し、食品や生活必需品はあっという間になくなります。

また、電気、ガス、水道が途絶して調理ができなくなるほか、停電により冷凍・冷蔵庫の温度が上昇し、冷蔵・冷凍食品の利用もできなくなります。

そんなときこそ頼りになるのが、飲食料や生活用品などの備蓄です。発災後混乱状態になってから食料、水、を調達してもなんとかなるという他人事のような甘えた発想は通用しません。発想を切り替えて、今ものが豊富にあるうちに自己責任で備蓄をすすめましょう。

(1)なぜ食料や水などを備蓄する必要があるのか

(1-1)物流機能が停止してスーパー等で食品が手に入らないため

地震、台風、豪雨などの大きな災害。いざ災害が発生すると、電気、ガス、水道などのライフラインが使えなくなったり、道路ががれきで塞がれたり水没したりして、物流が機能しなくなったりするおそれがあります。

物流が機能しなくなるとスーパー等で食品が手に入らなくなる(※2)

災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多くみられます。また、災害支援物資が3日以上到着しないことや、物流機能の停止によって、1週間はスーパーマーケットやコンビニなどで食品が手に入らないことが想定されます。また、電気・水道・ガスなどのライフラインが停止した場合、日常生活とはかけ離れた環境で生活しなければなりません。

過去の災害ではライフラインの復旧までに1週間以上かかったケースが多い(※3)

実際に過去の災害においても、例えば平成30年7月豪雨時の広島県呉市では、米、カップ麺等を中心に、1週間程度は、品薄、欠品が多い状態となりました。また、北海道胆振東部地震の札幌市では、水、おにぎり、弁当類、食パン、粉ミルク、牛乳、納豆等を中心に、1週間程度は、品薄、欠品が多い状態となりました。(※3)

過去の災害ではライフラインの復旧までに1週間以上かかったケースが多い(※3)

このため、お金があっても食料を買うことができない状態となるので、物流機能が回復して、スーパーやコンビニなどの店頭で食品を購入することができるようになるまでは、備蓄をした食料が必要となるのです。

(1-2)避難所に行けず、行けても物資が手に入らない可能性があるため

ライフラインが止まり食料も底を尽きた場合には、避難所に行けば必要なものがもらえると思っている方も多いかと思います。しかし、過去の災害では避難所に収容人数以上の避難者が来たために、入ることができずに、車や自宅で避難生活を送ることが多くありました。

今後発生が想定されている首都直下地震では、自宅が無事だった約8割にあたる約1,000万人の都民は、ライフラインが止まった中で在宅避難をすることが想定されています。(※2)

多くの都民は避難所に入ることができず在宅で生活することが想定されている(※2)

また、仮に避難所に入れた場合にも、ライフラインの停止、自治体機能の麻痺、通信の断絶などにより、避難所に届く物資は大幅に不足すると考えられます。東日本大震災のときにも、避難所に地方公共団体の食料備蓄は全体の3割程度しかなく、地震発生の日に避難所に届いた食料の多くは他の地区住民の協力による炊き出しのおにぎりでした。

そんなとき、いつもと変わらない、温かく、栄養バランスのとれた食事があれば、心と体が満たされます。また、災害時でも、毎日変化に富んだおいしい食事があれば、前向きな思考と、元気に活動するためのエネルギーが湧いています。だからこそ備蓄をする必要があるのです。

近所のスーパーは長蛇の列!(東日本大震災の体験談)

地震が起きたときはパート先でした。その日は交通機関が動かず、家に戻れたのは次の日でした。幸い大きな被害はなかったのですが、食料品が底をついていました。

急いで近所のスーパーに向かいましたが、長蛇の列!店舗に入るまで3時間程かかりました。その上、飲料を求めてまた順番待ち。地震が起きる事は何年も前から何度も報道されていましたが、私の中では「まさか・・・」という思いがあったのだと思います。

普段から防災意識を深め、備えをしておくべきだったと反省しています。また、近所の方々にも色々助けてもらった部分も改めて実感しました。もし、震災の一日前に戻ったら、家族との安否の確認、伝えられる範囲の方々に連絡し混乱を少しでも緩和できればと思います。(※7)

スーパーに並ぶ被災者の人たち

(2)災害時に備えて備蓄するとよいもの

(2-1)ライフラインの停止が食生活に与える影響

では今ものが豊富にあるうちに自己責任で備蓄すべきも野として、何が必要なのでしょうか。災害時には各種ライフラインが停止することで食生活に影響が及びます。

過去の災害では、ライフラインの復旧に1か月以上かかることもあり、それぞれのライフラインが停止した場合に備えた準備が必要となります。

(2-2)電気の停電

停電により電子機器が使えなくなります。それにより、スマホが充電できなくなる、夜の明かりがなくなり暗い中での生活が強いられる、エアコンが使えないために暑さ寒さ対策ができないなどの影響が生活に出ますが、特に食べ物でいうと、冷蔵庫が使えなくなります。

夏場であれば停電と同時に冷蔵庫内の温度上昇が始まります。そのため、日持ちのしない食材は食べることができなくなってしまいます。

ガス、水道、通信など多くの基幹インフラが途絶する中、電気は比較的早く復旧すると考えられています。そのため、ガスが復旧しない状況でも電気ポットでお湯だけは沸かせる時期が出現する可能性があります。備蓄を考える上では、電子ポットが使える=お湯が手に入る可能性があることを前提に考えるとよいでしょう。

(2-3)上水道の停止

上水道の停止により、飲料水および生活用水が手に入らなくなります。飲料水が手に入らなければ当然飲み水がなくなるので、水の備蓄は必ず必要となります。また、アルファ化米、カップ麺、レトルト食品、フリーズドライのインスタント食品など、水(お湯)の使用が前提となっている備蓄食品も多くあります。その意味でも、飲料水の備蓄は重要となります。

また、生活用水という面では、料理をすると食器を洗う必要がでてきますが、水がなければこれもできません。そういった意味では、使い捨ての紙皿や紙コップを備蓄しておく必要もあります。

(2-4)ガスの停止

ガスの停止により、コンロが使えなくなり料理ができなくなります。普段であれば食材があれば料理をすることができますが、それができなくなります。また、お湯を温めることすらできなくなります。備蓄食料にはお湯を必要とするものも多く、お湯を温めるための熱源を確保することは、非常に重要となります。

災害時には、マイコンメーターの安全機能によりガスが一時的に停止している場合があります。その場合は、地震でマイコンメーターの復帰操作をすることによりガスの使用を再開することで、通常通りガスコンロやガス調理機器を使用することができます。ただし、ガス機器の使用前に排気筒の壊れ・はずれなどがないか確認し、異常のあるガス機器は使用せず、都市ガス事業所に通報する必要があります。

(2-5)道路・鉄道の寸断による物流の停止

道路や鉄道が寸断されると物流が停止するため、スーパーやコンビニにいっても食べ物や水を買うことができなくなります。お金があっても食料や水を買うことができなくなります。そのため、食料や水、そのほか料理をするための機材を備蓄する必要がでてきます。

(3)どのくらいの量を備蓄すればいいのか(必要な備蓄の「量」)

(3-1)必要な備蓄量

ひとたび大規模災害が発生すると、電力や断水などライフラインが被害を受けるとともに、道路被害や瓦礫による通行不能、人命救助活動の優先、燃料の不足などから物資輸送が困難になります。このような被害状況のもとで、私たちは自分の身の回りにあるものを使って、当面生活していかなければなりません。

これまで非常食を備える期間として3日間といわれてきました。これは、72時間は救急・救命活動を優先し、その後、救援物資が搬入されることを想定していたからです。

救援物資搬入のようす

しかし、2011年の東日本大震災から続いた自然災害では、発災からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが見られました。災害支援物資が4日目に到着しないだけでなく、物流機能の停止によって、1週間以上にわたってスーパーマーケットやコンビニなどで食品が入手できないことが想定されています。(※3)

このため、最近では、1週間の備蓄がすすめられており、深刻な被害が想定される災害や地域の状況によっては、2週間分と多めの備えが必要となっています。

家族4人の1週間分の食料品のイメージ

(3-2)冷蔵庫・冷凍庫の食料活用

自宅に備蓄する食料は、1週間分が目安ですが、全てを災害用の備蓄物資でまかなう必要はありません。災害が起きた段階で冷蔵庫に入っている食料や水等も当然活用することができます。

災害時は、1~2日目までは冷蔵・冷凍していた食品を、そのあとは備蓄しておいた常温の保存食を食べるなど、順番も工夫しましょう。「冷蔵⇒冷凍⇒備蓄食料」の順で食べていくのが原則になります。(※2)

「冷蔵⇒冷凍⇒備蓄食料」の順で食べていくのが原則

(3-2-1)1~2日目 冷蔵庫・冷凍庫の食材を活用

なるべく早いタイミングで冷蔵庫の中身を確認し、献立の計画を立てましょう。日持ちしない生鮮食品から使うのが鉄則です。停電などのライフラインが断絶している場合はなおさらです。冷凍庫は極力、ドアを開け閉めしないように。冷気を逃しさえしなければ、停電になってからでも数日間は冷凍状態を維持できます。まずは生鮮食品を食べ、冷凍している食材は溶け始めるギリギリまで手をつけないのがポイントです。

普段からちょっと多めに食材を買い置きしておけば、最初の2日間は冷蔵庫や冷凍庫の中のものを食べてしのげそうです。冷凍庫に普段からご飯やパン、野菜、冷凍食品等が入っているご家庭も少なくないでしょう。パンや野菜は自然解凍で食べることができます。まず冷蔵庫や冷凍庫の中で傷みやすいものから食べていきましょう。

クーラーボックスと保冷剤を事前に準備しておけば、停電時に要冷蔵の食品を保管して、比較的長く保管することができます。また、冷蔵庫を長く活用するために、保冷剤や、これから食べる冷凍食品、凍らせた冷蔵冷凍兼用ペットボトルなどを、冷蔵室の一番上の棚に移し替えると、冷気が上から降りてきて冷蔵室内に行き渡るため、わずかでも温度上昇を抑えることができます。(※8)

保冷剤や冷凍食品で冷蔵室の温度上昇を防ぐ

(3-2―1)3~7日目 缶詰やレトルト食品等を活用

3日目頃になり、冷蔵庫・冷蔵庫の食材がなくなってきたときには、日頃から備えていた、乾麺やレトルト食品を食べ、不足しがちなビタミンや食物繊維を摂取しましょう。最も日持ちしやすい乾物は少しずつ食べて残しておきましょう。こうした工夫をすれば、家にあるもので数日は食いつなげるはずです。

このように災害時には災害用の備蓄物資だけでなく、普段利用している冷蔵庫・冷凍庫の食材も活用することができます。必要な備蓄の量を考える上で、冷蔵庫・冷凍庫に普段どれくらいの量の食材があるかも考えるようにしましょう。

災害時における冷蔵・冷凍食品の利用

発災後にライフラインが途絶えた場合、電気を動力とする冷凍冷蔵庫は保冷できなくなり、庫内温度は上昇します。食材の温度が上昇すると食中毒菌を含む微生物が増殖し、可食性を損なう恐れがあります。このことから発災後、安全に冷蔵・冷凍食品を活用するためには、腐敗や食中毒菌増殖による危険が発生する前に消費することが望ましいです。

災害時に冷凍冷蔵庫を有効に活用するためには、庫内が微生物の増殖する温度まで上昇するのにどれくらいの時間が必要なのでしょうか、また可能な限り温度上昇を緩やかにするにはどうすべきなのでしょうか。

温度上昇に関わる要件として、①外気温、②庫内容積、③庫内内容物の量などがあります。この中で普段の生活でコントロール可能なのが庫内内容物量です。一般に、冷凍庫の場合は庫内内容量が多いほど温度上昇は緩やかで、冷蔵庫の場合は容積の半分程度の量で温度上昇が最も緩やかです。

停電時にはできるだけドアの開閉を少なくし、冷蔵庫の生鮮食品から消費することが安全につながります。また冷凍庫はドアの開閉が少なく、容量一杯にしてある場合、48時間後も安全に食べることが可能となります。

冷凍食品には自然解凍後、そのまま食べることが可能な食品や、生鮮野菜を冷凍保存した商品があります。冷凍庫にある冷凍食品を活用することで、不足しがちな栄養素の補給をすることができます。

一方、冷蔵庫内には生肉や生野菜など、加熱調理することにより食べることが可能となる食材があります。停電後は食材を低温で保存できないため、庫内に保管してある食材は優先的に調理し、食べる必要があります。生肉、生野菜は道路寸断後の場合、しばらく食べることができない可能性があるうえ、不足しがちな栄養素の貴重な供給源となります。(※5)

(3-3)ローリングストック(日常備蓄)のすすめ

(3-3-1)ローリングストック(日常備蓄)とは何か

ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。(※2)

従来の食料備蓄においては、賞味期限の長い非常食を大量に備蓄しておき、期限がきたら入れ替えをしつつ、非常時に備えるという方法がとられてきました。しかしこの方法では賞味期限を迎えるたびに全員を入れ替える必要があり、手間もお金もかかります。そこで、非常食を普段から積極的に食べて消費と補充をすることで、入れ替えの負担を軽減する「ローリングストック」がとられるようになりました。

ローリングストック(日常備蓄)のイメージ

このように、レトルト食品や水、日用品など、普段使っているものを常に多めに家に置いておき、使った分だけ買い足すだけです。ローリングストックは、備蓄品の調達・管理・入れ替えが自然になる優れた備蓄手法であり、各種のメリットも存在します。(※4)

メリット1:慣れた食品を食べることができる

まずは「慣れ」です。非常時だからといって食べ慣れていない非常食を美味しく食べることは難しいと思います。しかし、ローリングストックにより、普段から食べているものを非常時にも食べられれば、安心して生活することができます。食経験のないものは被災時であっても食べにくいため、普段から食べ慣れたものを備えることが必要です。

メリット2:災害対策用にお金を使わなくてよい

日常備蓄は、いつか食べたり使ったりするものを先に買っておく方法をとりますので、防災用に特別なお金を使うことがありません。長期保存できる非常食は性能が良い分やや割高ですので、ローリングストックにより、普段の生活で消費する食料等を活用することで、災害用に別途購入する必要がなくなります。

メリット3:賞味期限の管理が簡単である

非常時にしか使わない食べ物や道具を大量に準備すると、定期的な期限チェックと入れ替え手間が発生します。量が増えればなおさら大変です。ローリングストックであれば、日頃からどんどん消費して補充していきますので、期限チェックを個別に行う必要がなくなるのです。

メリット4:備蓄物資専用の保管スペースが不要となる

備蓄物資を保管できない理由として、保管するスペースがないことがよくあげられます。ローリングストックを通して、災害時の食を日常に組み込むことにより、備蓄物資専用の保管スペースが不要となります。

災害時に必要となる備蓄物資の量を考える上で、ローリングストックの発送は重要です。ローリングストックを考慮して、どれだけの備蓄物資が必要になるかを考えましょう。

(3-4)備蓄物資の消費期限(目安)

備蓄物資を購入するにあたり、賞味期限ができるだけ長いものを選ぶことで、更新の手間を減らすことができます。一般的に備蓄物資として推奨されている食べ物の賞味期限の目安は以下の通りです。

  • 米(無洗米):未開封で1年、開封して1〜2ヶ月
  • レトルトご飯:1年
  • アルファ化米:5年
  • カップ麺:6か月
  • 袋麺:8か月
  • パンの缶詰:3~5年
  • 乾パン:5年
  • 缶詰 (さばの味噌煮等):3年
  • レトルト食品:1年
  • インスタント食品:6か月
  • 野菜ジュース(保存用):5年
  • 果物の缶詰:2~3年
  • 栄養補助食品:2~3年

特にアルファ化米、缶詰、乾パン、保存用の野菜ジュース関連は特に賞味期限が長いことがわかります。ローリングストックと合わせてカバーできないものは賞味期限の長い備蓄物資を中心に備えましょう。

賞味期限25年のサバイバルフーズ

(株)セイエンタプライズの「サバイバルフーズ」は、水分を極限までなくしたフリーズドライ食品を、脱酸素剤と一緒にガスバリア性能の極めて高い「缶詰」にすることで、25年という驚異的な賞味期限を実現しています。開封するまで事実上入れ替えをする必要がないため、毎年少しずつ増やすことで、大量の食料備蓄が可能です。種類は2種の雑炊、2種のシチューと、クラッカー。大変おすすめです。

お米の保存期間を延ばす方法

お米の賞味期限は意外に短く、開封・未開封にかかわらず、1〜2ヶ月程度です。しかし、完璧な密封状態を作ることで、常温でも1年以上お米を保存することができます。具体的には、愛知県の袋メーカー(株)愛知商会が製造している「虫キラー」という名前の製品にお米を入れると、ヒートシーラーなどを使わずチャックを閉じるだけで、ほぼ完ぺきな密封状態を作ることができます。この袋にお米と、脱酸素剤または使い捨てカイロを入れてチャックを閉じれば、常温で1年以上お米を保存することが可能となります。(※4)

完璧に密封状態にすることで賞味期限を長くすることができるので備蓄に最適

(4)何を備蓄すればいいのか(必要な備蓄の「質」)

(4-1)栄養バランスに配慮した備蓄

(4-1―1)栄養バランスを配慮した備蓄の重要性

私たちは普段の生活で、1日に3度食事をとっていますが、連続9食の食事が飢え死にをしのげる程度の備えでよいという非常食の在り方がこれまでされてきました。しかし、そんなサバイバルとしての備蓄は、健康を守るための備蓄に変わりつつあります。

ただ食べられればよいという備蓄は、過去の災害で、健康面の二次災害の危険につながることがあったためです。エネルギー摂取だけでなく、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの摂取を求める必要があり、主食、副食、副菜など多種多様の食品を組み合わせることが不可欠です。

災害直後はどうしても炭水化物ばかりになりがちです。エネルギー源となる炭水化物はとても重要ですが、栄養バランスを考慮しないと、体調不良や病気になる可能性があります。

そのため、ツナ、サバ、イワシ、サンマなど魚介の缶詰や、コンビーフ、牛肉の大和煮、焼き鳥など肉類の缶詰など、缶詰は長期保存ができる上、手軽にたんぱく質をとることができ、経済的なのでおすすめです。

また、大きな災害時には野菜不足からビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素がとれず、便秘・口内炎などに悩んだという声が聞かれました。じゃがいも、たまねぎ、かぼちゃなどの日持ちする野菜を、日頃から多めに買い置きしておきましょう。また、乾物もおすすめです。野菜ジュースやドライフルーツなども、あるといいでしょう。

特に不足しがちな、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを摂取できるようにバランス良く整えることが重要です。

(4-1-2)災害時に必要な栄養

食や栄養の問題は災害直後から、すべてのフェーズで問題が発生することが特徴です。災害の種類や災害からどれだけの期間が経っているかというフェーズ次第で状況は大きく異なるので、一律に栄養管理の内容や基準を示すことは困難ですが、災害発生直にまず優先されるのは「最低限の水」と「エネルギーの確保」です。災害直後はまずは生き抜くために最低限の水分とエネルギーの確保を優先することになります。

その後、災害初期は栄養不足・欠乏症対策を優先して行う必要があります。災害直後はまずは生き抜くために最低限の水分とエネルギーの確保を優先することになります。災害発生からおよそ4日~1か月の期間は、量・質ともに悪化が見られるため、水とエネルギーに加え、たんぱく質・ビタミン・ミネラル不足への対応が必要となります。

過去の災害では、阪神淡路大震災や新潟県中越大震災、東日本大震災など大規模災害のたびに、エネルギー源となる「おにぎり」「パン」「カップ麺」などの炭水化物が多い一方で、「野菜」「肉」「魚」「乳製品」などの生鮮食品の供給状況が悪く、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取が難しいことが問題となりました。

厚生労働省では、東日本大震災時に、被災後1か月が経過し、食事量の改善はみられるものの、おにぎりやパンなどの主食の食生活が中心で、肉・魚などのたんぱく質や野菜などの副食の摂取が十分でなく、避難所間でも不均衡が認められることから、必要な栄養量確保のために安定的に食事提供を行う条件の整備を急ぐために「避難所における栄養の参照量」を示しました。

これは東日本大震災後1~3か月の当面の目標として、おもに食事の「計画」に用いるために必要な栄養量を示したものです。これらは、体内貯蔵量が少なく、初期の段階で欠乏症状を生じやすいため、災害時に優先すべき栄養素といえます。避難所のみならず食料備蓄の目安としても活用できるので参考になります。

(4-1-3)栄養バランスに配慮した備蓄の例

主食

ごはん・パン・そば・うどんなど、エネルギー源となるものが主食です。被災者の健康を維持するために、第一に優先されるのはエネルギー源の確保です。エネルギー摂取不足による影響は、たんぱく質やその他の栄養素不足より早期に出現することから、災害当初は栄養の量的な確保が必要とされます。

たんぱく質やエネルギー摂取不足による低栄養状態が継続すると、たんぱく質の必要量が高い乳幼児や小児において、減食または絶食の影響が早期に現れることが予想されます。また、食事量が通常の50~60%に減少した状態の高齢者は、約10日で低栄養を発症することが知られています。そのため、まずはエネルギー源となる主食の備蓄を考えましょう。

具体的な備蓄品例

米(無洗米):災害時には特に無洗米があると、少しでも水の節約になります。おかゆにすれば乳幼児や高齢者の食事にも提供できます。

レトルトご飯:災害時には、レトルトのおかゆやご飯があれば炊飯の必要がなく、水の節約になります。おかゆは乳幼児や高齢者の食事にも提供できます。

乾麺・即席麺:災害時はご飯やパンが中心になりがちですが、麺類があると献立に変化をつけられます。普段食べているものを少し多めにストックしておきましょう。

主菜

肉や魚・大豆製品・卵などのたんぱく質を多く含む、食事のメインになるおかずが主菜です。過去の震災における避難生活の食事状況報告書をみると、被災直後の被災地への支援物資到着状況は、おにぎりなどの炭水化物に比べ、肉や魚、乳製品などたんぱく質源になり得る生鮮食品の供給状況が悪いことが報告されています。

さらに東日本大震災では、被災後3週間を経過した時点の避難所の食事でも、依然として炭水化物に偏り、36.2%の避難所では主菜であるたんぱく質を含む食品(肉、魚、卵など)が1日1回しか提供されませんでした。

災害時になかなか手に入らない肉や魚などの主たんぱく質を多く含む食べ物をいかに備蓄として確保しておくかを考えておきましょう。

具体的な備蓄品例

缶詰 (さばの味噌煮):缶詰は保存食の王様。近年は種類も豊富でおいしい商品が多く販売されています。家族の好みや栄養バランスを考え、たんぱく質が取れるお肉やお魚、豆類の缶詰を選びましょう。缶切りも忘れずに。

レトルト食品:調理不要で、バラエティーに富んだレトルト食品。災害時は栄養バランスが偏りがちなので、たんぱく質が取れるお肉やお魚を使ったものを選びましょう。

乾物:乾物は保存期間が長く栄養素が豊富なので、栄養不足になりがちな災害時には有効な食材です。ミネラル・食物繊維が豊富な切り干し大根や寒天がおすすめです。

副菜

野菜の煮物やサラダ、汁物など。主食、主菜で不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源が副菜です。

インスタント食品:インスタント食品は、少量のお湯で作ることができ、災害時に不足しがちな栄養素が取れます。中でもスープ状のものは摂取しやすく、副菜として活躍します。たくさんの種類があるので、普段の生活の中で定期的に食べながら、好みに合ったものをストックしましょう。

野菜ジュース:ジュースで野菜不足を解消。ミネラルやビタミンが摂取できます。冷凍保存することで、保冷剤としても使えます。

その他

果物の缶詰:果物でビタミンや水分を摂取。缶詰でない場合は、包丁を使わずに済むミカンやバナナ、日持ちのするリンゴや梨、ブドウやスイカもおすすめです。

飲み物:水以外に、自分が普段好んで飲んでいる飲料があれば用意しておきましょう。災害時であっても、普段通りに自分の好きなものを飲んだり食べたりできる環境を作っておくことが大切です。実際に私たちが日頃飲んでいる飲み物は水だけではありません。したがって、もし備蓄すべき飲み物が水だけだと考えているとしたら、それは大きな勘違いです。水以外にもあなたの好みの飲み物を備蓄するようにしましょう。

チーズ・プロテインバー等:被災地で支援物資として配られる食料は炭水化物が中心で、たんぱく質やビタミンといった栄養素が不足しがちです。健康を維持するためにも、チーズやプロテインバーといった高たんぱくで長期保存可能な食料をストックしておくと安心です。

お菓子:お菓子は栄養価を考えて選ぶのがベター。米菓子は栄養素が豊富。ようかんは高齢者も食べやすく、気軽に口に入れられる一口サイズのものがおすすめ。乾燥野菜や果物のスナックチップスでビタミン補給。いずれも、保存の効く個別包装のものがおすすめです。避難生活が長引くときには気分転換にもつながります。

栄養補助食品:食料不足になる災害時は、必要な栄養を食材から賄えるとは限りません。サプリメントやバランス栄養食があれば、災害時、十分な調理ができないときでも手軽に栄養補給できます。

健康飲料粉末:調理ができない状況下や、疲れて食べ物が喉を通らないときでも手軽に栄養補給できます。災害時の食事で不足する栄養を補いましょう。

調味料セット:料理に欠かせない調味料。野菜がたくさん入ったソースは、いろいろな食材に合う万能調味料です。

災害時における野菜の重要性

阪神淡路大震災で一番食べたかったものは何かを聞いたところ、「野菜」が最も多く、魚類、肉類を上回りました。野菜がもっとも不足したからです。避難所入所後に約4割が便秘になり、その半数が食べ物のせいであると答えています。そこで神戸市は、配給食に野菜ジュース、カット野菜を付け加えました。

その後、東日本大震災でも同じことが起きます。そこで便秘を訴えた人にサプリメントと野菜ジュース等を配って対応した結果、便秘が減少しました。

野菜が不足する最大の原因は、わたしたち個々人が野菜の備蓄をしていないからです。「備蓄食品とはなにか」と尋ねると、答えの多くは乾パン、アルファ化米、インスタント麺などの主食です。野菜の重要性が認識されていません。これは自治体の救援物資についても同じことが言えます。

野菜の摂取量目安は、1日350gとされています(厚生労働省が推奨する健康作り運動「健康日本21」の目標値)。1日3食とすれば、1食分は約117gです。ちなみにこれは生の分量で廃棄部分を除いた重量です。たとえば、備蓄食品のマッシュポテト缶の中身は105 gです。レトルトのきんびらごぼうの中身は75gです。多くの加工品の分量は100g前後です。これは分量的に不足してしまいます。

そんなときには野菜ジュースの活用ができます。野菜ジュースの市販品はいろいろありますが、1缶200mL前後で、350gしかも30種類の野菜、そのうち緑黄色野菜は120g以上使用したものもあります。また、最近はレトルトカレーに、にんじんほか9種類の野菜を180g(生野菜換算)以上入れた‘‘野菜カレー”も発売されています。これ1品で野菜が1食分以上とれるという便利な食品です。野菜をいかにとるかという視点での備蓄も意識しましょう。

(4-2)料理のしやすいさに配慮した備蓄

(4-2-1)様々な種類の備蓄物資

災害食は当初、アルファ化米(白飯)、缶パンを主食にカレーや牛丼といった主菜の組合せが中心でしたが、最近では具材の入ったアルファ化米、5年保存のおにぎり、水を入れれば握らなくてもできるおにぎり、飲むおにぎり、ラーメンやうどんといった麺類、から揚げの缶詰、温めなくても食べられるカレーなど、様々な主菜と副菜のレトルト製品が登場しています。

さらには、長期保存可能な塩煎餅やようかんといったおやつも、容器包装や製造技術の改良により製品化が進んでいます。災害時の料理のしやすさという観点から、どの備蓄物資をそなえるか考えることができます。

(4-2-2)火と水がなくても食べられる

災害発生直後にインフラが途絶えて家の中が損傷していて通常の使い方ができない場合には、すぐに食べられる食品は重要です。長年非常食として備蓄されている乾パンやクッキー、クラッカー、シリアルのほか長期間保存できるパンの缶詰などもあります。

災害用として販売されているこれらの食品は、エネルギーや栄養に配慮されているものも多いです。主菜としては、多くの缶詰類が昔から備蓄され利用されている。近年は缶詰の種類も増え、従前のイメージとは異なる健康志向の魚介類やおつまみ缶詰など、工夫された商品が増えています。

一方、缶詰として販売されていた総菜をレトルト加工により長期保存できる形態に変えたものも見かけるようになりました。レトルトパウチ食品の中には、従前は温めて食べるタイプであったが、最近の食品加工技術や包装材料の進歩により、温めることなく直接食べられるようになっているものが出てきました。

「温めなくても美味しく食べられる」ことを売りにして、日常食にもなる商品が販売されるようになり、このジャンルの食品は増えていると言えます。主食としてのおかゆ類、代表的な主菜であるレトルトカレーやシチューなどでも、温めなくても食べられるものが多く販売されるようになりました。これら直接食することができるレトルトパウチ製品等は、冷えたままでも油脂が固まって分離することなく、おいしくいただけるように工夫されています。

さらに発熱剤がついている製品が開屈され、より上質な食環境が提供されるようになりました。これらの製品は、食器や器具(スプーンなど)も同梱されており、容器(袋等)と発熱剤を使用して食事を温めることで、どんな環境でも温かい食事が摂れます。過酷な環境下でもエネルギーが得られ、満腹感等の要望にも応えられる製品です。(※5)

(4-2―3)水またはお湯を注げば食べられる

水で戻して食べる食品は、熱源のない場所での食事として有効なものである。災害食の代表的なものに、アルファ米のご飯があります。以前は「お湯を注いで食べる」製品であったが、最近は水を注いでも食することができるように改良されているものも多く、災害時の食事として便利なものになっています。アルファ米製品は、お米を一度加熱調理することによりでんぷんをアルファ化して、消化しやすい状態にし、その後急速に乾燥することによりでんぷんをアルファ化の状態のまま(アルファデンプン)に保ち、日持ちをよくし、戻すとアルファ化したご飯が食べられる食品です。容器がスタンドタイプのもの、スプーン等の器具が入れられているものなど、便利な商品が多いです。

アルファ米のご飯には、具の入った様々な味つけご飯やもち米を使ったものなど多くの種類があります。また、パスタなども同様の形態で開発され、バリエーションが広がっています。水で戻す場合は、お湯で戻す場合に比べて時間を要するが、温かさがないこと以外、食味は変わらないといえます。(※5)

(4-2―4)お湯を注げば食べられる

前述のアルファ米については、お湯で戻すこともでき、しかも短時間で温かいご飯を食べるできるため、災害時の食生活の質の高さを確保できる。このため、アルファ米は災害食として行政や企業で多く備蓄されています。

一方、日常食の中でお湯を注いで食べるものの代表的な食品は、何といっても「即席カップめん」と呼ばれる容器入りのヌードルです。そのバリエーションは増えており、汁タイプのいわゆるカップラーメンのほか、そば、うどん、焼きそば、パスタおよびビーフン等がある。容器がそのまま食器として使え、お湯を注ぐと短時間で食することができます。味は、味噌、醤油、塩味のほか、洋風、アジア風の変わった味付けの製品もあります。また、これらの製品にはフリーズドライ加工等で乾燥された「かやく」といわれるトッピング素材が入っており、代表的な素材は、野菜(ネギや青菜など)、肉、魚介(エビなど)、卵や油揚げなどで、具材を楽しむこともできます。最近は、従来の即席めんの範疇を超える、ご飯タイプや生めんのパスタなども売られるようになり、安価で日常食としても人気の商品であるため、家庭内でのローリングストックに向いています。

副食の役割であるが、インスタントスープや味噌汁も、温かいものを手軽に食せるために欠かせません。最近はフリーズドライ製品が多く開発され、主食になりうるものや、惣菜類も多くみられます。
これらの食品は、カセットコンロ等のライフライン代替品と水を備蓄していれば、発災直後でも食することができます。(※5)

(4-2―5)簡単な調理で食べられる

調理というとインフラはもちろん、きちんとした器具や設備が必要な印象があるが、お湯を沸かす程度の器具やエネルギーで、かつ簡単な調理で食べられる食品は多くあり、災害食として有効と考えられます。また、ライフラインの復旧や自動車のバッテリーの活用による電力供給により、電子レンジが使用できれば、さらにバリエーションが期待できる。(※5)

1)温めれば食べられる

ライフライン代替品であるカセットコンロ等を使って温めれば、おいしく食べられる食品は多いです。水が貴重なフェーズでは、湯煎によりお湯を使い回すことも必要です。レトルト製品はその代表的なものといえるが、主食であるおかゆ、副食であるカレーやシチュー、牛丼、親子丼、中華丼など、バリエーションは増えています。副食は前述のアルファ米と組み合わせることで、日常食に近い食事をすることができます。(※5)

2)簡単な調理で食べられる

茄でるだけで食べられる乾麺やスパゲッティ、袋入りのインスタントラーメン、水で溶いて加熱することにより食べられるホットケーキやお好み焼き等のミックス粉、または包装餅などは、日常も食するもので、大半の家庭で買い置きをしている食品です。インフラ復旧後はもちろん、復旧前でも熱工ネルギー代替品を使えば、これらの食品を有効に使える可能性は大きいです。また米も、カセットコンロと鍋があればおいしいご飯が炊けるので、この分類に含まれます。災害時は必ずしも皆が避難所にいるとは限らず、自宅で生活する人も多くいると考えられています。市場での食品販売(供給)量を含め、生活が日常に戻るまでの期間は長期化するのが一般的であるため、この分類の食品はそのような回復期といわれるシーンで役立つ。前述のように多くは日常食と変わらないものであり、自宅に少し多めに買い置きをしておけば、いわゆるローリングストックとして役立ちます。これらの食品には、主菜のほか、補助食品の組合せが有効で、パスタソース、乾燥わかめや乾燥ねぎ、蜂蜜やジャム類などにより、おいしさをプラスすることができます。(※5)

(4-3)家族の特性に配慮した備蓄

(4-3-1)要配慮者向けの備蓄の重要性

家族に要配慮者がいる場合には、その人の特性に応じた備蓄を心がける必要があります。特に、アレルギー対応食、乳児用ミルク、離乳食などの要配慮者用の特殊食品は行政の備蓄も多くないので、自らの備蓄が大事になります。

(4-3-2)妊婦・授乳婦・乳児の備え

母乳は栄養面で優れ、生後6か月の間に乳児が必要となる栄養素のすべてを適量含んでおり、乳児用ミルクに比べ、消化機能が未熟な乳児でも消化吸収しやすいです。6か月以降も2歳になるまでは必要な栄養素の1/3以上を母乳から摂取することができます。乳児用ミルクの方が消化に時間がかかるため、あまり泣かず、よく眠ってくれるので避難所生活には一見適しているようですが、授乳による母子の触れ合いは児の安心と母乳分泌促進につながります。

災害時に一時的に母乳が出なくても、赤ちゃんはお母さんのお乳を吸っているだけで安心します。また、吸わせ続けることで、母乳が出てくるようになります。大事なことは、お母さんと赤ちゃんが元気でいることです。ですから、災害時に困ったことがあったら、医療・栄養のスタッフに相談し、お母さんは頑張りすぎないようにしましょう。(※1)

災害時のミルクでどうしても母乳で足りない分は、粉ミルクを活用することもできます。そのため、粉ミルク と哺乳ビンを備えておくと安心です。また、紙コップや使い捨てのスプーンを備えておくと、 災害時に役立ちます。 飲料水は、調乳用に多めに備えましょう。

離乳食は、さまざまな調理器具を使用して作るため、災害発生時、ライフラインが停止し、 調理できないことが想定されます。 そこで、ビン詰やレトルトの離乳食を、少なくとも2週間分、備蓄することが推奨されます。災害時には、普段とは違う環境で、落ち着かないことが想定されます。お菓子や缶詰、レトルト食品などの中から、子どもが日頃から大好きな食品や飲み物、リラックスするもの、安心するものを備えておきましょう。

また、授乳のための道具について、コップやスプーンで飲ませることもできますが、哺乳ビンが使えると助かります。使い捨て哺乳ビンが市販されていますので、普段お出かけのときなどにも使用することを想定して、使いやすいものを探して、選んでみてください。ただし、使い捨て哺乳ビンは、一度使用したら廃棄しなければなりません。替えの乳首や、本体部分が不足した場合は、紙コップ哺乳に切り替えるなど、清潔に保つ工夫が必要です。(※1)

(4-3-3)高齢者の備え

もともと摂食・嚥下機能が低下している高齢者もいますが、水分摂取不足、提供される食事の種類、食事の姿勢、義歯の損失や不適合などにより、平常時よりも摂食や嚥下が困難になる場合があります。

高齢者がいる家庭での備えは、一般の家庭の備えとそれほど大きな違いはありません。水、熱源となるカセットコンロ・カセットボンベ、そして、主食、主菜、副菜のバランスを備えておきましょう。その際、やわらかなおかゆ、インスタント味噌汁、即席スープ、食べ慣れた乾物があると安心です。

また、レトルト食品が苦手な高齢者の方も多いですが、普段から食べ慣れておくことや、さまざまな味付けの商品がありますので、試食してみて、おいしいと思うレトルト食品を見つけておくことが大切です。

缶詰も、甘さや辛さなどさまざまな味付けのものがありますので、お気に入りのものを見つけてみてください。最近では、お湯を注ぐだけで食べられるフリーズドライ食品やアルファ米などが開発されていますので、一度食べてみて、備えの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。(※1)

また、「栄養補助食品」も準備しておくといいでしょう。バランスの良い3階の食事と、足りない分は間食で補って必要な栄養を取ることが基本ですが、災害時は「栄養補助食品」を食事に追加することにより、栄養補給ができます。いろいろな種類の商品が市販されていますので、日頃から試食してみて、自分の好みのものを備えましょう。

(4-3-4)食べる機能が弱くなった方の備え

食べる機能が弱くなった方がいる家庭では、レトルトなどの介護食品を備えましょう。ドラッグストアなどで取り扱われている介護食品によく目にするこのマークは、ユニバーサルデザインフードの表示です。このマークも参考にして、商品を選びましょう。食べ物を飲み込む際にむせることが多くなった方向けには、とろみ調整食品を備えておきましょう。

とろみ調整食品とは、お茶やみそ汁、スープなどさまざまな液体の食べ物に混ぜることで、とろみをつけることができる粉末状の食品です。加齢により、飲み物などを飲み込む際にむせることが多くなった方が使うことで、食べ物を飲み込みやすくすることができます。災害時に避難所で肺炎が流行するのは、誤嚥性肺炎によるものが多いことがわかってきました。誤嚥性肺炎の予防のためにも、とろみ調整食品を備えておきましょう。

避難所で提供される食事は、おにぎりやパン、揚げ物などが多いことが指摘されており、固さや水分含有量の点から、かんだり飲み込んだりしにくい食品が多いです。東日本大震災の避難所にいる義歯利用の高齢者を対象とした調査では、17.2%が義歯を損失していた。また、義歯損失者では、損失していない者と比べて、食べることが難しいと感じている者が2.7倍多くなっていました。

(4-3-5)慢性疾患の方の備え

糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症・痛風などの代謝性疾患の方や高血圧の方の備えは、一般の方と共通した備えで、献立を工夫しましょう。腎臓病の方は、低たんぱくの食品、低カリウムの加工食品など、普段の食事に取り入れている特殊食品を多めに買い置きし、少なくとも2週間分を備えましょう。常に一定のストックを残しながら、買い足すようにしましょう。

慢性疾患などの方は、災害時には症状が悪化しがちです。日頃から自分で食事などをコントロールできるスキルを身に付けることが、もしもの時に自分の命を守ります。食事療法をしている方は、医療・栄養スタッフに早めに相談しましょう。

また、血圧の値や血糖値など、普段の自分の状態を知っておくことや、処方せんや薬の名前や用法・用量、特殊食品の名前を知っておくことも大事です。

缶詰、インスタント食品、レトルト食品など、塩分の多い食事の場合、ソースなどできるだけ残し、水分をしっかりとってナトリウムの排泄を促進し、できるだけ、野菜や果物を積極的に食べるようにしましょう。また、選べるなら肉類よりも魚を選びましょう。

① 血圧が高めの方へ

高血圧は、3人に1人と対象者の多い慢性疾患です。寒さや、睡眠不足、不安感などでも血圧は高くなります。非常に難しいとは思いますが、できるだけ睡眠をとり、リラックスを心がけましょう。

なお、平成30年7月豪雨の際に、厚生労働省が発出した「避難所における食事提供の評価・計画のための栄養の参照量」によると、高血圧予防の観点から、成人男性は8g未満/日、成人女性は7g未満/日に食塩摂取量をおさえることが目標値となっています。しかしながら、魚の缶詰をはじめとする備蓄食品、避難所でよく提供されるコンビニ弁当(3~6g/個)やおにぎり(1.1~2g/個)も食塩含有量が多く、3食食べればすぐに目標値を超えてしまいます。
血圧のコントロールのためには、以下のようなことも大切です。

  • 水分を十分に取りましょう
  • 少し身体を動かしましょう(軽い体操、室内や外を少し歩くなどがおすすめ)
  • 下半身を温めましょう
  • 野菜や果物が手に入るようになったら、積極的に食べましょう

災害時には、災害による直接的なストレスや環境変化によって食塩感受性が増大し、平時と異なる食生活によって食塩摂取が増加した場合に発生する災害高血圧が知られています。災害高血圧は、被災直後から発生し、通常では一過性であるが、高齢者や萬世疾患患者では数か月単位で持続する傾向にあります。

食塩含有量の多いカップ麺やレトルト食品は調理のしやすさや温かさから備蓄や支援物資に多いですが、平時よりこれらの食品の摂取頻度が増え、食塩の過剰摂取が続けば、災害高血圧を引き起こすリスクを高めるために注意が必要です。

② 血糖値が高めの方へ

普段は、上手にコントロールできている方でも、災害時は難しいかもしれません。血糖値の急な上昇や低血糖を予防するためには、以下の点に気をつけましょう。

  • できるだけ糖分を含まない飲料を選び、水分を十分にとりましょう。
  • 食事量が減っているので、薬を服用している方は低血糖に気を付けましょう。
  • 食事は、一度にたくさん食べずに、回数を分けて少しずつ食べましょう。
  • 食べるときには、良くかんで時間をかけて食べましょう。
③ 代謝性疾患の方へ

一般の人と共通した食品に備え、献立などの食事内容を工夫しましょう。糖尿の方には高血圧の方も多いため、食塩の摂取量を減らすことが大事です。食物繊維を摂取するには野菜、特に、干した野菜を備えましょう。また、麦飯も効果的なので、精米に加えて麦飯用の大麦を備えておきましょう。

④ 腎臓病の方へ

腎臓病の方は、低たんぱく食品、低カリウムの加工食品など普段の食事に取り入れている特殊食品を多めに備えておきましょう。加えて、減塩の調味料をストックするなどの対策も効果的です。エネルギー補充のため、MCT入りマクトンのビスケットやゼリーも便利です。特殊食品は災害時に特に手に入りにくくなります。腎臓病の方は、普段使っている特殊食品を多めに買い置きし、古いものから消費し、消費したら買い足すローリングストック法で少なくとも2週間分を備蓄することが推奨されます。

(4-3-6)食物アレルギーの方の備え

東日本大震災発生後の物資不足の状況で、1週間以上アレルギー対応食品を入手できなかったと回答した方が半数以上を占め、中には1か月以上入手できなかったと回答されている方もいます。アレルギー対応食品などの特殊食品は、普段使っている食品を多めに買い置きし、消費したら買い足すローリングストック法で、少なくとも2週間分を備蓄することが推奨されます。

食物アレルギーの原因物資となる食物は人によって異なります。日本国内においては、容器包装された食品の表示が義務づけられている8品目(卵、乳成分、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみ)と、表示義務はないが可能な限り表示することを推奨されている20品目(アーモンド、いくら、キウイフルーツ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉)があります。

食物アレルギーの方が災害時に直面する課題として以下2点があります。

(1) 安全が確認できないと食物を口にできない
  • 被災者同士の食物の譲り合いが困難
  • 容器包装されていない支援物資の食物が配布されたとき中身の確認が困難
  • 弁当はおかずごとの原材料が確認できないと口にできない。特に複数のアレルゲンがある人は困難
  • 炊き出しに使われる食材や調味料の原材料がわからないと食べることができない
(2) 治療環境が悪化する
  • 病院は被災者であふれているため順番待ちをしなければならない
  • 被災したときエピペンを持ち出せない場合がある
  • 病院にいくための道路の寸断やガソリン不足などで病院に行けない
  • 救急車の到着・搬送にいつもより時間がかかる
  • 寝不足、不安、緊張、季節によって過酷な暑さや寒さなどが影響していつもより過剰にアレルギー反応を起こす人もいる

(4-3-7)糖尿病の方の備え

血糖コントロールの基本は、毎日決まった時刻に同じエネルギー量を3食に分けて食べることですが、避難所の食事は量が一定でなく、いつ食べられるか分かりません。そのため災害時の糖尿病患者は、低血糖と高血糖、両方のリスクにさらされます。食事の量や回数が減っているのに普段通りにインスリンを注射したり、片付けなどの重労働を余儀なくされると低血糖になります。

一方で、薬の不足、被災ストレス、パンやおにぎりなどの炭水化物中心の食事は高血糖を招きます。食事量が少なく、空腹感が強くなるとストレスが増すので、できるだけよく咀嚼し時間をかけて食べることで、満腹感を増し血糖値の急激な上昇も抑えることができます。主食以外におかずとして乳製品や野菜、たんぱく質食品がある場合は、それらを先に食べ、炭水化物を後に食べることでも同様の効果が得られます。

食品バッケージの要配慮者に関する表示制度

要配慮者の方に関する食品パッケージの表示制度には以下のものがあるので、参考にすることができます。(※5)

1) 特別用途食品

要配慮者と特別用途食品制度の対象者とは重なることが多い。特別用途食品とは、たんばく質の制限を必要とする腎臓疾患の人のためにたんぱく質を低減させたり、特定の食品アレルギーの人のためにアレルゲンを使用しないまたは除去した食品、および乳児用、妊産婦用、えん下困難者用、疾病等で十分な栄養摂取の困難な人用、水分・電解質補給の必要な人用など、特別の用途に適するという表示を国が許可した食品をいう。

2)特定保健用食品

特定保健用食品(トクホ)とは、食品の持つ三次機能(体調調節)に注目し、不適切な生活習慣に伴う健康リスクを低減するように工夫された食品である。健康に対してどのような機能を持っているかを示す「保健の用途」を具体的に表示することを国が許可した食品である。ただし、要配慮者にとってトクホとは直接的関係にないと考えられる。

3)栄養機能食品

栄養機能食品は、栄養成分(ビタミン,・ミネラル)の補給のために利用される栄養成分の機能の表示をして販売される食品であるが、条件として1日あたりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等も表示する必要がある。災害時に不足しがちなエネルギー、栄養素(たんばく質、ビタミン、ミネラル等)に配慮することが望ましく、要配慮者にとって関係する栄養機能食品は活用できる。

4)機能性表示食品

機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示したものである。販売前に、安全性および機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られている。ただし、特定保健用食品とは異なり消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない。要配慮者にとって、機能性表示食品とは直接的関係にないと考えられる。

(5)水の備蓄

(5-1)水の備蓄ポイント

日常でペットボトル水を飲んでいたり、ウォーターサーバーなどを活用している場合は、ローリングストックがおすすめです。飲料水は食品よりも多量の備蓄が必要になるため、期限内で消費できる最大量を備蓄するのではなく、場所が許す範囲で上限となる量を保管するか、7日分を目安に備蓄するのが現実的です。

一方で、水道水の水質が良くそのまま飲める地域や、水を美味しくするための浄水器を使っている場合は、水を購入する習慣がない場合もあります。この場合は、水以外を備蓄するのがいいでしょう。

お茶やジュース、スポーツ飲料、炭酸水や各種の機能水、あるいはノンアルコール飲料でも構いません。常飲している飲み物をできれば箱買いし、これをローリングストックすることで、一定量の飲み物を確保します。

ちなみに、ペットボトルに記載されている「期限」は、飲めなくなる期限ではありません。水を腐敗させる要素は主に微生物ですが、未開封のペットボトルには外から微生物が侵入できないため、基本的に水が腐ることはないのです。ペットボトルも微量の気体を浸透させます。そのため、長期保存をすると徐々に水が蒸発して減り、内容量以下になってしまうのです。この水が内容量以下に減る時期をペットボトル水の期限と呼び、品質的な問題の生じる期限ではないのです。(※4)

(5-2)必要な備蓄量

飲料水の備蓄は1人1日3ℓです。えっ、そんなに、と疑問視する人もいるでしょう。この量は、食べ物や飲料水から体内に取り込む水分と、尿や汗として体外に出ていく水分の収支バランスで決められた値です。

生活用水は含まれません。たとえば、絹ごし豆腐100g(水分89.4ml)、レタス100g(水分95.9ml)、味噌汁おわん1杯(150ml)を食べたとすると、合計約335mlの水分が取れます。しかし、災害時には食べ物が不足し、食事から水分がとりにくくなるため、飲料水は普段以上に補給することが大切です。飲料水の備蓄は、むしろ食べ物の備蓄より大切です。

(5-3)災害食を作るのにも水が必要となる

災害食は長期保存を目的としているため、水分が少ないのが難点です。たとえば、ご飯の水分は約60%ですが、米を乾燥させたアルファ化米は5.5%です。100gのアルファ化米を元のご飯の状態に戻すには、熱湯又は水が150ml必要です。食パンの水分は38%ですが、乾パンの水分は5.5%しかありません。水分が少ないと飲み込みにくく、のどが渇きやすくなります。また、全体的に味付けが濃いものが多いです。

(6)食べ物・水以外に料理をするために備蓄しておくもの

南海トラフ地震では、停電の9割が解消されるまでに1週間、都市ガスは大部分の供給が開始されるまでに1か月かかると予測されています。備蓄食品を利用するには、ライフライン停止への備えも必要です。

(6-1)ガスボンベ

発災直後は、乾パンやビスケットなど開封するだけで食べることができる非常食を備蓄することが、これまでは行われてきました。しかし、非常食を食べるには、飲料水が不可欠です。さらに、お湯を用意できればレトルト食品やカップ麺、袋麺、フリーズドライのスープ、パスタなど食べられる食品の幅を広げてくれます。

電気・ガス・水道のライフラインが絶たれた場合に備えて、水はペットボトルの飲料水、ガスはカセットコンロとカセットボンベ、さらに湯を沸かせるやかんや鍋など必要なものを用意しておきましょう。

地震などの災害発生後、電気・ガスが復旧していない場面で温め・沸かす・調理するのに、カセットコンロが便利です。温かい食事は身体も温まり、緊張感や不安を和らげてくれます。

  • カセットコンロ 1家庭1台
  • ガスボンベ 1家庭12本(6本/週×2週間)

一般的にボンベの使用期限は約7年です。中身のLPガスそのものは腐敗しないため、100年でも備蓄できるのですが、ボンベに使われるゴムパッキンが劣化するため、7年程度が使用期限になります。

(6-2)クーラーボックス

クーラーボックスに保冷剤を入れていれば簡易冷蔵庫にすることができます。大きな保冷剤なら1~2個、小さい保冷剤なら10個以上冷凍庫に入れておくことで冷蔵することができます。

  • クーラーボックス 1家庭1~2台
  • 保冷剤(大) 1家庭1~2個

(6-3)非常用電源

非常用電源があれば、定期的に冷蔵庫を稼働させることによって、冷蔵庫内の食料も腐らせることなく有効に活用できます。

(6-4)ポリ袋

調理法の工夫の事例としてポリ袋調理法(パッククッキング)というものがあります。高密度ポリエチレンの袋に食材を入れて行う湯煎調理法は、カセットコンロとペットボトルを利用して被災時にも温かで通常の料理を食べることができる工夫となっています。

災害時に有効とされる調理法「パッククッキング」により調理した後、ポリ袋の上部を切り、食器に中身を空けずに容器をポリ袋ごと乗せて袋の中身を食べることで、洗浄する食器を減らすことができます。

(6-5)その他

被災により水道・ガス・電気のライフラインが停止した場合には、料理ができなくなることに加えて、食器を洗うこともできなくなります。食器に「ラップフィルム」をかけると食器を洗わずに食事ができるので便利です。

「使い捨ての食器」を備蓄しておくことも有効です。家庭においても食器が破損して使えなくなる場合もあることから、使い捨て食器を備蓄しておくと便利です。

また、いざというときは「手作り容器」という手もあります。新聞紙、段ボール、牛乳パック、ペットボトル、アルミホイル等を利用して食器を手作りする方法があります。

コンロと鍋でご飯を炊く方法

災害時に電気、ガス、水道が止まった場合「簡易コンロと鍋」でご飯を炊くことになります。電気炊飯器のように目盛りがなく、火力の調整も必要ですが、このような状況でご飯を炊ける人は少ないです。災害時にご飯を炊くことは相当難しいと推察されます。できれば日頃から家庭で鍋とコンロを使って、ご飯を炊く練習をしておきましょう。

準備
  • 鍋の点検・かまどの設置
  • 米と水の計量(米:水=1:1.5)
米を洗う
  • 米の浸漬と水切り(夏30分、冬1時間程度。その後ザルで水を切る)
炊飯
  • かまどに鍋をセットし計量した水を入れる。ふたをし、点火する
  • 水が沸騰したら浸漬・水切りした米を一気に入れふたをする
  • 5分したら加熱むらができないように木のしゃもじでかき混ぜ、再度ふたをし加熱を続ける
  • 噴きこぼれそうになったら、火力を弱める
蒸らす
  • 水がない状態になったら火を止める
  • 蒸らす(米5升の場合約15~20分程度)

引用元

※1 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
※2 東京都「日常備蓄で災害に備えよう」
※3 農林水産省「災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう」
※4 高橋智也「今日から始める本気の食料備蓄」
※5 日本災害食学会「災害食の事典」
※6 新潟大学地域連携フードサイエンスセンター「災害時における食とその備蓄」
※7 内閣府「一日前プロジェクト」
※8 Panasonic「“まさかの停電”に備える!知っていると役立つ「冷蔵庫を使った災害対策」」