図上訓練DIGとは?マニュアルと進め方について

2017.11.25

防災に強いまちづくりをするためには市民を巻き込んだ防災訓練を行うことが重要です。防災計画を立てて、実際に防災訓練を通して本当に使えるものなのか試してみて、もし改善すべき点があるならばPDCAサイクルを回す必要があります。
そんな防災訓練についてもいくつかの種類があり、実際に行動しながら防災訓練する実地訓練や、地図をもとに机の上で防災訓練を行う図上訓練などがあります。
今回はその中でも「図上訓練DIG」という種類の防災訓練について、そもそも図上訓練DIGとは何なのか、どのような手順で進めれば良いかなどについて書いていこうと思います。

図上訓練DIGとは何か

図上訓練DIGはひとことで言うと、住民を巻き込んだ住民参加型のワークショップです。もともとDIGとはDisaster Imagination Game(防災想像ゲーム)の略であり、その名前の通り、防災シミュレーションの形で防災訓練を行います。ちなみに呼び方は「ディグ」です。
最近では地域防災を向上するために防災訓練での活用が広がってます。自衛隊の防災訓練を参考に1997年に考案され、今では図上訓練の一つとして確立されました。
実際に現場を歩いて回る実地訓練は時間的にも労力的にも限界がありますが、図上訓練DIGをすることによって限られた時間と労力の中で効果的な防災訓練ができます。ただし図上訓練には情報的な制約があるのも事実であり、図上訓練DIGに実地訓練や防災まち歩きなどを組み合わせることで、効果的な防災訓練を行うことができます。

参照記事
防災訓練とは?職員向けと一般住民向けにゴリラでも分かるように解説

図上訓練DIG の進め方について

図上訓練DIGの良いところは低予算で防災訓練ができるところにもあります。図上訓練DIGをするにあたって必要な材料は下記一覧のものになります。

図上訓練DIGで必要なもの

地図、ハザードマップ(自治体がHPなどでアップしていることがあります)、透明シート(地図の上からマジックで書くため)、油性ペン、付箋紙、ドットシール

具体的な図上訓練DIGの進め方については、まず6人〜8人毎に1グループを作っていきます。そして大きな机の上に上記の備品を広げて置きます。次に防災訓練の対処になるエリアの地図を広げて、それをもしあるならばハザードマップと見比べます。
そして万が一、大雨や地震等になった際にはどのエリアが危険なのかをマジックで色付けしていきます。この際に付箋紙やドットシールを使って文字などで書き出しても分かりやすいです。
可能であれば各グループに1人ほどのファシリテーターを置くとベストです。みんな無言で議論がうまく進んでいなかったり、議論の方向性が外れてしまったりしている際にはファシリテーターがうまく議論をまとめるために調整します。(ファシリテーターは予想以上に技術が必要なので、全体のコーディネートも含めて外部にコンサルタントに委託するケースも多いです)
たとえ些細なことであっても、否定はあまりせずにとりあえず付箋などにメモを取って貼っていくことで、自由にいろいろな意見が出てきます。
このように図上訓練DIGを行うことによって住民の皆様が災害時にはどこのエリアが危険であって、避難する際には何に気をつければ良いのかを知ることができます。最終的に出来上がった地図の成果物もそうですが、地図を作る過程で住民のみんなが意見を出し合う過程も同じくらい大切なのです。

図上訓練DIG と実地の防災訓練を組み合わせる

冒頭でも説明をしましたが、図上訓練はあくまで机上での議論に過ぎません、そのために実際の災害時には“予想外”な出来ごとが発生することが考えられます。その予想外をできるだけ少なくするためにも、実地の防災訓練と組み合わせることが重要です。
実際に図上訓練DIGで作成した地図をもとにまちの中を散策してみます。このことを「防災まち歩き」などと呼ぶこともあります。自分の住むまちの中を防災という観点から改めて見ることで新たな発見をすることができ、それを地図に落とし込んで改善していきます。
このように多様な角度から防災訓練を行って地域の防災マップを作成していきます。このように何度も繰り返して図上訓練DIGと防災まち歩きを繰り返すことで、より正確な防災マップを作ることができるのです。

参照記事
シェイクアウト(Shake Out)とは?気軽に始められる地震防災訓練

図上訓練DIG は防災訓練の手段として有効である

図上訓練DIGは開催する場所だけ市役所や公民館などで確保してしまえば、数千円程度で手軽に行うことができます。そしてその名前の通り、まるでシミュレーションゲームをするような感覚で問題を可視化し、かつ防災の啓蒙活動をすることもできます。
このように低コストで一石二鳥の防災訓練を行うことがでることから、図上訓練DIGは地域防災力を高めるための手段として有効であると言えます。
ただしいくら防災訓練をしていてもいざ本番になると上手くいかない部分がどうしても発生してしまいます。少しでもその予想外の部分を減らすためにも、定期的に図上訓練DIGや実地訓練を行ってPDCAサイクルを回す必要があるのです。そのためにも継続的に防災を地域レベルで取り組むことが今後はより一層重要になってきます。

参考サイト▪︎静岡県「災害図上訓練DIG」