「被害想定」の必要性は高いがあくまで“想定”でしかない

防災を考える上で、ある特定の地域で地震や津波などが発生した場合、どれくらいの被害が想定されるか算出することは必要不可欠です。当たり前ですが、どんな被害が出るか予測するからこそ、その被害の対策を事前に行うことができるからです。
しかし、ある特定の地域でどれくらいの災害が発生して、それによってどんな被害が出るのかを事前に把握することはそもそも論としてできるのでしょうか。今回はそんな「被害想定」について、そもそも被害想定とは何なのか、被害想定を考える際の留意点について書いていこうと思います。

被害想定とは何なのか

そもそも被害想定とは、漢字の意味からある程度は予測することができるかと思いますが、防災対策を行うために災害が発生した際の被害がどれくらいかを予測することです。
日本の防災計画の中で最上位と言われている防災基本計画では地方公共団体に「被害想定」をすることが求められています。都道府県や市町村は地域防災計画という防災計画を作成することが義務ですが、被害想定がなければそもそも防災計画及び災害対策を十分に行うことができません。
そんな被害想定ですが、一般的にその地域で発生する被害想定をハザードマップなどで表現して、地図上に落とし込むことで視覚的にわかりやすくすることが多いです。

参照記事
南海トラフ地震に備えて行われている主な防災対策について

被害想定を考える際の留意点

被害想定を考える際に気をつけなければならない点として、当たり前ですが“想定”でしかないので、必ずしもその被害レベルで災害が発生するという訳ではない点があります。
あくまで平均的な被害や平均的な被害よりも大き目な被害でしかないので、可能性としてその被害想定を更に超える“予想外”な被害が発生することもあります。そのために、ハザードマップではこのエリアは安全なエリアだから安心仕切ってしまってもいけません。
被害想定のレベルについては、行政も自分たちでは専門的すぎて予測できないので、外部機関に委託することが多くあります。そのために「プロが“科学的な根拠に基づいて”作ってくれたんだから盲目的にこれに従えばよいだろう」とは考えずに、あくまで限界の範囲内で作られているという認識でいる必要があります。
ハザードマップ等に記載されている数字通りの災害が発生するわけはないということを念頭に置くことが重要です。「被害想定」の重要性は防災計画を作る上で大事ですが、一方でそれには科学的に限界があると理解しましょう。

参照記事
首都直下地震の被害想定と応急対策に関する計画について

参考サイト▪︎内閣府「国での被害想定」