地籍調査が災害の復旧・復興に与える影響について

大きな災害が発生すると、地震によって住宅が全壊したり、津波によって家が流されたりすることで、どこが土地の境界であったのか目視ではなかなかわかりにくくなることがあります。
そのために境目がよく分からなくなってしまった土地については不動産登記などを確認してどこからどこまでが誰の所有権なのかを明らかにしようとします。この不動産登記による確認を行うためには、事前に地籍調査をしっかりと行っておく必要があります。
今回はそんな地籍調査が災害の復旧・復興に与える影響についてについて簡単に書いて行こうと思います。

地籍調査が災害の復旧・復興に与える影響

災害が発生した場合には、道路の復旧、上下水道等ライフライン施設の復旧、住宅の再建等が急務となります。ライフラインや住宅の復旧・復興なくして被災地の復興を行うことはできません。
しかし、住宅などの復旧・復興を行うためには、そもそも土地の所有者とその範囲を明確にする必要があり、そのためには不動産登記を確認する必要があります。
不動産登記は、地籍調査よって一区画ごとに所有者、地番、地目を調査すると同時に土地の境界と面積を測量することで作成することができます。
本来であればこの地籍調査は日本全国でしっかりと行われているのがベストではあるのですが、実際には地方などに行くと地籍調査がしっかりと行われていない地域も多いのが実態です。

これらの地域では災害復旧にあたり、まず土地の境界の確認から始める必要があります。しかし、災害によって土地の境界を示す杭が無くなったり、移動したりしてしまった場合には、立会い等により土地所有者等の確認を得るなどの作業が必要になります。
記憶の中だけで土地の境界を作成すると、当然隣人同士で揉めることもありますし、災害復旧に着手する前に多くの時間と手間が必要となってしまい、被災地の復旧・復興が遅れる要因にもなります。
このために、地籍調査の不足が被災地の復旧・復興の遅れに与える影響は大きいものであり、事前にしっかりと地籍調査を行っておくことは、防災の観点からも重要であると言えます。
以上、地籍調査が災害の復旧・復興に与える影響についてについて簡単に見てきました。地籍調査という一件、防災には何の関係もなさそうなものが、実は回り回って復旧・復興の段階で大事になってくるのです。

参照記事
災害復旧事業とは?インフラ施設を災害復興する流れ

参考サイト▪︎国土交通省「地籍調査はなぜ必要か」