常時観測火山とは?気象庁が監視している火山
日本にある活火山の数は110個であると言われています。日本では過去に御嶽山の噴火や雲仙岳の噴火などで多くの人が犠牲になっています。
そんな数多く存在している火山の中でも防災という観点から特に気象庁が監視をしている火山として「常時観測火山」があります。火山活動の防災という観点から考えた際に常時観測火山は重要になります。
今回はそんな常時観測火山について、そもそも常時観測火山とは何か、火山噴火による災害にはどのようなものがあるのか、などについて書いていこうと思います。
常時観測火山とは何か
そもそも常時観測火山とは何かをひとことで言うと、活火山の中でも噴火の可能性が比較的に高いものであり、防災という観点から監視・観測を他の火山よりも強めている火山のことです。
日本にある110の活火山のうち、50火山がこの常時観測火山に指定されています。この常時観測火山である50の火山については今後噴火して被害が拡大することを防ぐ目的で、気象庁が、地震計・傾斜計・空振計・GNSS観測装置などを設置して、24時間体制で常時観測・監視しています。
気象庁では東京にある気象庁本庁に「火山監視・警報センター」が設置されており、札幌・仙台・福岡の各管区気象台に「地域火山監視・警報センター」が設置されていて、時観測火山の活動を監視しています。
これらのセンターから火山機動観測班が定期的に調査観測を行っており、仮に火山活動が高まって噴火の発生や拡大が予測された場合には、気象庁から噴火警報が発表されます。
常時観測火山は火山噴火予知連絡会によって選定されており、最近も新たに3つの火山が常時観測火山に追加されました。
(常時観測火山:気象庁HPより引用)
このように常時観測火山では他の火山に比べて噴火の可能性が高いので、なかなか火山活動を予測することは難しいですが、警戒をしておく必要があります。
火山噴火による災害にはどのようなものがあるのか
日本では過去にいくつもの火山活動による災害が発生しています。災害の要因となる主な火山現象には、大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流、溶岩流、小さな噴石・火山灰、土石流、火山ガスなど多種多様です。
火山活動による災害:大きな噴石
火山が噴火によって爆発すると、その火口付近にある大きな岩石でも吹き飛ばされてしまいます。その噴石は火口から数キロメートル付近のところに落下することが多いですが、直径が何メートルにもなるような大きな噴石の場合には、建物や登山者に被害を及ぼすことがあります。
火山活動による災害:火砕流
火砕流とは、高温の火山灰や岩塊、空気や水蒸気が一体となって急速に山体を流下する現象のことです。広範囲に広がることから被害を拡大させることがあり、火砕流に飲み込まれたら身を守ることは不可能であり、事前に避難をする必要があります。
火山活動による災害:融雪型火山泥流
融雪型火山泥流とは、雪が積もっている状態の火山において噴火に伴う火砕流等の熱で斜面の雪が融かされることで大量の水が発生し、周辺の土砂や岩石を巻き込みながら高速で流下する現象のことです。
広範囲に巻き込みながら破壊や埋没が発生するために、大規模な災害になる傾向があります。
この他にも火山活動による災害になる要因はたくさんありますが、いずれにしても早めな避難が重要であり、気象庁から発表される噴火警戒レベルを参考にしながら、常時観測火山がいま危険な状態なのかどうなのかを見極める必要があります。
以上、常時観測火山について、そもそも常時観測火山とは何か、火山噴火による災害にはどのようなものがあるのか、などについて見てきました。火山活動を予測することはなかなか難しいですが、気象庁から発表される情報などを参考にし、防災対策を考える必要があります。
参考サイト▪︎内閣府「ダム」