災害現場で被災者の健康管理を行うために段階別に行うこと
大規模な災害が発生すると多くの住民が怪我をしたり病気にかかったりしてしまいます。そんな体調に問題の生じている住民の健康管理や健康に関する対応を行う体制をすぐに整えることも行政には求められています。
しかし、ひとくちに被災者の健康管理と言っても、災害発生からどれくらい時間が経過していてどの段階なのかによって、必要とされる健康に関する被災者からの要望は変化していきます。
今回はそんな災害現場における被災者の健康に関して、段階ごとにどんな健康ニーズがあるのかについて簡単に書いていこうと思います。
被災者の健康管理①:救護活動
災害が発生して最初に必要になる被災者の健康に関する活動は、当たり前ですが救護活動です。健康管理というよりは少し大きな枠組みで見た方が良いかもしれませんが、被災によって建物が崩れてきて怪我をした人や、安否確認に関する活動を行う必要があります。
被災者の健康管理で重要なのは目に見える傷だけではありません。外傷は特に負っていないものの、親族が犠牲になってしまったり、自分がずっと住んでいた町が壊れていく様子を見てしまったりすると、誰しも必ず精神的な喪失感にかられて、時にはその対応を行う必要もあります。
その他にも、気をつけなければならないこととして、高齢者や障害者などで平常時から医療機器をつけている人への対応があります。特に要配慮者の中には災害時には気を使って問題が発生していてもそれをなんとか自己解決しようとしてそれが事態を悪化させる場合もあるので普段から配慮が必要になる被災者への対応を考えておく必要があります。
被災者の健康管理②:保健活動
災害が発生して少し落ち着き、住民が避難所等で避難生活を始めるのが次の段階です。特にこの段階では健康管理がしっかりと体制的にされているかが重要になってきます。
被災者に健康問題がないかヒアリングする
避難所等で行う被災者の健康管理としては、まず何か健康的な問題がないのかを被災者の方々にヒアリングすることがあります。避難所の中に「健康相談コーナー」を設置して、何か健康面で不安なことがあればすぐに相談できるようにしたり、担当者が巡回して一人一人にヒアリングをしたりする方法が考えられます。
避難所の衛生環境の整備
避難所の衛生環境をしっかりとすることも重要です。避難所は定期的に換気を行い、特にトイレについては当番制などにして掃除担当者を決めて清潔感を保つ必要があります。被災者に手洗い・うがいを徹底させることも考えられます。
炊き出しや飲料水の提供についても、不特定多数の人が口にするものなので、食中毒が蔓延することないように気を使って行う必要があります。 食事についてはできるだけバランスが偏ることのないようにメニューに工夫が必要です。
被災者の精神的なケア
被災者は誰しも精神的な不安を抱えています。体育館での避難所生活ではプライバシーもままならず、夜は寝付けない人も多く存在します。特に避難所での生活が長期化すると狭い空間に抑え込まれているような感覚にとりつかれてしまいます。
親族に不幸があった被災者もいればそうでない被災者もいる、住宅ローンで買ったばかりの家が潰れた被災者もいればそうでない被災者もいる、というように、被災者間での
“格差”のようなもの時間の経過とともに生まれていきます。そんな被災者の精神的なケアという側面も重要になってきます。
被災者の健康管理③:生活支援
避難所での生活が終わって仮設住宅に移った被災者への対応が次の段階としてあります。仮設住宅に被災者が移ると、避難所での生活と違ってどうしても物理的な距離ができてしまいます。
そのために、定期的に仮設住宅に訪問して様子を伺ってみたり、地域で交流会を開催してみたりするなどの方法も考えられます。
以上、被災者の健康管理について段階毎に何が必要とされるのか、簡単に見てきました。実際にはその他にも健康管理で配慮しなければならないことは多くありますが、被災者の健康管理は重要度の高い災害対応のひとつと言えるでしょう。
参考サイト▪︎内閣府「被災者に対する支援制度」