応急危険度判定とは?その意味と注意点について
地震や洪水などの災害で建物が損壊すると、家が傾いたり、家の一部が飛び出したりして、余震があったらすぐにでも家が壊れてしまうのではないかという状態になることがあります。
素人が見ても果たして自分の家がすぐにでも壊れそうな危険状態なのか、多少の余震では壊れることがなくて安全なのかよくわかりませんし、道を歩くにあたっても、壊れかけの家があってその近くを通っていいのがどうかよく分かりません。
そんな災害で壊れかけた家の危険度を判定する手段として「応急危険度判定」というものがあります。今回はそんな応急危険度判定について、そもそも応急危険度判定とは何なのか、被害認定調査との違いは何なのか、などについて書いていこうと思います。
応急危険度判定とは何か
応急危険度判定とはひとことで言うと、被災者にその家が危険なのかどうかを知らせるためのものであり、張り紙のようなものを家に貼る作業を市町村が主体となって行うことで被災者に危険度を知らせます。
(応急危険度判定の張り紙:全国被災建築物応急危険度判定協議会より引用)
上記の写真のように危険=赤色、要注意=黄色、調査済=緑色で信号機の色のように安全性を評価して、調査対象となった建物に貼っていきます。この応急危険度判定によって、余震による倒壊や、部材や物の落下など安全性に関わる被害を判定していきます。
応急危険度判定の目的としては、2次災害を防止することを主眼に置いており、避難者はこれをもとに避難が必要かどうかを判断します。避難所での生活はプライバシーも欠けているので、できるならば自分の家で生活をしたいという人も多くいます。
しかし、自分の家が多少壊れているとして、果たして自分の家に戻っていいのか、それとも避難所で生活した方がいいのかは素人では判断できないので、応急危険度判定が必要になってきます。
応急危険度判定の判定は都道府県・応急危険度判定協議会の支援のもとに市町村が主体となって行います。判定の調査員としては応急危険度判定士の資格所有者や、行政や民間の建築士が行っていきます。
応急危険度判定は災害が発生してから速やかに行われ、当面の使用の可否をできるだけ早い段階から被災者は知ることができます。
このように応急危険度判定は、2次災害を防止するためにとても有効であり、災害によって壊れかけている家が危険なのかどうかを色によって感覚的にも理解することができます。
応急危険度判定と被害認定調査の違い
応急危険度判定に似たものに被害認定調査というものもあります。応急危険度判定は災害が発生してすぐに建物に貼られてその安全性が示されていますが、被害認定調査は災害が発生してから発行されるまでに少し時間がかかり、住まいの継続使用が可能かどうかを構造的・経済的な視点から判定します。
これだけを聞くとあまり違いを感じられませんが、大きな違いとして被害認定調査は罹災証明書で被害の程度を判断するための判断基準にも使われます。判定結果についても被害認定調査では全壊・大規模半壊・半壊・一部破損・無被害で区分されます。
応急危険度判定と被害認定調査は判定にかける調査時間なども変わるので、応急危険度判定で危険と判定されたからといって被害認定調査で全壊と判定されるわけではありませんし、応急危険度判定で調査済と判定されたからといって被害認定調査で無被害と判定されるわけではありません。
あくまで応急危険度判定は当面の安全性について2次災害を防止する観点から行われると認識する必要があるといえます。
以上、そもそも応急危険度判定とは何なのか、被害認定調査との違いは何なのかについて見てきました。応急危険度判定は壊れかけた家の安全性を誰でもすぐ把握することができる有効な手段といえます。
参考サイト▪︎内閣府「被災建築物の応急危険度判定」