災害による税金控除について!災害減免法と雑損控除

2018.05.09

大きな災害が発生すると被災者は精神的にも身体的にも大きな被害を受けることがあります。そんな被災者を支援するために日本には様々な被災者支援制度があります。
そんな数ある被災者支援制度の中でも被災者を経済的な面から支援するために、被災者の税制上の特例が設けられています。災害によって住宅などに受けた経済的な損失金額に基づいて所得から控除する災害減免法や雑損控除などがあります。
今回はそんな災害による税制上の特例について、災害減免法とは何か、雑損控除とは何か、災害減免法と雑損控除の違い、その他災害による税制上の特例について、などについて書いていこうと思います。

災害減免法とは何か

災害による税制上の特例にはまず「災害減免法」があります。災害減免法とは何かをひとことで言うと、一定の条件を満たした被災者はその年の所得税が軽減または免除されるというものです。
災害によって住宅や家財などに被害を被ると、当然ながら修復や引越しなどで出費が発生します。日本にはそのような被災者の経済的な損失を支援するための制度がいくつかありますが、災害減免法は被災者の所得税を控除または免除することで被災者を経済的に支援するというものです。
ただし、災害減免法を適用するためには下記の3つの条件全てに該当している必要があります。

災害減免法の条件

1.災害によって受けた住宅や家財の損害金額が保険金などにより補てんされる金額を除き、時価の2分の1以上である
2.災害に合った年の所得金額の合計額が1,000万円以下である
3.災害による損失額について雑損控除を受けていない(雑損控除については後述します)

これら3つの条件全てに合致した場合には災害減免法を適用することができます。災害減免法によって所得税が軽減または免除されると先ほど書きましたが、実際にどれくらいの割合の所得税を支払わなくていいのかは所得がどれくらいあるのかによって下記のように控除される所得税の金額割合が変わってきます。

災害減免法によって控除される所得税

所得金額の合計額が500万円以下:所得税の額の全額
所得金額の合計額が500万円超750万円以下:所得税の額の2分の1
所得金額の合計額が750万円超:所得税の額の4分の1

このように災害減免法は適用されるための条件はあるものの、適用することができて所得金額が500万円以下であれば所得税が免除される制度になります。

雑損控除とは何か

先ほどの災害減免法と似たような制度に「雑損控除」があります。雑損控除も災害減免法と同様に、災害によって経済的な損失を受けた被災者に対して、所得税を控除することで被災者を経済的に支援します。
雑損控除では自然災害(震災、風水害、冷害、干害、雪害、落雷、噴火など)、人為的な災害(火災、鉱害、火薬類の爆発など)、生物による災害(害虫、害獣など)に加えて盗難や横領によって資産が損失を受けた際に所得控除を受けることができます。
雑損控除で控除される所得税の割合は下記2つの計算式で金額がより大きい方になります。

雑損控除で控除される所得税の割合

1.損失額(保険金などで補てんされる金額を控除した金額)− 総所得金額×10%
2.損失額のうち災害関連支出の金額 − 50,000円

損失として計上できるものは生活に通常必要な資産であり、具体的には住宅や家財の損害金額(時価)と損壊住宅の取り壊し費用などの災害関連支出になります。
自営業者のほか、年金生活者、サラリーマンの方も確定申告をすることにより雑損控除を受けることができ、その年に控除しきれず不足がある場合は、3年間までの繰越控除が認められます。

参照記事
罹災証明書とそれを発行する基準になる住家被害認定調査について

災害減免法と雑損控除の違い

このように災害時における被災者の所得税控除には災害減免法と雑損控除の2つがあります。この2つの制度は両方を適用することはできないので、どちらか有利な方法を選んで申請する必要があります。
どちらが有利なのかは個々の被災者の置かれている状況によってもことなりますが、年間所得が1000万円を超えると災害減免法は使えないので、自ずと雑損控除を適用することになります。
一般論として、雑損控除と災害減免法の計算方法を比較すると、所得が500万円以下の人は災害減免法を選択したほうが有利なことが多いです。ただし災害減免法では災害による当年の所得税だけしか軽減・免除できません。
そのために、損害額が所得金額を超えて1年で控除できない場合は、損害の繰り越しができる雑損控除を選択するほうが有利なことがあります。

災害減免法と雑損控除の利用方法

災害減免法や雑損控除を利用するためには確定申告をする際に適用を申請する必要があります。災害減免法と雑損控除では適用を申請する際に必要な書類が異なるので注意が必要です。具体的に確定申告書に添付しなければならない資料は下記の通りです。

災害減免法の申請に必要な書類

・損失額の明細書のみ

雑損控除の申請に必要な書類

・災害関連の支出に関しては領収書、火災は消防署、盗難は警察が発行する被害額届出用の証明書
・給与所得者は源泉徴収票
・災害時のやむを得ない支出については領収書

災害減免法と雑損控除のどちらを適用した方が自分は有利なのか、申請する際の書類はこれで十分なのか、などの確認については事前に専門の税理士などにご相談されることをお勧めします。

参照記事
被災者支援総合交付金とは?その概要と目的について

その他災害による税制上の特例について

今までは所得税の控除または免除という観点から、災害減免法と雑損控除について見てきましたが、災害による税制上の特例については所得税の控除または免除以外にも制度が存在するのでご紹介して行きます。

申告期限の延長

災害などやむを得ない事情で期限まで納税ができない場合は災害が終わってから2ヶ月以内に限り期限が延長されます。
この申告期限の延長については2つのパターンがあります。1つ目は、地域指定による期限延長です。災害地域を指定してその地域内に納税地のある納税者の申請期限を自動延長するものです。
2つ目は、個別指定による期限延長です。この場合には個々人が納税地の税務署長宛に申請することで期限延長を求めます。

納税猶予

納税者が災害で財産などに一定の損害を受けた場合には、納税を猶予する制度も存在します。所得税だけではなく、法人税・消費税・相続税・贈与税などの国税が対象であり、災害で相当な損失(全財産のおおむね20%以上の損害)を受けた方 損失の程度により本来の納期限から1年以内の猶予期間を認めてもらえる場合があります。
この他にも災害により納付が困難な場合 被災により税金を一度に支払えないと認められれば、原則1年(最大3年)以内の期間において納付期限が猶予されることがあります。
国税ではなく地方税についても、地方税の減免や納税の猶予を設けている地方自治体があります。例えば東京都では、個人事業税や固定資産税・都市計画税、不動産取得税、個人の都民住民税等を減免する制度や、原則1年以内の納税の猶予を認める制度があります。
いずれにしても活用を検討される場合には、税務署や市町村の税務課に直接お問い合わせを行うか専門の税理士にご相談されることをお勧めします。
以上、災害による税制上の特例について、災害減免法とは何か、雑損控除とは何か、災害減免法と雑損控除の違い、その他災害による税制上の特例について、などについて見てきました。
災害による税制上の特例については国税庁のHPなどでも公開されており、災害の種類によって事情が異なる場合もありますので、しっかりと調査を行い自分にとって一番有利な制度の適用を検討されると良いでしょう。

参照記事
災害援護資金とは?被災者向けの貸付制度と返済問題

参考サイト▪︎国税庁「災害減免法による所得税の軽減免除」