災害援護資金とは?被災者向けの貸付制度と返済問題

2018.05.26

災害が発生した際には被災者は身体的な負傷を追うこともありますが、一方で経済的な損失を追うこともあります。
今まで住んでいた家が地震で倒壊して新しく家を建てる費用が必要になるかもしれませんし、今まで働いていた会社が災害で倒産して収入が入らなくなるかもしれません。
これらの理由で被災者は経済的に苦しい立場になることがあるのですが、この問題を解決するために「災害援護資金」というものが存在しています。災害援護資金とは被災者に有利な条件でお金を貸してくれるという制度です。
今回はそんな災害援護資金について、そもそも災害援護資金とは何か、災害援護資金の返済で何が問題になっているのか、などについて書いていこうと思います。

災害援護資金とは何か

そもそも災害援護資金とは何かをひとことで言うと、一定の規模以上の自然災害によって損害を受けた被災者に対して、生活を立て直すためのお金を低金利で貸付ける制度のことです。
市町村が主体になって行われるのですが、災害救助法が適用された市町村が一つでもある災害において、身体的に負傷するか、住居や家財に被害を受けた住民が、貸付限度額350万円まででお金を借りることができます。
利率は3%で、据え置き期間(お金を借りてからその返済が始まるまでの猶予期間)は3年で特別な場合には5年になります。

返済期間は据置期間を含めて10年間であり、もともとのお金の貸付原資負担は国が2/3で都道府県と指定都市が1/3になります。
被災した住民ならば誰でも受けられるという訳ではなく所得制限があります。世帯数が1人の場合には220万円、2人の場合には430万円、3人の場合には620万円、4人の場合には730万円、5人以上の場合には1人増えるごとに730万円に30万円を加えた金額になります。
災害援護資金の最大の特徴はお金を借りるにあたっての審査がほとんどないということです。一般的にお金を銀行などから借りようと思ったら、返済能力が本当にあるのか審査を受ける必要があり、審査に落ちればお金を借りることができませんが、災害援護資金はその審査がほぼありません。
そのために災害援護資金は要件にさえ当てはまれば誰でも利用することができる便利な制度であると言えますが、一方で審査がないことから問題も発生しています。

参照記事
災害による税金控除について!災害減免法と雑損控除

災害援護資金の返済で何が問題になっているのか

災害援護資金は確かに被災者を経済的に支援する制度であり、審査ほぼ無しで数百万円を手に入れることができるのですが、あくまで“貸付”なので、いずれは返済する必要があります。
貸したお金は返さなければならないということは常識ですが、被災者の中では貸したお金が返済できないという人も多く発生してしまっています。
お金を借りたばかりの頃には先ほどの据置期間というものを設定することができるので、借りたお金を返済する必要はないのですが、据置期間が終わった6年目からは、借りたお金を返さなければいけません。
例えば300万円を借りていたとして、それを10年返済の据置期間5年で設定していた場合には、元金だけで5万円を毎月返済して行く必要があります。

災害発生から6年経つと、個々の家庭の経済状況も変わってきており、当時は予想していなかった出費がかさんでいたり、収入が減少していたりなどで、災害援護資金を返済できないという人が発生してしまいます。
行政としてももともと災害援護資金は被災者を支援するためのものであったのに、その人たちから取り立てを行わなければならないというジレンマに陥ることがありますし、災害援護資金を徳政令のように無かったことにして返済しなくて良くしてしまうと、すでに返済をしている住民との間で不公平感が生まれてしまいます。
このように災害援護資金は被災者が簡単にお金を入手することができる一方で、長期的な視点で見ると災害援護資金を返済できなくなってしまう被災者が現れてしまうという面も存在しています。
以上、災害援護資金について、そもそも災害援護資金とは何か、災害援護資金の返済で何が問題になっているのか、などについて見てきました。被災者は経済的にも大きな損失を追うことがあり、その中で災害援護資金が大切な役割を果たしているのは間違いのない事実です。

参照記事
災害弔慰金と災害援護資金とは?被災者を資金援助する

参考サイト▪︎厚生労働省「災害弔慰金・災害援護資金などの支援について」