災害弔慰金と災害援護資金とは?被災者を資金援助する

災害が発生すると不幸にも被災者の家族の誰かが亡くなられたり、障害を持ってしまったりすることがあります。家族は当然精神的に辛い思いをすることになりますし、生計維持者に何かあった場合には、今後の生活をどうやって維持していけばよいのか途方に暮れることになります。
そんな被災者をお金の面から支援するために「災害弔慰金」や「災害援護資金」というものが存在します。どちらも被災者の家族が被害を受けた場合に資金的な援助を行うものです。
今回はそんな経済的な支援について、災害弔慰金とは何か、災害障害見舞金とは何か、災害援護資金とは何か、などについてそれぞれ書いて行こうと思います。

災害弔慰金とは何か

そもそも災害弔慰金とは何かをひとことで言うと、地震や洪水などの自然災害で亡くなった人の遺族に対して支払われる弔慰金のことです。災害によって人命が失われると被災者は精神的に辛い思いをするのは当然ですが、経済的にも辛い思いをすることがあります。
災害弔慰金はそのような経済的な問題を少しでも緩和するものになっています。災害弔慰金は「災害弔慰金の支給等に関する法律」という法律に基づいて支給されるのですが、この法律は1967年に発生した羽越豪雨をきっかけに設立しました。

災害弔慰金では残された遺族に対して現金が支給されるのですが、実施主体は市町村であり、支給額は生計維持者が亡くなられた場合には500万円、その他の場合250万円になっています。この費用負担の割合は国が1/2、都道府県1/4、市区町村1/4です。
災害関連死についても災害弔慰金の対象であり、審査基準は各市町村の自治事務であり、地域の実情に応じた審査を行うことができる一方で、市町村によって審査に差が出てしまい公平性に欠けるのではないかという指摘もあります。

参照記事
災害関連死とは?その定義と原因などについて

災害障害見舞金とは何か

災害弔慰金は自然災害によって家族のだれかが亡くなった場合に適用されますが、災害障害見舞金は自然災害によって重度の障害(両眼失明、要常時介護、両上肢ひじ関節以上切断等)を被災者に対して支給されます。
実施主体は市町村であり、支給額は生計維持者の場合には250万円、その他の場合125万円になっています。この費用負担の割合は国が1/2、都道府県1/4、市区町村1/4です。

災害障害見舞金の対象は、労災1級の基準と同じくらいな重度な障害を受けた被災者にのみ支給されます。そのために軽度の障害や、要介護度が上がった程度では救済されず、対象となる方が災害弔慰金受給者と比べると極めて少ないのが特徴です。
もともとが労災を受給できない被災者を救済する目的なので当然とされていましたが、被災者の救済を考える趣旨から障害の度合いに応じた段階的な見舞金を支払うべきだという意見も存在しています。

参照記事
災害救助法とは?適用基準と費用負担の割合について

災害援護資金とは何か

災害援護資金とは何かをひとことで言うと、被災した世帯に対して生活の再建に必要な資金を低金利で借りることができる資金です。災害援護資金は被災者なら誰でも利用することができるわけではなく他の支援金と同様に要件があります。
災害援護資金の貸付が対象としているのは、世帯主が療養におおむね1か月以上かかる負傷を受けたり、家財の3分の1以上の損害、または住居が全壊・半壊・流出するなどの損害を受けた世帯が対象です。
貸付限度額は350万円。利率は年3パーセント。償還期間は10年で、3~5年の据置期間(お金を返さなくても良い猶予期間)は無利子になっています。原資は国が2/3、都道府県・指定都市が1/3を負担します。

災害援護資金が災害弔慰金や災害障害見舞金と大きく異なるのは、災害弔慰金や災害障害見舞金はお金を支給されるのに対して、災害援護資金はお金を貸してもらえる点です。
当たり前ですが借りたお金は返さなければなりません。実際のところ災害援護資金は返済できない人が多く、そのリスクは被災自治体が国や都道府県に変わって負うことになっています。
阪神淡路大震災の際にはこの災害援護資金のお金を返してもらうために被災自治体は被災者に対して訴訟を行わなければならず復興支援との間でジレンマに陥ったと言われています。
以上、災害弔慰金とは何か、災害障害見舞金とは何か、災害援護資金とは何か、などについてそれぞれ見てきました。
被災者は経済的に大きな損失を受けます。災害弔慰金、災害障害見舞金、災害援護資金はそんな被災者を経済的に支援するために重要な役割をになっていると言えます。

参照記事
セーフティネット保証4号による災害時の中小企業資金調達について

参考サイト▪︎内閣府「災害弔慰金の支給等に関する法律」